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宇宙空間の漆黒を背景に、ほのかに明るい地平線がゆるやかに弧を描いています。
手前に太平洋が広がる碧い地球です。淡く白雲が霞んでいる。
ここは、赤道に近いフィリピンのはるか上空。広大なユーラシア大陸の東端に、細く南北にノの字描いた日本列島が、何とか確認できます。さらに、ズームインして見てみましょう。
本州と九州をラジカセに見立てれば、ちょうどカセットをはめ込んだような形で、四国が納まっています。
この島には千年以上の昔から、白い死装束に身を包み、「ぎゃぁてい、ぎゃぁてい」と真言(お祈り)を口ずさみ、弘法大師が設けた島内八十八カ所のお寺を巡る風習がある。
徳島から時計回りに、海岸線に沿って、香川まで、バランス良く札所が配置されている。人々は親しみを込めて「お遍路さん」と呼びます。
特にここ数十年、交通機関の発達、3本の本四架橋建設などにより、お遍路さんの数は飛躍的に増加しました。
列車、バス、マイカー、バイク、自転車、徒歩と回り方は様々です。
全行程は約1400キロで、時間的にも金銭的にも余裕のある方々でないと、一度に周りきるのは難しい。
パソコンの画面では、インターネット経由でライブの衛星画像が、さらに、ズームアップしていきます。
淡路島から徳島に架かる「大鳴戸橋」に迫っている。海峡に潮が流れ込み、穏やかな碧い海面には、飲み込まれそうな白い渦が巻いています。
大橋は、この海峡を跨いでいる。お盆前のこの暑いさなか、一台のおんぼろワゴン車が黒煙をあげ、四国方面へと急いでいる。
頭の禿げた中年男が、今やクラッシクポップと化した「アバ」を聞きながら、ハンドルを叩き、リズムをとっています。
後ろのシートでは二人の幼子が、楽しげに飛び跳ねて踊っている。その横で男の妻が、ひとり、憂鬱そうに、眼下の渦を眺めています。
これは、情けないほど甲斐性なしの魚屋にも拘らず、四国八十八カ所霊場を、車野宿で旅した家族遍路のお話です。
この人達はなぜお遍路をと、思い立ったのでしょうか?
この物語は今から数ヶ月ほど前の春先から始まります。
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