「九雀物語」第6話
大きなカラスのリーダー「ライ」から思いもかけない事を言われた2羽の小雀
「カイ」と「トキ」は少し驚きながら、了解したことを後悔しながらも、しかたなく、女の小雀を自分たちの仲間として連れて行くことになりました。
カラスの集団からはなれて、3羽になった小雀たちはしばらく黙ったまま近くの森まで飛んでいきました。
しばらくして大きなイチョウの樹があったので枝の上で休むことになりました。
すこしぎこちない雰囲気になっていた3羽の空気に「トキ」が言葉を選んで一緒についてきた女の小雀に話しかけました。
「びっくりしたな! 急にカラスのライがお前のことを言い出すから、わけもわからず、うなずいてしまったんだ」
女の小雀がちょっと、むっとしながら答えます。
「なんだよ! いやなら断ればよかったんじゃないの!」
「カラスのライはこんな小さなわたしでも他のカラスと同じように可愛がって大事にしてくれてたんだから」
トキはあわてて言い直します。
「いいや! びっくりしただけだよ! 俺たちも黙って親のところを出てきて2羽で訳もわからず飛び回ってるだけだから、戸惑ってるんだよ」
「名前はなんていうんだい!」
女の小雀は半分めんどくさそうに答えます。
「キキだよ!」
カイとトキは顔を見合わせてうなずいて、お互いを納得させた様子をみせて
キキに話しかけました。
「キキか! 俺はトキ!、こいつはカイだよ! 別々の仲間と一緒だったんだけど親に黙って、俺たちだけで飛び出したんだ。
カラスのライに言われて仲間になってもらったけど、俺たちも、これからどうしていいか分からないんだよ」
そんな少し頼りのなさそうな2羽の小雀の話を聞いた(キキ)は見えない片方
の目の奥が笑ったような顔になって話しました。
「あたしだってカラスのライに大事にしてもらってたし、やっとカラスの仲間にも仲良くしてもらえるようになってきたのに、急にライがあんなことを言い出すとはビックリだよ。
だけどライは、あたしのことを思っていってくれたと思うよ。」
トキが話します。
「そうか、ライの仲間の邪魔者になってたのかと思ったけど、キキがそう思っているなら、俺たちと一緒にいることにするかい、少し頼りないけどさ!」
すこしづつ打ち解けた話ができたので、キキの顔も和らぎだしました。
3羽になった、カイ、トキ、キキの小雀仲間はチョット背伸びしたようにまだ
行ったことのない森を目指して飛び出しました。
第6話終了
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