ダイキャスト情報室

鋳造品の品質を決めるのは、方案と排気かな。。。。

インサートのある部品

2024-02-02 | DieCast

インサートとか鋳ぐるみ(鋳包むと書く)のある部品製造は、鋳造の現場ではあまり好まれない物だが、何かと手間が掛かるし、不良品が発生した場合はまたややこしいことになる。インサート成形とは、別種金属で作られた部品をあらかじめ金型の内部にセットして鋳造なり射出成形を行うのですが、この部品が定位置からズレてしまったり、横型締めでは金型を閉めるときに落下してしまったり、それぞれ対策が要求される。また鉄の部品をアルミダイキャストで使う場合には、その部品が製品となって使用されるときに掛かる荷重の方向に対しインサートがずれないように形状的な配慮をする必要がある。なぜインサートを入れるかは省略します。今回はリング状のインサート品をアルミがフランジのような形で鋳ぐるみます。大まかにいうと画像の灰色部分。この図のメーカーとは関係ありません。

今回はそのインサートが収縮の邪魔して、素直な収縮ができないために寸法に影響を与えたという案件です。鉄インサートは加熱して金型にセットするとしても、その収縮量はアルミの部分よりも少なく内部に応力が残ったままで常温まで冷却されます。アルミと鉄の膨張係数を考えると鉄インサートは溶湯温度程度まで加熱する必要があり現実的ではありません。昔(40年ほど前)汎用の2サイクルエンジンのシリンダー内径部は鉄鋳物のインサートが入っていたのですが、そのインサートを取り出そうと外周からコンタマシン(のこ盤)でアルミ部分を切り始めたところ、途中でバンッと音がしてアルミがはがれた経験があります。これほど内部に応力が残っているのかと実感した記憶があります。脱線しましたが、つまり内部に応力が残った状態ですからひずみが現れます。今回も型メーカーに「寸法が出ていない」と来たようです。インサートを入れないで鋳造したら場合はいかがですか。はい寸法出てます。だよね。

しかし事はこれで終わりません。内部応力を抱えたままなので本来なら応力除去の熱処理をすることが望ましいのですが、どうなっただろうか。アルミ側の残留応力が大きいとリングの内側の切削加工工程で寸法が安定しないような気がします。



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