石川秀美史の中でもTOP3に入る著名な曲である。
まだ夏の香りが少し残りつつも、秋の気配が忍び寄る季節にリリースされた16thシングル。
初の化粧品タイアップソングとして、また、石川秀美本人もCF出演となりキャンペーンソングとしても代替的な広告展開。”軽さが違う、伸びが違う”
新粒子ファンデーション・コーセーミクロタッチファンデーション。
ちなみに石川秀美の初化粧品会社、コーセーのラジオ番組であった宮川泰のコーセー歌謡ベストテン(土曜13時にFM放送)にても
上位にランキングをマーク。もちろん番組中のCMでも大量オンエア。
後、坂口良子主演のドラマ 『アルザスの青い空 LE CIEL BLEU D'ALSACE』で石川秀美の歌唱映像シーンが流れていた。
石川秀美を起用する化粧品会社はコーセーから始まり、花王、そして近年の資生堂と3社の化粧品CMの経歴となる。
さて、大量オンエアによるタイアップ効果もあり、シングル成績においては
オリコンチャート最高位7位。ザベストテンにおいては
1985.10.03 第0398回 愛の呪文(#9)
1985.10.10 第0399回 愛の呪文(#7)
1985.10.17 第0400回 愛の呪文(#10)
という好成績。特に400回記念のザベストテンは静岡で開催され野外ライブとなった様子。
年末の賞レースの参戦もこの曲で各賞を受賞。
あなたが選ぶ全日本歌謡音楽祭★金賞
輝け!日本歌謡大賞★放送音楽賞
FNS歌謡祭★歌謡音楽賞
と華々しい活躍に満をもって念願だった第36回NHK紅白歌合戦に初出場。
本人、スタッフ、ファンを含めて、前年度の次選に涙を飲んでいただけに石川秀美に紅白出場歌手の冠はとても嬉しく誇らしい朗報であった。
石川秀美が出演したのはオープニング~歌唱、余興、小泉今日子歌唱のバックwith原田知世、エンディングであった。
初出場だけに、気合も入っているギンギラ衣装で少し早めの回転演奏をしっかり歌い切りました。
そこはデビュー4年目も過ぎ5年目が近くなり、しっかり自分の味を出せるほどの歌唱力を持った石川秀美ならではの技術とキャリアの集大成。
緊張感にも負けることなく、いつも通りの歌の上手さと貫禄を見せてくれた1985年末日でした。
紅白に出場することとなり、早くにオンエアをたちきったせいか、シングルレコードのセールス面においては前曲の
15thシングル:Sea Loves You~キッスで殺して~よりもセールスダウン。ヒットはするけど大ヒットにならないジレンマ。
1985年くらいになると次世代、次々世代が誕生、台頭し始める気配もあり、アイドル歌手戦線は群雄割拠な時に突入。
80年組、82年組が苦戦する中でまだまだ連続ヒットとベスト10をキープし、トップアイドルの実績、実力派歌手としての石川秀美としての力強さと、通年の好感度から上記のNHK紅白歌合戦の白羽の矢が立ったのだと思われる。
このレコードジャケットのスリーブでCM時に撮影されたカットがついていた。
メインのレコードジャケットについては、どうしたことでしょう。色々噂がたってた様子です(間違えた写真を起用等)。
石川秀美なんだけど、石川秀美じゃないみたいなジャケット写真。せっかくの美貌がイマイチ反映されてないこのシングルジャケットはいかがなものか。むしろ同時期のポスター、出版した楽譜のジャケットを使ったほうが良かったのでは?と誰もが思ったんだろうな。
当時の石川秀美は、日に日にキレイになったね、と言われており、より一層、健康的活動的スポーツお姉さんな印象。
歌唱映像から溢れる魅力はそんな感じ。特にこの曲のUPテンポなノリの良さは石川秀美にとても相応しい印象なあたりがヒットした由縁が解ります。
楽曲については確かに噂されるようにElton John♪Crocodile RockにAメロBメロが似ている。この手腕は
作詞作曲の松宮恭子による素晴らしい?技であり、これまでの石川秀美シングル史上でも
5thシングル:Hey!ミスター・ポリスマン>Sylvie Vartan/Fum'ee(If You'd Only Come Back)
12thシングル:ミステリー・ウーマン>Bon Jovi/Runaway
しかり松宮恭子作品である!すごい事実。こんなの大人になってからじゃないと当時知らなかったよwてくらい。
とはいえ松宮作品に昇華する事でオリジナルよりも良い出来。
♪Hey!ミスター・ポリスマン、♪ミステリー・ウーマン、♪愛の呪文。
オリジナルでは物足りなかったアレンジやメロディアス、はたまた商業ロックな泥臭さを松宮氏が手がけたことで
「うまくまとまった洋楽センスの利いた歌謡曲」へと、相成ったわけ。
カバーでなくサンプリング、はたまたパクリ等いわく付ではあるものの、
13thシングル:もっと接近しましょ、23thシングル:素敵な勇気を含めても、
洋楽のもつ軽やかさやアバンギャルドと、石川秀美の印象度とが噛み合ってちょうどいい。
蛇足だが、この1年後の夏にこの曲のサビが同じな森川美穂♪サーフサイド・ブリーズという曲も在る。
確かにサビが同じであるけど、好きなら気にならない程度。松宮氏はしっかり歌ってくれる歌手が好みのようだ。
個人的にも森川美穂も好きな歌手だし、Elton Johnのクロコダイルロックも好きで、それを歌ったDebbie Gibsonも好きなので、Alrightではある。
さてポップロック風なイントロからEギターのドライブ感でメジャー調のPOP感でぐいぐいとサビまでのノリの良さはさすが。
洋楽に負けないボーカルも、石川秀美じゃないと歌えない厚みと味がある。サビの力強さはなかなか洋楽的。
更に♪行方は彼の熱い腕の中♪の箇所等、石川秀美の歌の上手さをより引き出した楽曲である。
アウトロのロックアレンジもイイ。
ヒット曲だけにいろんな衣装でいろんな歌番組で歌う姿を当時ブラウン管で見たけど、公式なのは
白のウェディングミニスカートなのだろう。曲に合わせた大きなアクションや、キレのあるリズム取りで、石川秀美の均整のとれた肢体を存分に伸ばした、見せる衣装であった。かわいくてセクシー。ザベストテンでのパフォーマンスも秀逸であった。
石川秀美の1985年のシングルリリース構成は実に颯爽と1曲ずつの完成度の高さがお見事。今聴いても良い流れであり、TightにCoolな楽曲が並んでいる点が好き。
当時は中学1年生だったのだけど、特に夏から秋のこの愛の呪文で僕は更に石川秀美ファンとなったのでした。まさに百億の魅惑の粉に魅せられたわけである。
コンサートビデオ:GET ON HIDEMI'85、SHIN ON MEのコンサート歌唱映像が拝聴できる。
Get Back!Get Back!Get Back!!!と、楽譜メロディを変化させ、オーディエンスを煽って沸かせていた。かなりのテレビ番組で歌っていたこの曲も秋も深まり冬間近になると、このシャウトバージョンで歌っていた。
今曲はオムニバスアルバム:Rouge~COSMETIC CM SONG COLLECTIONにも収録されている。 夏の終わりから秋の忍び寄る気配のちょっと切ない淡い、まだ暖かい日差しがある秋に想う曲である。