先代 ◆ SANPO な ブ・ロ・グ

村田 青朔 が 一所懸命 書き綴る
「踊り」 だとか 「アート」 だとか
その 周辺の事
「小説」も 載せたい

【アート】 遥かなる リノベーション / HAMArt!Ⅲ

2008-12-13 |  アートって、なにさ?
「 横浜 トリエンナーレ 2008 」 を見て 感想文を書いた。

「 横トリ 2008 」 は いったい なにがしたいのか よく分からなかったので、
いったい なにが書いてあるのか、 分からない文章を 書こうと思った。

でも結局、 なんとなく分かる 文章になった。


・・・ で、 HAMArt!Ⅲ に 載せてもらった。


********************


『遥かなる リノベーション』

優しく暖かい命の記憶が あたりに反射して、
キラキラと輝いている。

そこはエネルギーの塊。
氷の中に 溶鉱炉が眠っている。



 先日、 「 横浜 トリエンナーレ 2008 」 を観に行った。 つまらなかった。 出会えて良かったなどという 「 フランダースの犬 」 体験は 望むべくもない。 ちょっとずらした古めかしさ、 貧乏たらしさはネライだろうか。 お金がなかったのかもしれない。 仕方がないので、 わざと一般ウケを外したのかもしれない。 とすれば、 ある意味それは成功している。 ツマラナイけれど、 なにか引っ掛かる。 凄味を感じる。 なぜか優しさまで感じさせる。 この感覚、 遠い昔に観た 「 アンコクブトウ 」 と、 どこか似ている。

 そんな事より オレは、 横浜の港が好きだ。 特に 夜景が好きだ。 かつて女房と、 このあたりを歩き回った。 今も散歩している。 観覧車が見える。 ベイブリッジが見える。 ランドマークタワーも見える。 ウッカリ眺めていると、 すぐに魂を持っていかれる。 横浜の街が、 活気に溢れてきたわけじゃない。 あれもこれも 遠い幻影、 見せかけなのだ。 でもそれは 生きるために大切な事。 元気を取り戻すため、 散歩に出かけるのと同じだ。


 屋形船が増えたな。 暗い海面に、 赤い提灯がユラユラ揺れる。 そうだ 魚になろう。 そして見えるものだけを書こう。

海の底は 思いのほかニギヤカ。
忘れられた死者達が ウジョウジョと、 輪になって踊っている。

「 あいつだけは許さないぞ 」、 恨みがましい声が響く。
あいつが誰なのか、 誰も知らない。
あいつとそいつが 仲良く踊っている。
「 死んじゃえば、 気楽なもんよ! 」

海に投げ込まれた女性がいる。
蒼白い笑顔が溶けかけて、 まるで真夏のアイスクリーム。
チョコミントみたい。
「 あらアタシって、 もうほとんど海なのね~ 」。

ペッタンコに潰れちゃった奴もいる。
港で荷降ろし中、 転落した貨物の 下敷きになったのだ。
彼は時々、 カレイと間違えられる。
「 僕の趣味は 立体彫刻 」 と 語る ・・・

 これはきっと 「 時の狭間 」 から這いだした 魑魅魍魎の夢なのだ。 目の前にパックリと、 「 タイムクレヴァス 」 が口を開けている。


 ならばザックリ死んでみよう。 そして今度は鳥になろう。 眼下には新港ピア、 赤レンガ倉庫。 向い側がNYK。 南に飛べば三渓園。 女房に連れられてやって来た横浜。 変わっちゃったような、 変わってないような、 ・・・ オレ達の街。  空から眺めると 見えてきた。 なあんだ、なるほどね。 「 横トリ 2008 」 は、 デジャビュのインスタレーションである。 そう考えれば、 このスカスカも絶妙ジャン。

 昨日に依拠した新作。 今、 「 新しい 」 とはそういう事だ。 「 作る 」 とは そういう事なのだ。 新しいからといって 面白いとは限らない。 地獄へ向かうこの世界、 その道行を 楽しめば良いのだ。 もしかすると、 出会えて良かったかもしれない。 だがオレは ネロでもパトラッシュでもない。 まだ、 凍え死ぬわけにいかない。





※ 2枚の写真は 「 横浜 トリエンナーレ 2008 」 とは、 直接 関係ありません。
周辺の 出来事です、 ・・・ 念のため。



アーカイブス/【案内状】に戻る

2008-12-13 17:00:49 up