ダイキャスト情報室

鋳造品の品質を決めるのは、方案と排気かな。。。。

不良品について

2015-09-28 | DieCast

不良品についてというか私の主張というか

 ダイキャスト製品ってどこか信用できないという機械系技術者は多いと思います。私もそうです。
いやいやそうじゃなくて、コストと品質のギリギリのところを追求している結果なのです。そしてそのギリギリが危ない方向に流れてしまわないように常に努力している人が多いと思います。特にダイキャスト作業は、熱+時間+その他いろいろの要因がすべて正常になったときはじめて納入品、良品ができるのですから。
ダイキャスト(以下DC)業界の皆さんは、不良の問題で苦労していると思うのですが、金型を使う仕事では金型の出来不出来が製品に与える影響の大きさについて、特に苦労してきた人々は、このことを否定しないと思います。最終製品に与える影響の大きさは、根拠のある数値で言うことは出来ないのですが、過半、否それ以上と考えます。型技術の’99年4月号でトヨタの久保修二さんが「型のでき具合が製品製造の成否の70%ぐらい影響すると思っている」と語っています。苦労した人ほどこの数値が高くなるんじゃないだろうか。

 その製品の出来具合に影響を与えるものとしては、DC型の場合、金型の全体レイアウト+ランナーゲート+エアベント+冷却と言ったところだろうか。しかし最近、この業界もお決まりの人減らしで仕事の流れ、作業分担がおかしくなってきている。金型の製作という段階をとらえても、大まかに言って製品設計→素材設計→金型基本設計→金型詳細設計という流れがあるが、近頃では素材図がないとか金型レイアウトできないとか、基本設計も出来ないとか困った場面に出くわすことが非常に多くなった。日本を代表する大手ではこのようなことはないとおもうが、中堅と呼ばれる企業において仕事を全部他人任せ、金型メーカーまかせにしていいのだろうか? 金型メーカーに任せればすべて完璧な金型が出来上がってくると考えている思慮浅い人がよく居るが、型メーカーには鋳造に関する情報がないのに金型屋に相談して宜しく作ってくれなんて、あまりに安易な考えだと思う。金型はこうでなくちゃという哲学というかポリシーを持ったダイキャスターがいなくなった。ダイキャスト用金型は設計時にいろいろ考えておかないと量産が始まったらあとで不良品の山を作ることになるのにーーー、といつも思う。

ここでしつこく再確認しておく。 製品設計、これは上流からこんなものをつくりたいと矛盾のない図面を流してくれればいいです。素材設計、ここで勾配、押し出しピン、PL(parting line)、ゲート位置、後で機械加工をするか素材のまま使うかを決める。ここまでやってくれるだけで私は楽になるのですが。このあとレイアウトというか金型の基本設計に入る。使用機械、ベントシステム、冷却、ランナーとかを決める。金型図を作ってからランナーをそこに押し込むのはやめてほしいです。大きな湯だまりを後から付けることがあるがこれもベント設計がしっかりしていればまったく必要なく、凝固の始まった部分だけオーバーフローさせればいいでしょう。最近大きな湯だまりはあまり必要ではなく感じている。型の精度は?という人もいるだろうが工作機械の飛躍的能力向上でこの点は問題になることはなくなってしまったと思う。またDCでは金型温度の変動は(現時点では)避けられないためあまり厳しい寸法公差を要求されても対応が出来ない。金型を温調して対応することは可能だが、ここにも限界はある。コストも上がるけどね。

'2010.11.30 日経ものづくり11月の特集で、もう一度上記の問題が決して小さくないことを確認した。要点を再確認すると。

(1)金型とダイキャスト生産技術についての知識が不足していて、製品設計に品質と信頼性向上のための折り込みが出来ない。

(2)製品で無駄のない設計に迫りたいがそのポイントが把握できていない。
  といった問題意識から有力製品メーカーは、金型の内製化に取り組んでいる。
筆者の経験でも、ダイキャストで製品を作ると決まったのに、全くダイキャスト法という生産技術のための知識が不足していて、要点が設計に折り込まれておらず、肉厚を一定にするとか、コーナーに丸みを付けて金型の耐久性と鋳造性に配慮するという、こちら(鋳造側)からは常識と思われることが全く対応できていない。
3D設計を行うのは良いが、その外側を包む金型のことが全くイメージできていない。金型の見切り線はどこにするの?勾配はどちら(減肉、増肉)に付ける?押し出しピンはどこに付ける?この面は機械加工しないの、するの?等々毎回一から確認をする必要がある。 結局、せっかく作った3Dデータは上記内容が折り込まれていないためすべてやり直しとなる。
これが小さなあまり技術力のない会社なら私も許します。しかし知名度もあり高い技術を持つ、と世間で思われている会社でもこのレベルの会社があるから、筆者もしつこく書かなければならないのです。どうすれば良いか? とりあえず'2010.10.30にでた 日経ものづくり11月を読んでくれますか。更に高いレベルで解決を求めるならコンサルタントに依頼すべし。