友人から面白い本を読んだと電話があった。私が金型関連の仕事をしていることを覚えていてくれて連絡を入れてくれた。著者は堀幸平さんというこの業界では油の乗った中堅で(書いている私はこの業界の上限70歳にあと2年しかない)私の愚痴の多いブログに対し金型業界のことをプラス思考でとらえていて問題点の指摘も的確だった。
その指摘のなかでいくつかを挙げると-----
(1)型メーカーは営業が苦手----確かに駆け引きが苦手で、材料費や工具代が上がっていても、金型代金は前回と同じと言う場合(前回より下がる場合もある)が多い。
(2)金型メーカーは、型のトラブルが心配で過剰品質になる----これも確かにある。出荷した金型はあまり帰ってきて欲しくないんだよね。
(3)金型を使う側は、金型の技術に対するリスペクトが低い----これも確かにある。ひどい会社は初回の金型だけ日本の腕の有る金型メーカーで作り金型の保守のために図面を要求し、その図面を持ち出して2番型以降を海外で作ってしまうとか、日本国内でもっと安い金型メーカーに依頼するとかは、昔はよくあった。今も有るあるかもしれない。 私も同じことをやられたことがあった。以前ブログにもあげたが、私が設計手配した金型は初回試作でまったく問題なく試作品を出したが、その図面を参考にその依頼会社が他社で手配して作った金型数点は使い物にならなかったらしい。私の図面はいつも付き合いのある金型職人が作ることがわかっていたのでなるべく図面に情報を入れないで作成したのだが、その辺の考え方が金型製作側に伝わらなかったのだろう。ちなみにその倫理感の希薄な会社と付き合っていた金型メーカーのうちの3社(H、T、埼玉H)は廃業している。1番型を作った金型メーカに2番型以降は任せることという法律を作らなきゃだめだな。この問題の方が余程日本の安全保障に関わることだと思う。イージスミサイルよりも金型メーカーを守る方が防衛費の使い道としては正しいだろうな。
あまり本の中身について書いてしまうと営業妨害になるので、関心のある方は、こちらで
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幻冬舎(この会社にあまり好意もっていないです)の新書です。
'20.09.07 語句訂正