これが、住民からも、メディアからも隠されて巨大化した奄美の自衛隊基地だ!
3月26日に編成され、3月31日に開設記念式典を行った奄美駐屯地・奄美瀬戸内分屯地という2つの基地。政府・自衛隊は、防衛副大臣、陸幕長以下の西部方面隊幹部50人を引き連れて記念行事を行い、報道陣に初めて、基地の全容を公開した。編成され配備された部隊にも驚くが、もっと重大な事態は、この公開された基地のとてつもない巨大さだ。
(奄美駐屯地[大熊地区])
この奄美駐屯地(大熊地区)の敷地面積50万4674㎡(50.5㏊)、瀬戸内分屯地(瀬戸内町節子地区)の面積48万279㎡(48㏊)という、初めて公表された基地……この大きさは、宮古島駐屯地(千代田地区、22㏊)の5倍、石垣島に予定する駐屯地(46㏊)の2.2倍という面積、福岡ヤフオクドームの7.3個分、6.9個分という大きさだ。
問題は、この巨大な基地の面積は、この日、初めて報道陣に公開されたということであり、地元の防衛省説明会でもこれまで一切、提示しなかったということだ。かろうじて、鹿児島建設新聞が、この敷地面積を公開していたのだが、この建設業界にさえ、自衛隊はウソをついていたか、建設業界と自衛隊ぐるみで隠蔽を図ったということだ。
(奄美・瀬戸内分屯地、左が瀬戸内分屯地A地区、右が瀬戸内分屯地B地区[弾薬庫地区])
下記の資料に、2017年の工事開始時の建設業界の発表記事があるが、ここには、奄美駐屯地30㏊、瀬戸内町節子地区28㏊と、はっきり明記されている。要するに、建設業界には、それぞれ半分ほどの敷地面積が公表されたということだ。
宮古島でも、石垣島でも、与那国島でも、防衛省はあらかじめ基地の敷地面積を公表していた。当然である。だが、このようにウソまでついて、この巨大基地建設を隠していた意図は何か?
その内容を結論から言うならば、この奄美大島の基地が、南西シフト態勢下の巨大な「兵站基地」であり、「機動展開拠点」であることを、奄美市民はもとより、メディアからも、国民からも隠しておきたかったということである。
全てのマスメディアが、3月26日に奄美駐屯地が開設されるまで、一切の報道について沈黙を守ったことがその証拠である。この日まで、在「本土」マスメディアは、1分・1行たりとも、鹿児島のマスコミを含めて、この奄美大島の基地建設について、報道しなかったのだ。貝のように沈黙し続けたのだ(変節した朝日新聞が、奄美大島の基地建設について沈黙し、完全報道規制しているだけでなく、マスコミでは唯一ジャーナリズム精神を発揮している東京新聞でさえ、奄美基地については完全に報道規制しているという、とんでもない、恐るべき状況が現れている)。
自衛隊情報保全隊(調査隊)が編成配備された奄美駐屯地
この日、メディアに発表された資料によれば、奄美駐屯地には、警務隊とともに、自衛隊情報保全隊が配備された(上図のB庁舎の配置図参照)。この悪名高い自衛隊情報保全隊とは、自衛隊の対住民情報機関(スパイ)で、かつて調査隊と呼ばれた組織だ。反戦集会などに潜入し、市民・住民の動向調査をするスパイ組織で、今まで多くの反戦集会などで隊員が摘発され、告発された。近い所では、イラク反戦への住民動向調査で、市民多数から裁判所に訴えられ、裁判でそのスパイ活動について認定、賠償されられたこともある(2016年高裁判決確定 https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG16HG1_W6A210C1000000/)。
問題は、なぜ、わずか300人という規模の部隊に自衛隊情報保全隊が配備されたのか、ということだ。本来、自衛隊情報保全隊は、陸自でも方面隊規模の部隊配置である。この理由は、与那国駐屯地配備の自衛隊情報保全隊と同様である(情報公開文書参照)。つまり、先島―南西諸島配備は、住民の強烈な反対の中での配備であり、今後もこの反対運動の広がりは予想される、したがって、絶えず住民の動向調査が自衛隊にとって必要不可欠と判断したということである(したがって、宮古島駐屯地の自衛隊についても、間違いなくこの情報保全隊は配備されている!)。
ちなみに、陸自が「島嶼戦争」で予定する、対ゲリラ・コマンドウ作戦では、住民の動向調査が、大きな作戦となっている(陸自教範『対ゲリラ・コマンドウ作戦』)。
南西シフト態勢下の重大な兵站拠点、機動展開拠点に位置付けられた奄美大島基地
さて、奄美駐屯地50.5㏊、瀬戸内分屯地48㏊という巨大基地の出現は、自衛隊の南西シフト態勢にどのような意味をもつのか?
結論すれば、奄美大島(種子島ー馬毛島)が、先島―南西諸島における「島嶼戦争」=海洋限定戦争の、一大兵站基地・機動展開拠点として、位置付けられていた、ということである。上図の拙著『自衛隊の南西シフト』所収の情報公開文書は、「薩南諸島」(種子島から沖永良部島)の軍事的位置付けが明記されている。
すなわち、薩南諸島は、「南西地域における事態生起時の重要な後方支援拠点」であり、「奄美大島の名瀬港は海自輸送上の重要な中継拠点」、「空自通信の南西地域の航空作戦の基盤」であり、「薩南諸島は、陸自ヘリ運用上の中継拠点」である、ということだ。
つまり、南西シフト態勢下の、兵站拠点、機動展開拠点であるが、言い換えれば奄美大島は、「海上兵站」拠点、種子島(馬毛島)は、「航空兵站」拠点だということだ。
瀬戸内分屯地の巨大弾薬庫!
この実態を図示しよう。この文書は、地元住民が情報公開で提出させた文書である。
図は、瀬戸内町節子地区の瀬戸内分屯地のB地区の図と配備表である。この中には、「貯蔵庫A×5棟」、「各1000㎡」というものが明記されている。これこそ、ミサイル部隊の弾薬庫である。別の図には、そのB地区の地下に予定される5本のトンネル上のミサイル弾薬庫が図示されている(第1ミサイル連隊[北海道の弾薬庫参照])。
この5本の貯蔵庫には、おそらく、数百発のミサイル弾体の保管が予定されている。つまり、先島―南西諸島で、有事に使用するミサイル部隊の弾体すべての保管が予定され、この地域から、先島―南西諸島への兵站・弾薬供給が行われるということだ。
ところで、3月31日に報道陣に公表された、この「火薬庫」は、南海日日新聞によると、「30万6551㎡が大型ミサイルの弾薬や小銃などを保管する火薬庫。完成は来年度以降となるものの、現在配備された装備品の弾薬はすでに配備が完了している」(4月1日付同紙、宮古島で問題となった、「中距離多目的誘導弾(ミサイル)弾体」も!)ということだ。
*注、2019年3月26日付朝雲新聞によれば、南海日日新聞記事による弾薬庫面積30万6551㎡というのは、正確な報道であったことが記されている。それにしても、この瀬戸内分屯地自体が、南西シフト態勢の兵站拠点出あることが、あらためて裏付けられた。
「『三日月』のような細長い形の分屯地の総面積は約48万平方メートル(ヤフオクドーム6.9個分)で、広さは奄美駐屯地に匹敵する。ここの敷地の約3分の2が弾薬や武器を保管する火薬庫となっています。完成は来年度以降になりますが、現在導入された装備品の弾薬はすでに配備が完了しています』と菅広報室長。」(朝雲新聞)
だが、この新聞が明記する約30万㏊が、「火薬庫」というのは、正しいのだろうか? 図表には、合計5000㎡と明記してあり、他には大きな「整備工場」などが設置される予定である。これらが、巨大な兵站施設であることは確かであるが、もし、この新聞の記述に間違いがないとすれば、防衛省は情報公開文書にさえ、ウソの図表で公開したということになる。
いずれにしても、この瀬戸内分屯地が巨大なミサイル部隊の弾薬庫であり、南西シフト態勢の兵站拠点であることは明らかだ。
奄美大島などの対艦・対空ミサイル部隊配備は、兵站防衛部隊だ!
さて、この情報公開文書で明らかになったもう一つの重大な内容は、「島嶼戦争」=琉球列島弧の海峡封鎖作戦の、巨大兵站・機動展開拠点として、奄美大島ー種子島などが位置付けられた、作戦化されたということだ。
従来、日米の「島嶼戦争」において、奄美大島を含む対艦・対空ミサイル部隊の配備は、琉球列島弧の海峡封鎖作戦の一貫、つまり、奄美大島のミサイル部隊配備は、大隅海峡などの通峡阻止作戦の一貫として想定されていた。しかし、この情報公開文書をはじめとする計画が明記するのは、奄美大島などの薩南諸島は、先島―南西諸島への兵站物資の補給・機動展開拠点であるということだ。
(馬毛島ー種子島の軍事化を示す防衛省情報公開文書)
そして、この兵站拠点を防御するために、海空作戦とともに、地対艦ミサイルを配備するのであり、この地対艦ミサイルを防御するために地対空ミサイルを配備するというものだ。さらに言うならば、この鈍重な、発射したら位置がすぐにバレる、対艦・対空ミサイル部隊を防御するために警備部隊を配備するということである(陸自教範『地対艦ミサイル連隊』『対ゲリラ・コマンドウ作戦』参照、拙著所収)。
こうして、この兵站拠点など防御するために、次々と「島嶼防衛用高速滑空弾部隊・2個高速滑空弾大隊」(新防衛大綱)や、巡航ミサイル、PAC3などが配備されていくことは疑いない。
なお、奄美駐屯地には、空自の移動警戒隊の配備が予定されており、同島の最高峰・湯湾岳には、空自の通信基地配備が予定されている(陸海空の配備!)
拡大し増殖する奄美大島、そして薩南諸島の島々の軍事化
宮古島への、ウソで塗り固められた、ミサイル弾薬庫設置の問題と同様、奄美大島、与那国島を含め、一旦、造られた軍事基地は増殖していくのみだ。
奄美大島では、瀬戸内町古仁屋港で、海自の誘致運動が始まり、また徳之島でも、自衛隊の誘致運動が始まりつつあり、この一帯の沖永良部島まで、既に「鎮西演習」という西部方面隊の機動展開演習が繰り返し行われている。「生地訓練」という名の市街地訓練、機動展開訓練である。
(2018年10月、南種子町での統合機動演習[市街地])
この凄まじい南西シフト態勢下の、薩南諸島の軍事化・要塞化の実態を、全国の心ある人々は、凝視して見てほしい。馬毛島の日米の、特に自衛隊の要塞化を、冷徹に見てほしい。
そして、何よりも、孤立しながらも、必死にこの巨大な軍事化を阻もうとしている、抵抗している島々の、人々の、声を聞いてほしい。
奄美大島でも、宮古島でも、石垣島でも、そして沖縄島でも、南西シフト態勢の軍事化とのたたかいは、これからが正念場だ。
*3月31日、奄美大島で提出された住民らの防衛大臣等への「請願書」
請願書
防衛大臣 殿
統合幕僚長 殿
陸上幕僚長 殿
奄美警備隊兼奄美駐屯地司令 殿
奄美駐屯地瀬戸内分屯地司令 殿
西部方面特科隊第5地対艦ミサイル連隊第301地対艦ミサイル中隊隊長 殿
西部方面隊第2高射特科団第3高射特科群第344高射中隊隊長 殿
日本国憲法第16条「請願」および請願法に基づき、以下の請願を行う。
1、奄美警備隊および地対艦・地対空ミサイル部隊等の自衛隊の部隊は、奄美大島市街地での訓練・演習などでの、いわゆる「生地訓練」などを行わないこと、武器を携行し、武装した部隊の奄美市街地・周辺海岸でのいかなる訓練展開・演習・活動を行わないこと。
2、奄美大島の地対艦・地対空ミサイル部隊等は、アマミノクロウサギ等の生息地に配慮し、夜間における駐屯地外での移動・訓練・演習を行わないこと。
3、自衛隊配備に関する奄美市民への説明会資料などにある、奄美の景勝地・江仁屋離島での訓練・演習を中止すること(防衛省説明資料「奄美大島への部隊配備について、統合演習等の実施範囲「瀬戸内町」、「鎮西25」演習以後の演習等)。
4、西部方面隊の「鎮西演習」等で行われている、94式水際地雷敷設装置などを使用した古仁屋港などでの、市街地・周辺海域での地雷施設訓練を直ちに中止し、今後とも行わないこと。
5、自衛隊および米軍の奄美空港、旧奄美空港などを使用した、オスプレイ、軍用ヘリ、軍用航空機での訓練・演習を行わないこと。
6、自衛隊の各級指揮官は、休日等における隊員の事故防止に努め、市民の平穏な生活を保障すること。
2019年3月31日
奄美市名瀬●町○○番地 氏名(奄美市民の連名)
*鹿児島建設新聞(2017/9/7)
防衛省は、奄美大島に新設する駐屯地の整備費として2016年度予算案に約86億7000円を盛り込んでおり、造成と実施設計に着手する。また、鹿屋航空基地では、アメリガ軍の訓練に伴う施設整備費として約11億円、湯湾岳で通信所開設に向けて約10億1000万円を配分した。
駐屯地を新設する場所は、奄美大島の2カ所。奄美市の場所は、「奄美カントリーの一部」で敷地面積は約30ha。16年度は約45億円。
施設概要は、RC造4階建約8200㎡と約6000㎡の隊庁舎2棟をはじめ、訓練施設(RC造平屋建て約1万1200㎡)、体育館(同2階建約1500㎡)のほか、食房・浴場・厚生施設、車両整備場ほか27棟。
瀬戸内町は、節子地区の町有地で敷地面積は約28ha。16年度予算は約41億円。主な施設は、隊庁舎がRC造2階建約6300㎡、体育館(同2階建約1500㎡)、食厨・浴場・厚生施設、車両整備場など23棟などの設置を計画。官舎は、阿木名地区を選定した。
鹿屋航空基地では、アメリカ軍岩国基地に展開している空中給油機KC-130型機の訓練用地として約5haのコンクリート舗装を実施。契約ベースの事業費は約22億円。
大和村と宇検村にまたがる湯湾岳には、航空警戒管制の通信開設所に向けて、用地取得と通信装置の製造を予定している。
また、南西地域における移動式警戒管制レーダーの展開基盤整備は、約3億円を計上。奄美市に整備する駐屯基地内に整備することにより、隙のない警戒監視体制を保持する。http://www.senmonshi.com/archive/02/02D56TLjT53226.asp?fbclid=IwAR1DZ6dhR1jU5GhuCuBUwfpydrttFwgHvng4q7kejDt48mkSRYogb4ilWCw
3月26日に編成され、3月31日に開設記念式典を行った奄美駐屯地・奄美瀬戸内分屯地という2つの基地。政府・自衛隊は、防衛副大臣、陸幕長以下の西部方面隊幹部50人を引き連れて記念行事を行い、報道陣に初めて、基地の全容を公開した。編成され配備された部隊にも驚くが、もっと重大な事態は、この公開された基地のとてつもない巨大さだ。
(奄美駐屯地[大熊地区])
この奄美駐屯地(大熊地区)の敷地面積50万4674㎡(50.5㏊)、瀬戸内分屯地(瀬戸内町節子地区)の面積48万279㎡(48㏊)という、初めて公表された基地……この大きさは、宮古島駐屯地(千代田地区、22㏊)の5倍、石垣島に予定する駐屯地(46㏊)の2.2倍という面積、福岡ヤフオクドームの7.3個分、6.9個分という大きさだ。
問題は、この巨大な基地の面積は、この日、初めて報道陣に公開されたということであり、地元の防衛省説明会でもこれまで一切、提示しなかったということだ。かろうじて、鹿児島建設新聞が、この敷地面積を公開していたのだが、この建設業界にさえ、自衛隊はウソをついていたか、建設業界と自衛隊ぐるみで隠蔽を図ったということだ。
(奄美・瀬戸内分屯地、左が瀬戸内分屯地A地区、右が瀬戸内分屯地B地区[弾薬庫地区])
下記の資料に、2017年の工事開始時の建設業界の発表記事があるが、ここには、奄美駐屯地30㏊、瀬戸内町節子地区28㏊と、はっきり明記されている。要するに、建設業界には、それぞれ半分ほどの敷地面積が公表されたということだ。
宮古島でも、石垣島でも、与那国島でも、防衛省はあらかじめ基地の敷地面積を公表していた。当然である。だが、このようにウソまでついて、この巨大基地建設を隠していた意図は何か?
その内容を結論から言うならば、この奄美大島の基地が、南西シフト態勢下の巨大な「兵站基地」であり、「機動展開拠点」であることを、奄美市民はもとより、メディアからも、国民からも隠しておきたかったということである。
全てのマスメディアが、3月26日に奄美駐屯地が開設されるまで、一切の報道について沈黙を守ったことがその証拠である。この日まで、在「本土」マスメディアは、1分・1行たりとも、鹿児島のマスコミを含めて、この奄美大島の基地建設について、報道しなかったのだ。貝のように沈黙し続けたのだ(変節した朝日新聞が、奄美大島の基地建設について沈黙し、完全報道規制しているだけでなく、マスコミでは唯一ジャーナリズム精神を発揮している東京新聞でさえ、奄美基地については完全に報道規制しているという、とんでもない、恐るべき状況が現れている)。
自衛隊情報保全隊(調査隊)が編成配備された奄美駐屯地
この日、メディアに発表された資料によれば、奄美駐屯地には、警務隊とともに、自衛隊情報保全隊が配備された(上図のB庁舎の配置図参照)。この悪名高い自衛隊情報保全隊とは、自衛隊の対住民情報機関(スパイ)で、かつて調査隊と呼ばれた組織だ。反戦集会などに潜入し、市民・住民の動向調査をするスパイ組織で、今まで多くの反戦集会などで隊員が摘発され、告発された。近い所では、イラク反戦への住民動向調査で、市民多数から裁判所に訴えられ、裁判でそのスパイ活動について認定、賠償されられたこともある(2016年高裁判決確定 https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG16HG1_W6A210C1000000/)。
問題は、なぜ、わずか300人という規模の部隊に自衛隊情報保全隊が配備されたのか、ということだ。本来、自衛隊情報保全隊は、陸自でも方面隊規模の部隊配置である。この理由は、与那国駐屯地配備の自衛隊情報保全隊と同様である(情報公開文書参照)。つまり、先島―南西諸島配備は、住民の強烈な反対の中での配備であり、今後もこの反対運動の広がりは予想される、したがって、絶えず住民の動向調査が自衛隊にとって必要不可欠と判断したということである(したがって、宮古島駐屯地の自衛隊についても、間違いなくこの情報保全隊は配備されている!)。
ちなみに、陸自が「島嶼戦争」で予定する、対ゲリラ・コマンドウ作戦では、住民の動向調査が、大きな作戦となっている(陸自教範『対ゲリラ・コマンドウ作戦』)。
南西シフト態勢下の重大な兵站拠点、機動展開拠点に位置付けられた奄美大島基地
さて、奄美駐屯地50.5㏊、瀬戸内分屯地48㏊という巨大基地の出現は、自衛隊の南西シフト態勢にどのような意味をもつのか?
結論すれば、奄美大島(種子島ー馬毛島)が、先島―南西諸島における「島嶼戦争」=海洋限定戦争の、一大兵站基地・機動展開拠点として、位置付けられていた、ということである。上図の拙著『自衛隊の南西シフト』所収の情報公開文書は、「薩南諸島」(種子島から沖永良部島)の軍事的位置付けが明記されている。
すなわち、薩南諸島は、「南西地域における事態生起時の重要な後方支援拠点」であり、「奄美大島の名瀬港は海自輸送上の重要な中継拠点」、「空自通信の南西地域の航空作戦の基盤」であり、「薩南諸島は、陸自ヘリ運用上の中継拠点」である、ということだ。
つまり、南西シフト態勢下の、兵站拠点、機動展開拠点であるが、言い換えれば奄美大島は、「海上兵站」拠点、種子島(馬毛島)は、「航空兵站」拠点だということだ。
瀬戸内分屯地の巨大弾薬庫!
この実態を図示しよう。この文書は、地元住民が情報公開で提出させた文書である。
図は、瀬戸内町節子地区の瀬戸内分屯地のB地区の図と配備表である。この中には、「貯蔵庫A×5棟」、「各1000㎡」というものが明記されている。これこそ、ミサイル部隊の弾薬庫である。別の図には、そのB地区の地下に予定される5本のトンネル上のミサイル弾薬庫が図示されている(第1ミサイル連隊[北海道の弾薬庫参照])。
この5本の貯蔵庫には、おそらく、数百発のミサイル弾体の保管が予定されている。つまり、先島―南西諸島で、有事に使用するミサイル部隊の弾体すべての保管が予定され、この地域から、先島―南西諸島への兵站・弾薬供給が行われるということだ。
ところで、3月31日に報道陣に公表された、この「火薬庫」は、南海日日新聞によると、「30万6551㎡が大型ミサイルの弾薬や小銃などを保管する火薬庫。完成は来年度以降となるものの、現在配備された装備品の弾薬はすでに配備が完了している」(4月1日付同紙、宮古島で問題となった、「中距離多目的誘導弾(ミサイル)弾体」も!)ということだ。
*注、2019年3月26日付朝雲新聞によれば、南海日日新聞記事による弾薬庫面積30万6551㎡というのは、正確な報道であったことが記されている。それにしても、この瀬戸内分屯地自体が、南西シフト態勢の兵站拠点出あることが、あらためて裏付けられた。
「『三日月』のような細長い形の分屯地の総面積は約48万平方メートル(ヤフオクドーム6.9個分)で、広さは奄美駐屯地に匹敵する。ここの敷地の約3分の2が弾薬や武器を保管する火薬庫となっています。完成は来年度以降になりますが、現在導入された装備品の弾薬はすでに配備が完了しています』と菅広報室長。」(朝雲新聞)
だが、この新聞が明記する約30万㏊が、「火薬庫」というのは、正しいのだろうか? 図表には、合計5000㎡と明記してあり、他には大きな「整備工場」などが設置される予定である。これらが、巨大な兵站施設であることは確かであるが、もし、この新聞の記述に間違いがないとすれば、防衛省は情報公開文書にさえ、ウソの図表で公開したということになる。
いずれにしても、この瀬戸内分屯地が巨大なミサイル部隊の弾薬庫であり、南西シフト態勢の兵站拠点であることは明らかだ。
奄美大島などの対艦・対空ミサイル部隊配備は、兵站防衛部隊だ!
さて、この情報公開文書で明らかになったもう一つの重大な内容は、「島嶼戦争」=琉球列島弧の海峡封鎖作戦の、巨大兵站・機動展開拠点として、奄美大島ー種子島などが位置付けられた、作戦化されたということだ。
従来、日米の「島嶼戦争」において、奄美大島を含む対艦・対空ミサイル部隊の配備は、琉球列島弧の海峡封鎖作戦の一貫、つまり、奄美大島のミサイル部隊配備は、大隅海峡などの通峡阻止作戦の一貫として想定されていた。しかし、この情報公開文書をはじめとする計画が明記するのは、奄美大島などの薩南諸島は、先島―南西諸島への兵站物資の補給・機動展開拠点であるということだ。
(馬毛島ー種子島の軍事化を示す防衛省情報公開文書)
そして、この兵站拠点を防御するために、海空作戦とともに、地対艦ミサイルを配備するのであり、この地対艦ミサイルを防御するために地対空ミサイルを配備するというものだ。さらに言うならば、この鈍重な、発射したら位置がすぐにバレる、対艦・対空ミサイル部隊を防御するために警備部隊を配備するということである(陸自教範『地対艦ミサイル連隊』『対ゲリラ・コマンドウ作戦』参照、拙著所収)。
こうして、この兵站拠点など防御するために、次々と「島嶼防衛用高速滑空弾部隊・2個高速滑空弾大隊」(新防衛大綱)や、巡航ミサイル、PAC3などが配備されていくことは疑いない。
なお、奄美駐屯地には、空自の移動警戒隊の配備が予定されており、同島の最高峰・湯湾岳には、空自の通信基地配備が予定されている(陸海空の配備!)
拡大し増殖する奄美大島、そして薩南諸島の島々の軍事化
宮古島への、ウソで塗り固められた、ミサイル弾薬庫設置の問題と同様、奄美大島、与那国島を含め、一旦、造られた軍事基地は増殖していくのみだ。
奄美大島では、瀬戸内町古仁屋港で、海自の誘致運動が始まり、また徳之島でも、自衛隊の誘致運動が始まりつつあり、この一帯の沖永良部島まで、既に「鎮西演習」という西部方面隊の機動展開演習が繰り返し行われている。「生地訓練」という名の市街地訓練、機動展開訓練である。
(2018年10月、南種子町での統合機動演習[市街地])
この凄まじい南西シフト態勢下の、薩南諸島の軍事化・要塞化の実態を、全国の心ある人々は、凝視して見てほしい。馬毛島の日米の、特に自衛隊の要塞化を、冷徹に見てほしい。
そして、何よりも、孤立しながらも、必死にこの巨大な軍事化を阻もうとしている、抵抗している島々の、人々の、声を聞いてほしい。
奄美大島でも、宮古島でも、石垣島でも、そして沖縄島でも、南西シフト態勢の軍事化とのたたかいは、これからが正念場だ。
*3月31日、奄美大島で提出された住民らの防衛大臣等への「請願書」
請願書
防衛大臣 殿
統合幕僚長 殿
陸上幕僚長 殿
奄美警備隊兼奄美駐屯地司令 殿
奄美駐屯地瀬戸内分屯地司令 殿
西部方面特科隊第5地対艦ミサイル連隊第301地対艦ミサイル中隊隊長 殿
西部方面隊第2高射特科団第3高射特科群第344高射中隊隊長 殿
日本国憲法第16条「請願」および請願法に基づき、以下の請願を行う。
1、奄美警備隊および地対艦・地対空ミサイル部隊等の自衛隊の部隊は、奄美大島市街地での訓練・演習などでの、いわゆる「生地訓練」などを行わないこと、武器を携行し、武装した部隊の奄美市街地・周辺海岸でのいかなる訓練展開・演習・活動を行わないこと。
2、奄美大島の地対艦・地対空ミサイル部隊等は、アマミノクロウサギ等の生息地に配慮し、夜間における駐屯地外での移動・訓練・演習を行わないこと。
3、自衛隊配備に関する奄美市民への説明会資料などにある、奄美の景勝地・江仁屋離島での訓練・演習を中止すること(防衛省説明資料「奄美大島への部隊配備について、統合演習等の実施範囲「瀬戸内町」、「鎮西25」演習以後の演習等)。
4、西部方面隊の「鎮西演習」等で行われている、94式水際地雷敷設装置などを使用した古仁屋港などでの、市街地・周辺海域での地雷施設訓練を直ちに中止し、今後とも行わないこと。
5、自衛隊および米軍の奄美空港、旧奄美空港などを使用した、オスプレイ、軍用ヘリ、軍用航空機での訓練・演習を行わないこと。
6、自衛隊の各級指揮官は、休日等における隊員の事故防止に努め、市民の平穏な生活を保障すること。
2019年3月31日
奄美市名瀬●町○○番地 氏名(奄美市民の連名)
*鹿児島建設新聞(2017/9/7)
防衛省は、奄美大島に新設する駐屯地の整備費として2016年度予算案に約86億7000円を盛り込んでおり、造成と実施設計に着手する。また、鹿屋航空基地では、アメリガ軍の訓練に伴う施設整備費として約11億円、湯湾岳で通信所開設に向けて約10億1000万円を配分した。
駐屯地を新設する場所は、奄美大島の2カ所。奄美市の場所は、「奄美カントリーの一部」で敷地面積は約30ha。16年度は約45億円。
施設概要は、RC造4階建約8200㎡と約6000㎡の隊庁舎2棟をはじめ、訓練施設(RC造平屋建て約1万1200㎡)、体育館(同2階建約1500㎡)のほか、食房・浴場・厚生施設、車両整備場ほか27棟。
瀬戸内町は、節子地区の町有地で敷地面積は約28ha。16年度予算は約41億円。主な施設は、隊庁舎がRC造2階建約6300㎡、体育館(同2階建約1500㎡)、食厨・浴場・厚生施設、車両整備場など23棟などの設置を計画。官舎は、阿木名地区を選定した。
鹿屋航空基地では、アメリカ軍岩国基地に展開している空中給油機KC-130型機の訓練用地として約5haのコンクリート舗装を実施。契約ベースの事業費は約22億円。
大和村と宇検村にまたがる湯湾岳には、航空警戒管制の通信開設所に向けて、用地取得と通信装置の製造を予定している。
また、南西地域における移動式警戒管制レーダーの展開基盤整備は、約3億円を計上。奄美市に整備する駐屯基地内に整備することにより、隙のない警戒監視体制を保持する。http://www.senmonshi.com/archive/02/02D56TLjT53226.asp?fbclid=IwAR1DZ6dhR1jU5GhuCuBUwfpydrttFwgHvng4q7kejDt48mkSRYogb4ilWCw
WGIP自虐史観の情弱国民にでも理由や経緯を説明すれば誰一人反対しないでしょうね。
反日帰化人の場合はどんな理由であれ反対するでしょう。日本を守る気がない方の意見は無視してよろしいかと思います。