ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 21ページ目 若手天才ソムリエシュヴァリエ来日 

2011-12-29 22:46:48 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【21ページ】


 ワインを受け取ったラプリュイは、それを抜栓し、3つのワイングラスに注いだ。

「和さん、テイスティングをお願いします。」

そして、ルヴォル大使は、シュヴァリエにも飲むよう勧めた。

「私もテイスティングですか?」

「いや、テイスティング対決用の3本は、とっておきのワインを用意したので、

我々もいただきましょう。」


 和音は、グラスを手に取って、一口含んだ。

シュヴァリエも一口飲み、ワイン名は判ったという顔をした。

和音は、さらに一口飲んだ。

「とてもおいしいワインですね?」

「ワイン名とヴィンテージは判りましたか?」

ルヴォル大使が聞くと、和音はそれには答えず、目を閉じ、一口飲んだ。

「ある光景が目に浮かんできました。クリスマスシーズンを迎えたニューヨークの

街並みは、イルミネーションに飾られてとても華やかだ!」


 和音は、目に浮かんだ情景を話しながら、さらに一口飲んだ。

「おお、あるレストランの前に次から次へと高級車が止まり、人が降りてくる。

彼らは、政治家風の人、実業家風の人、俳優や女優を思わせる人々だ!」


 和音は、また一口含んで、話を続けた。

「今度はレストランの中の光景が目に浮かんできました。テーブルには、数人

が座り、食事とワインを楽しんでいる。」