与一から出て来た生き物の記録

奇妙な生き物。早朝の自宅ガレージ奥の「与一」の中から、様々な働きをする者たちが生まれています。その有様と効能の記録です。

そらの物語34 「和解マンの助け舟」

2010-06-28 05:44:33 | そらの物語


 


「和解マンのたすけ舟」


 


夕方になっても降り止まない雨の威力は、


老朽化してもしぶとく生きながらえる「はしみ荘」に、


とどめを刺す勢いで降り続ける。


「斎元」はついに会社に連絡を入れる勇気が出ないまま、


自らの弱さが招いた罪悪感によるダメージを受けて、


何もせずにいるだけで弱っていく生物のようだ。


精神的には踏ん張っている、でも現実的には何もしていない。


時間が過ぎるほどに、敗退者の実感に押しつぶされそうになりながら


目には見えない重症を負って、精神的に逃げ惑うばかりだ。


ー・・・電話すれば、いい。 それだけやん・・・ー


 


「はしみ荘」のきしむ階段を、誰かが足早に上がってくる音が聞こえる。


そして、重症をこらえる「斎元」がいる部屋に向かってくる音。


ーあ・・誰か来る・・・ー


ガタッ!!! 出し抜けに、ノックも何もせずに田川だ。


そして、憐れなほど慌てふためく「斎元」の顔を見るなり、


「あほか、よしおっ!!なにしてたんや!!」


飛び上がりそうに驚く「斎元」は、


狭い部屋のどこにも隠れようもなく、首をすくめた。


「おまえ、今日みたいな日に、しかも連絡もしてへんやろ!!


あほか!!なにしてたんや!?!」


と田川は大声で怒鳴りつけた。 「斎元」の田川を見る表情は


目鼻がバラバラになりそうに崩壊し、「あ・・うっ・・わ・・」としか言えない。


「・・・・・・・・って、冗談、冗談!!」


今日一日”へこみ”続け、考え続けたのであろう憐れな親友に、


優しい田川は怒る事ができない。 それは田川の良い所でもあり、


悪い所でもあった。 本当は本気で怒ってやろうと思っていたが・・


顔を見ると言えない。


「で、どうしたん?病気とかとちゃうんやろ?朝、おれが電話した時、


元気やったやん?」 そう聞く田川の作業着は、あちこち雨で濡れて、


大変だった一日をやり切った汗の匂いが、精気に満ちている。


「・・・うん。」としか言えない「斎元」は、


何に切迫しているのかわからないまま、「・・たがっち、おれ、病気やわ・・・」


と言葉を継いだ。


「はい!、取りあえず、缶コーヒー」と、


「斎元」分のコーヒーを放り投げる田川。


 


 


話しは、今日の仕事の話から始まったが、やはり中心は


今「斎元」がはまり込んでいる混乱の解決には、


その原因が何か、という方向に流れた。


「たがっちな、おまえにしか言われへんけど、実はおれ・・」


「何?不治の病にかかったか(笑)、あと3日の命やとか(笑)?」


「ちがうちがう!たがっちって・・・・・・・」  「おれが?何?」


「・・・・・・・・同性愛って・・・どう思う?」


「まあ、変態やな!」  「・・・・・・」


黙り込んでしまいそうな「斎元」。


「いやいや、なんやねんな?遠慮せんと言えよ!あれか?


お前がこの前blogに書いてた、”男の子” の事?」


「・・・まあ、だいたい、そのへんかな・・」 「ふ~ん・・・」


「あれに書いた通りやねんけど、最初はこんなんとちゃうかったんや・・


blogネタっていうか・・詩のネタっていうか・・」


「うん、おれも、そう思ってたよ。 ”おっ、今度はBoyネタで行くか?って


思ってた」


「そう、ところが今、”それ”以外の事が考えられへん・・・って言うか・・・


一瞬も”その事”が頭から離れてくれへん・・・・」


「うんうん、要するに、”マジ”になってしまった、


って事やろ!別に、それでいいんちゃうか??」 


「たがっち・・・・もう、友達・・・やめるか?、キモいやろ?」


「あほっ!おれはおまえがどうなったって、友達は友達やと思ってる、


そんな簡単に”うらぎりもの”にするな(笑)」


「・・・・たがっち・・おれ、ちょっと感動してるわ」


「いっぱい感動しろよ(笑)、泣いてええぞ(笑)。」


 


「斎元」のPCのまわりに、書きさしの「詩」の草稿がちらばる中に、


「”なやみ無用”の和解マンのビラ」を見つけた田川。


「なあ、それ、電話してみた?


あなたの思いが本当・・、なら、つながるんやろ(笑)」


「してみた。何回も。”現在、使われておりません”や(笑)」


「今やったらつながったりして(笑)」


「何回もしたんやって・・・こうやろ・・・」


と携帯の発信履歴を出して、プッシュする「斎元」。


0120・・783・・640


プップップッ・・・・・・プルルルル!  プルルルル!!!


「あっ!!」 「あああっ!!」


まさか、本当につながるとは思ってもみなかった二人は


顔を見合わせて、「!!!」という表情。


「はい!和解マンです!!もしもし?」


「で・・でた!!!!」


「おっ、よっよしお・・・出てみ!出てみ!!出てみ!!」


慎重にうなずきながら「斎元」。


「も・・・・・・もしもし・・・・」


「あ!もしもし~!!和解マンでございますが・・・」


若い女性の、事務的ではあるが、さわやかな声。


「・・・・・あのぅ・・・」 「お客様ですね!!お電話、ありがとうございます!


和解マンでございます!」


「あの・・・さ・斎元といいますが・・・あの・・・」


「斎元さまですね!!失礼いたしました!


先ほど、16;28分にもお電話いただいておりました斎元さまですね!


つながりにくくなっておりまして、大変失礼いたしました!


遅くなりましたが、ご用件を伺わせて戴きます!!」


話しやすそうな、女性の声。「斎元」は一瞬、田川の顔を見て


「あのう、ちょっと悩み事がありまして・・・その・・」


 「はい!万事、承りました!!


ただちに、ご対応させて戴きます!!


お電話、ありがとうございました!!」


プツ・・・・


唖然とする「斎元」は、目線が泳いでいる。


「え?な何んて??」と田川。 「・・たいおう・・するって・・」。


間髪を入れず、玄関から「斎元さ~ん!!郵便で~す!!」


との男性の声に、二人ともビクっとして、もう一度顔を見合わせる。


「びっビックリするわ!!よしお、郵便や!普通に、郵便や」


「お、おう・・」と郵便物を取りに出る「斎元」。


「あ、こちらにサイン、お願いしますね~」といつもの郵便配達のおにいさん。


「たがっち、何んか来たわ」 「通販?」


「ありがとうございました~」と玄関から郵便配達のおにいさんの声。


いそいそと、受け取った郵便物を見て、


二人とも飛び上がりそうに目を見開いたまま「あ!!」という


表情のままに、もう一度顔を見合わせた。


そこには、きれいな文字で


「斎元よしお様 ”和解マンおみくじ在中”」と印字してあった。


 


 


 


 


 


そらの物語33 「斎元の章・4 無断欠勤」

2010-06-20 08:38:17 | そらの物語


 


「斎元の章・4 無断欠勤」


 


朝から親友の田川からの電話に起こされた「斎元」は、


歯切れの悪い目覚めに少し苛立っていた。


「・・・・あ、はい」


「おおっ!!もしもしぃ!!よしお、おはよ!


あのな、今、ちょっとTVつけてみ、ほら、この前の ” 何パオ” さん、


今、TVに出てるで!!」


「・・・??えっ?うそぉ??」


”例の男の子” の事で、昨夜から思考の迷宮にはまり込み、


そこから抜け出せないまま眠ってしまっていた重たい「斎元」にとって、


ちょっとテンション高めの田川の電話は、起きぬけの気分転換には、


切れ味の良い新鮮さだった。


「あ!!わかった!つけてみる!!」


「おお!いっぺん切るわな」


「うん、サンキュ!!」


 


TV大阪、19チャンネル。


それは、ついこの前の京橋駅前での ”和解マン騒動” の折、


「オフィス・和解マンの主宰」と名乗り、


登場した「滝沢 何んパオ(たきざわ・なんぱお)」が、


京阪ホテル・7階・中ホールをかりて、記者会見をしているニュースだった。


 


ーーーー・・・・・・「こうした前提のもとで、一昨日起こりました”三菱東京UFJ銀行・京橋支店” の強盗・放火事件への、関与はなかった、と申し上げておるのであります。 ただ、首謀者の ”サソリ” と名乗る男性につきましては、確かに私達の教団の責任者でありましたし、彼の資金繰りの一部は、私達の教団から流れていた事は、否定できません。 なぜ、そのような暴挙に出たのかは、全く理解できないのですが・・・・・」


(と現場の「何んパオ本人」の記者会見の画像からスタジオに切り替わる)


「いやあ!これは大変な事になりましたね~(司会)」 「(それを受けて、この件のレポーターが)そうなんです。このあと ”何んパオ” 氏は、記者からの「暴動を呼びかけるビラの影響を受けて、そのような行動に出たのではないか? その点では教団側にも責任があるのではないか?」との質問に対し、「暴動ビラは作ったが、配ってはいない。配ったのは「和解マン本人」である。」又、「ビラの内容と、犯人の行動とは、何ら因果はない。」と答えました。そして、現在も逃走中の犯人 ”サソリ” という男を教団から除名処分とした事と、一刻も早い逮捕を願っている、としめくくりました。 ただ、この「サソリ」という男、現在も大阪市内に潜伏しているとの事なのですが、十数名の集団と行動を共にしているらしく、もし目撃情報がありましたら、大変危険ですので、すぐに通報をお願いします!」  「これ~でも、その ”何んパオ” さん?でしたっけ?この人はその「暴動ビラ」を作ったんでしょう? 何で作ったんでしょうね?(司会)」  「その事についての記者団からの質問には、「ビラは和解マン(教祖)に対して呼びかけたものであり、その呼びかけに応えた和解マン(教祖)が、”ビラ配布を中止せよ” と言ったので、中止した。なのに、そのあと、教祖自身がそのビラを配った」と答えていました(レポーター)」  「(司会)???その教祖って、何?和解マン?どうやって配ったの??」 「それについては、「和解マンは神のような存在であり、配布の仕方は「和解プァワーである」と、そこだけはうれしそうに答えています。」   「(司会)う~ん・・よくわからない部分の多い事件ですね~。ただ、今もどこかに潜伏している犯人とその集団についてはこのTVをご覧の皆様も、くれぐれも気をつけてくださいね!!」 


ーあ、終わったー


「やっぱりあのサソリの奴、何かやりそうやと思ってた・・」


そう思って、もう一回田川に電話しようとして、何気なく時計を見ると、


出勤時間まであと数分に迫っていた。


「何んパオのニュース」のおかげで、昨夜からどうしても頭から離れなかった、


”例の男の子” の事から、すっかり現実にかえった「斎元」は、


今日一日の、これからはじまる会社での現実を思った。


「あ、今日はめっちゃ忙しい日やった・・・」。


ー早くしなければならない、しかし、ミスがあってはならないー


「倉庫業」の物量の多い日の、職場としては当然ともいえる緊迫感。


誰かが怒鳴られている声。慌しく走り回る多くの作業者。


次々に出入りする大型トラック。 苛立つ走りのフォーク・リフト。


その中で、あたふたする自分。 そして、突然の「憂鬱」。


ーってか、時間、過ぎてる・・・-


昨夜から開いたままのPCは、まだ開いたままだ。


ーあ、blog更新しようと思って・・・・-


マウスを動かすと空白のままの「新規投稿」の画面。


ー「blog」も「仕事」も・・しんどい・・・・何んでや?


あ、「あの子」の事や・・。


「あの子」の事を考えると苦しい。 でも、それ以外の事は・・・


もっと、苦しい。


ーまた始まった・・・。ー


「斎元」は、この思考の堂々巡りからいつまでも出れない自分が、


苛立たしかった。


ー あかんやん!!おれ!! -


「憂鬱」に覆いかぶさる「自己嫌悪」、そして・・・「現実逃避」。


 


休もう・・・・。


 


「斎元」は、我ながら無責任だと感じた。


ー だって、もう時間過ぎてるし ー


古い木材が湿ったような匂い。 


「あ、雨が降る、そういえば、今日は一日雨や」。


まるで「斎元」のマイナス思考を援護するように、


この「はしみ荘」を潰してしまう勢いの、大粒の「雨音」がし始めた。


ー 「休め」・・・って事?? -


開けようとすると、きしんで 上、下、上、下、と、


順番に引っ張り開けないと、なかなか開いてくれない窓を開けた。


アスファルトが湿った匂いが「斎元」の顔を、


部屋に押し戻す勢いでムッと迫り、朝から暗い空は


本降りの気配・満々だ。


 


「連絡はしとこう・・」。と携帯を手にしては見たが、


再び今日一日の職場の状況を思い、ちょうど今頃、


ーあ、斎元は?えっ?来てない?遅刻?休み?


うそやろ?この忙しい日に!!-


そんな会話が聞こえてきそうで、携帯を持つ手はゆるんでしまう。


一応、携帯のディスプレイには、会社の事務所のナンバーが出ている。


しかし、「出ている」だけ。


「発信」は・・・・押せない。


と、その時、突然に着信音!! 「だ・・誰??」。


部屋中に響きわたる様にも感じられる着信音は、田川だ。


ー あ、おれが来てない事がわかって、心配して・・・・ー


鳴ったままの着信音は、


今の「斎元」には、「斎元」を攻め立てるようにしか聞こえない。


ー どうしよう・・・ ー  われながら、情けない。


着信音は鳴り止み、次いで留守録。


ー 聞きたくない ー


「あ!もしもし~!!よしお!早よおいでや~


今日、休みはヤバイぞ~!!待ってま~す!!」


田川の、ちょっとヒョウキンな留守録の声。


ー遅刻してでも・・・行こうかな・・ー


外の雨はいよいよ本降りだ。 


「あ、傘・・・傘ないわ・・・・。買っとけよ・・おれ・・・」。


こうなると、何もかもが、どうでも良くなる。


ー取りあえず・・・・・ハラ減ったな。カップヌードルでも買いに行くかー


会社には、傘があっても行けないが、


コンビニへは傘が無くても走っていける自分が、


ちょっと面白い。


 


ローソンは「はしみ荘」の近くにもある。


コンビニについた「斎元」はカップヌードルを手にした後、


何故か、店内を一巡している自分に気づく。


探してる・・・・。「あの子」を。


しかし、此処は「あの子」のいたローソンではないのに。


ー オレは、もう、病気やな・・・ー。


「スナック菓子」のコーナーは、目の毒だ。


急に、自作の詩「記念日」が読み返したくなって、


さっさとレジをすませた


 


 


 


 


 


 


  


 


そらの物語32 「斎元の章・3 斎元のblog」

2010-06-15 10:18:55 | そらの物語


 


「斎元の章・3 斎元のblog」


 



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ーー     「記念日」について     --      2008・04・21 23:55


昨日UPの詩作「記念日」についてなんですけど、この前 仕事帰りのコンビニでの出来事です。


「君」っていうのは、実は 男の子なんです もちろん、僕は ”ゲイ” ではありません


本当に、「見かけた」というだけなのですが、なぜか、 ”そんな気 ” になってしまう子だったんです。


「少年」という程幼くもない。 ちょっと「ネコ系」の目?? 


それから、いろいろ考えてみて、実は僕は「そういう人だったのかも(笑)」と思い、ためしに某・大手ゲイ雑誌を


購入してみました。 ひょっとすると、「新しい自分」が見つかるかも(笑)・・・・


で、じっくりと拝読してみたのですが・・・ムリでした  「この世界は、僕にはムリ!!!」


確かに同性での恋愛やSexがあって、そういう世界があるって事を否定はしません。


むしろ、独自の感覚であり、感情であり、世界だとも思うのです。 でも、やっぱ、僕にはムリ!!でした


 ただ、間違いないのは、しばらく「その子」についての記事ばっかりになってしまいそうだ・・という事です。


確かに、可愛らしい容姿をしていましたし、「男の子」である事も確かです。 でも、今時男でも女以上に


可愛い人って、あっちこっちにいますよね?美形の男。 僕はちがうけど・・。


 僕は「美しいもの」が好きなので、毎日、街中のあっちこっちで見かけます。男女問わず。


でも、その子は、全く違ってたんです


で、その子もこちらを見ていて(ような気がする・・)、一瞬、見つめあったような、そんな感じでした。


う~ん、上手く表現できない・・・。・・・う~~~ん・・・。


 すみません、今日はこの事で、なんかあまり言葉が出て来ないので、やめときますね~ ちゅーとハンパ(笑)!!!!


 


斎元 よしお


 


 


コメント(4)


 


-----    え~~っ!!!何?それ??    ----   (かえで)            2008・4・22 1:15


 さ、斎元さん!!それは「恋」ですよ(笑)!!あれれ~!!


大変な事になりました(爆笑)


でも、斎元さんらしいような、らしくないような・・・・。


 


----     今度は美少年っスか??   -----   (ゴル男)            2008・2・22 1:54


 「その子」って実は女の子みたいな男の子みたいな・・・


本当は女の子だったりして(笑)!!


ってか、さいもっちゃん、「詩」のその背景とかは、


あまり言わない方がいいかも・・・・


だって、オレ、さいもっちゃんに好きな女ができて、


そのコの事を想っての言葉だとおもって、


ちょっとトキめいたりしてたのに・・・


いやいや、がっかりはしてないよ ただ、ここに


書いてしまうと、じゃあ、その次はどうなったんか、


書かなければいけなくなるし・・


とりあえず、「記念日」、今までのさいもっちゃんと


雰囲気違ってて、よかったよ~


 


-----     禁断です!!!  -----       (さきちゃん)         2008・4・22  5:09


 斎元さんそれは禁断の恋ですよ 


で、斎元さんはどうするの? そのコの住んでるトコとか、


調べてたり?あ!名前!名前もわかんない?? う~ん 気になる・・・


どんなコなんだろう??斎元さん、調べちゃダメよ!!きゃ~!!


 


 


------    新境地ですね!   -----     (ぞうむし)         2008・4・22  10:12


 僕も以前「BL小説」なるものにチャレンジした事があるのですが、


斎元さんの様に「実体験」をもとにしたものでなかったせいか、


なかなか上手く行きませんでした。 だいたい「男女」だったら、


最後をハッピーエンドでしめるとして、だいたい決まってるでしょう?


それが、「同性」となると・・・どこへ持っていけばよいやら・・・。


ハッピーな終わり方が、難しいんですね・・。


斎元さんと、その子のこれからが、どうか「ハッピー」でありますように!!!


 


 


「斎元」はごきげんだった。


しかし、それはコンビニで「そら」を見かけた その日だけだった。


もしくは、blogにコメントをくれた人たちに


御礼の返事を書いている間だけ。


出合った事の喜びは、それがしだいに真剣になればなるほど


喜びではなく、懊悩へと変わっていく。


ー コメントにもあった、あの子は誰なのか?


どこに住んでいるのか? また会えるのか?


で、会ったとしても、どうするのか?-


”回答のない問いかけ” は続く。


何か、つらい事があった訳ではない。


なのに、明日の仕事も、それに備えての今も、


何をどうしても、虚しい感覚から逃れられない。


今はコメントの返事が精一杯だった。


「斎元」の まさに ”出口なし” の悩める夜は


日々、色濃くなるばかりだった。


 


 


 


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そらの物語31 「斎元の章2・はしみ荘」

2010-06-12 08:55:01 | そらの物語


 


「斎元の章・2 はしみ荘」


 


大阪市城東区 野江1丁目、11の22


京阪電車 「野江駅」がすぐそこに見える2階立ての ”文化” は


「立て付けの悪さ」はこの界隈随一を誇り 朝の出勤時間ともなると


住人が「力いっぱい」に閉めるドアの振動が


3軒隣の花瓶を落とす程に 派手に響く事でうわさの文化だ


「はしみ荘」


この2階の ”京阪電車から丸見え” の部屋に


「斎元」は住んでいる 


京阪電車 「野江駅」は 勤め先の「優しさ倉庫」がある「京橋」のとなり


ひとつ京都よりの 「京橋」の賑やかさとはまるで別世界の


のどかで 小さな駅だ


「斎元」は 「勤め先にまあまあ近く、家賃が格安だから」という条件で


この「はしみ荘」を選んだのだが このレベル違いの「立て付けの悪さ」に


今は後悔していた


6畳・4畳半・キッチン・便所と浴室は一応別々で


浴室だけは改装されていて 「浴槽付きの白いシステム・バス」だ


この「美しい浴室」の他は ”たいがい” で


「駅のまん前」で月20000円の安価な家賃が 


納得できる状態だった


ドア・窓等 総じて言うと ”四角い穴” の全ては


平行四辺形か ひどい所になると ひし形に変形するまで


完全放置で 畳と畳の隙間も 右上と左下が微妙に開いていて


小銭を落としたりすると ちょっと苦労する


住人が朝の出勤時に ドアを「力いっぱい」に閉めるのは


そうしないと ちゃんと閉まらないからだ


木製のベランダも一応付いている しかし全ての住人は


そのベランダを使う事はない 


入居の際の注意に 「ベランダに乗らないでくださいね」


と言われるからだ


「斎元」も入居の際 このベランダに片足をのせて見たが


「ぎぃ・・しぃ・・・」という音に 命の危険を感じて 


もう片方の足を乗せる勇気は 湧かなかった



「斎元」は 厳しく優しい母の 生真面目さが息苦しくて


高校の途中でこの「はしみ荘」にやって来た


母の事は本当は大好きで 心から尊敬していた


近隣の老人たちの面倒見がよく 


常に笑顔を絶やす事のない 明るい母


いつか この母を泣かせる程の”立派な男”となって


「自分を生んでくれた事・育ててくれた事」への


恩返しをしたい と考えていた しかし 親元にいては 


いつまでたっても自分は 母の「腕」の中だ


そして大喧嘩の末、飛び出してきたのだ


 


 


「斎元」の ”体型” は特徴がある


大きな腰周りとでん部 短いめの足 長いめの胴体と腕


その上に生えだした様な長い顔と 乙女チックな目元は


初対面の人でも 噴出してしまいそうに ”のどか” だ


彼の性格の根底は ”牧歌的ともいえる優しさ” であり


”すなお” という日本語を 実体にしたような20歳だ


しかし そうかといって 何も考えがないという訳ではない


人並みに「計算」もすれば 憎んだり嘘をついたり


時には人を傷つけてしまったり 傷つけられたり


20歳の青年が必要とする一通りの経験はしてきている


しかし その根底はやっぱり ”牧歌的な優しさ” であり


”すなお” でしかあり得なかった


これは 聡明は母の 強い影響だろう


 


 


彼の特技は「詩」を書くこと


「詩」を読むこと 


彼の心が最も満たされる時間


しかし 彼が社会人として いかに生きるか を考えた時


この「詩」への思いは ただの「足かせ」にしかならない


当然 「詩」では ”食”ってはいけない


なのに 「詩」への思いはつのる つのる思いを言葉にしても


「10」のうち「1」くらいしか 納得はいかない 


言葉にすればするほど つらくなる事も多い


でも 言葉にせずには おれない


 


最近立ち上げた 彼のblogは いろいろやってみて


結局 「goo」か「mixi」に落ち着いた


彼は この「blog」というツールを通じて 


いっぱいいっぱいになる自分を


客観的に見つめなおす事ができた


これは 親友の「田川」の勧めでもあった


自作の「詩」だけでなく 「会社での失敗」を記事にした事があった


自虐的な 自分を嘲笑するような内容だった


誰もがあきれてしまうだろう と思っていた


ところが 反応は思ったより あたたかく 熱いコメントが多かった


その失敗により もう会社をやめようか 


と思いつめていた「斎元」にとって


その一通一通のコメントは 心に突き刺さり


湧き出す勇気と 「心がつながった感」は 


 涙に変わり 奮起の決意に変わった


 


 



 


この「はしみ荘」と「blog」


私達の「大調査」にとって きわめて重要度が高い


「はしみ荘」によって 進まなかった事柄が劇的に進展し


「blog」によって 見えなかった事実が見えたりするのである


 


 


 


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そらの物語30 「斎元の章・1 見ただけ」

2010-06-06 06:09:32 | そらの物語


 


「斎元の章・1 見ただけ」


 


「分解・えら子」の清掃は 口から吸い込むのが常である



”サイクロン方式” で世界一の吸引力を誇る 掃除機のダイソン等が


この「分解・えら子」の吸引力に着目するならば


即日・商品化のオファーは まず間違いないだろう


しかし 「分解・えら子」の「清掃」は 


どの様な場所の「清掃」においても 営利を目的としない


故に そうした企業へ向けての広報等も 行わないのである


 


「分解・えら子」の「清掃」は 卓越している


どんなゴミや塵も ミクロのレベルにまで分解し


「分解・えら子」が大好きな”草花”の 栄養素に変化させてしまう


いったい この類い稀な機能の”内訳”は


どの様な「しくみ」から成っているのか というと


端的には ”愛の力”で分解し、”愛の力”によって生成するのである


”草花” に対する「愛」こそが この機能の全てなのである


 


しかし私達の「大調査」において 「分解・えら子」の役割は


今の所「清掃」以外はない


その為「清掃」が終わってしまうと すぐに手が空いてしまうのだ


同様に 今 「師匠」が「月の者」らしきPCに張り付いたままで


「弟子」としては「やる事」がなくなってしまっている「メジ式」も


「分解・えら子」とセットにされても 文句はなかった



 


この二人だけでなく 生き物の中でもまだ若い


「大調査」の研修生たちも 一緒になり


「はたらき協議会」の会場は ようやく決まった


「国松町 自治会館」


日時は2008年5月20日


この日「自治会館」は ”くもんしき” や地域の子供達のための


”剣道教室” も入っておらず 午前の「清掃」のみで


午後からは閉館となるからだ



 


私達と「斎元」との出会いは この「はたらき協議会」より


もう少し後になるが もしこの時点で私達と「斎元」との繋がりが


出来ていれば 「大調査」の”ありかた”自体が


かなり違ったものになっていたはずだ


その理由は 彼は「はたらき協議会」よりも前に


「和解マン」との接触に成功していたから



 


「斎元」は思春期の頃より ”恋多き” 人だった


そして たいがいは ”悲恋” に終わる


そんな彼も近頃は 自身が立ち上げたBlogを通じて


多くの「Blog友達」が生まれ その中でも「さきちゃん」という


「斎元」と同じく詩作のBlogを持つ女性と ”いい感じ” でもあった


ただ ”いい感じ” といっても 会ったことも話したこともない


しかしだからこそ ”いい感じ”といった類の「いい感じ」であった


「さきちゃん」のプロフィールには 「鳥取県在住」とある


「花の女子高生」とも書いてある お互いの「詩作」に対して


批評したり感想のやり取りをするうちに 会ってみたいなと


お互いが思うようにも ”なりつつ” あったのだ


 


しかし ある仕事帰りの「斎元」が 


いつものコンビニ前・喫煙灰皿の所で 


携帯電話に「詩作」のための原稿を打ち込んでいる時 


彼の全てを一気に変える 出会いがあったのだ


 


出会いというよりは ”見ただけ”


 


そこには「薄い瞳」が あった


 


それが「そら」だという事は 


この時点ではまだ何もわからなかった


しかし 彼に関わる「全て」 


「仕事」の事や「友人」の事 「Blog」の事や


「さきちゃん」の事 「和解マン」の事についても


それら「全て」が吹き飛ぶ勢いの 「衝撃」であったのだ


彼はその事を 「記念日」という作品にしてみた 


 


”出会い” というよりは ”見ただけ” 


という方が正しい 始まりである



 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


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