今、自衛隊の在り方を問う!

急ピッチで進行する南西シフト態勢、巡航ミサイルなどの導入、際限なく拡大する軍事費、そして、隊内で吹き荒れるパワハラ……

石垣島・平得大俣地区の基地選定に係わる用地取得の重大な疑惑について――ゼネコンによる基地配置の図面まで造られていたカラ岳周辺

2019年07月25日 | 政治・沖縄・日米共同作戦
 石垣島の基地予定地・平得大俣選定の重大な疑惑の内部からの告発!

(ゼネコンが作成した、カラ岳周辺の基地配置図面「Ⅰproject」と新石垣空港から見たカラ岳)

筆者は、6月下旬から、造成工事が始められたばかりの、石垣島・陸自ミサイル基地の現地調査・視察に訪れた。この造成工事の進捗状況の実態を把握するためであり、造成工事に係わる問題点を筆者なりに探るためである。

 この調査で、石垣島のミサイル基地建設予定地に係わる重大な疑惑が明らかとなった。
 結論から言えば、現在決定・着工されているジュマール・ゴルフ場を中心とする平得大俣地域への基地用地選定には、大きな疑義、土地売買利権さえも絡む疑惑があるということだ。

 つまり、石垣島における基地建設予定地は、もともとは新石垣空港周辺地域――カラ岳北部・南部地域であった可能性が大である。

 この度、筆者に寄せられたのは、大手ゼネコンの関係者を介しての地元の有力者からだ。
 基地建設に係わる「Ⅰproject」という図面を見てほしい。ここに示された基地予定地は、石垣空港北――カラ岳の南北にわたる地域であり、詳細な基地予定地図面ができあがっている。



沖縄防衛局作成の「平得大俣の施設配置案」と見比べてとよく分かる。「平得大俣配置案」に配備予定の、庁舎等の施設や弾薬庫・射撃場の配置なども、全く同様の配置である。違いは、基地の規模だ。平得大俣地区の46ヘクタールに対し、この基地は68ヘクタールという大規模なものである。
 そして、需要なのは、この一帯は、住宅地もほとんどなく、環境面からしても、本来、「最適地」たりうるものだ。

 第2次選定エリアの疑惑

 ところで、筆者の情報公開請求で昨年提出された自衛隊の南西シフト態勢に係わる320点・約5千頁の文書がある。
 その中の1つに「南西地域資料収集整理業務報告書」(2014年3月、防衛省装備施設本部・アジア航測)という文書があり、これは民間委託によって、南西シフト態勢下で琉球列島弧の島々への部隊配置調査――西表島・石垣島・宮古島・奄美大島などの琉球列島弧の島々への自衛隊配置計画の最初の調査資料である(第1次選定エリアは、先島156箇所、奄美群島217箇所)。

 この中の石垣島については、「1次選定エリア」として、57箇所が、2次選定エリアとして7箇所が明記されている(16頁~および158頁~)。
 そして、2次選定エリアの最終的予定地として決定されたのが、平得大俣地区(59・60地区)、カラ岳地域(57地区)、「サッカーパーク・あかんま」などであった。

 問題は、この7箇所のうち、周辺に農地・住宅地がほとんどなく、環境負荷も少なく、用地買収の必要性も少ない地域は、添付のようにカラ岳周辺であることは明らかということだ。同文書では、以下のように記述する。

 「適地エリアは●●の●●北側に位置する。南部は●●からの傾斜によって少し高台となっている。北側は、東側の海に向かって斜面になっている。このような形状から造成工事は容易である」(177頁●●は「黒塗り箇所)
 「産業および周辺状況 放牧地およびサトウキビ畑、牧草地が適地エリアの主な利用」(同頁)


 新石垣空港まで南830メートルの距離にあり、カラ岳(標高135・9メートル)の北側に位置するこの場所こそ、詳細な図面が作成されていることから明らかだが、石垣島基地建設の本当の予定地であったということだ。

 石垣市と「幸福の科学」との癒着

 ところで、この石垣島における自衛隊用地の問題に関しては、かつて沖縄大学の髙良沙哉氏が現地調査を行っている(『「地域研究』2016年9月)。
 同氏によれば、石垣島・平得大俣への用地の選定は、政治的選定であり、また現在の予定地されている平得大俣地域自体も、2次選定エリアとされている場所から大きくズレていると指摘されている(髙良論文http://okinawa-repo.lib.u-ryukyu.ac.jp/bitstream/20.500.12001/21390/1/No18p1.pdf)。

 重要なのは、繰り返し述べてきたが、予定地されたジュマール・ゴルフ場の所有者は、「幸福実現党の党員」(自民党市議を隠れ蓑にした)である。だから、この用地選定には、選定自体に「何らかの大きな工作」が働いたと思われるのだ。

 その問題は、このジュマール・ゴルフ場の売買契約の非公表だ。
 石垣市民の情報公開請求に対して、沖縄防衛局はジュマール・ゴルフ場の売買金額を非公表とする決定を行った。しかし、沖縄・熊本の各防衛局は、造成工事着工前に、筆者の情報公開請求に対して、宮古島・奄美大島とも、地権者との売買契約書の全てを公開しているのだ。

 この状況では、ジュマールと石垣市との癒着、利権絡みの売買が行われているのではないか、という疑惑は深まるばかりである。
 
 防衛省施設案にあるように、平得大俣の基地予定地は、深い谷を埋め立てグラウンドなどを造るとされている。しかし、予定地の南東部は、深さ9~15メートル、長さ600メートル以上にわたる大きな谷があり、工事の難度も、周辺の環境破壊も計り知れない場所だ。しかも、写真にあるように、予定地は地下に直径数メートル以上の琉球花崗閃緑岩が、ゴロゴロあるような場所である(沖縄防衛局『陸自石垣島測量調査』)


 予定されているヘリコプター空港ー基地建設も決定されていた
 
 石垣島基地建設の、第2次選定エリアに関して明らかになったもう一つの大きな問題がある。
 このゼネコンが作成したカラ岳予定地の基地建設図面には、約14ヘクタールにものぼる、「ヘリ空港基地」が予定されていたということだ。図面を見てほしい。
 カラ岳の南、新石垣空港の北西側に沿って、「ヘリ部隊」として明記された図が描かれている。


これは、例えば奄美駐屯地の「ヘリパット」という小さな規模ではなく、巨大なヘリ空港基地として予定されていることだ。
 もともと石垣島では、当初からヘリ基地の建設がウワサをされていたが、やはり図面まで描かれてヘリ基地建設が進んでいたということだ。

 間違いなく、仮に石垣島住民らが、基地建設を承認したとし、現在の基地建設が終了した後には、この「ヘリ基地」建設が大きく動くことは間違いない。「島嶼戦争」、特に離島にとっては、軍事的・作戦的に「ヘリ運用は必要不可欠」ということになるからだ。 

 新石垣空港の近くにヘリ空港基地建設計画があるということは、石垣空港の軍事利用とも関係する。石垣空港、宮古島空港などは、例のF35Bの配備決定――「いずも」型護衛艦の改修空母の決定とともに、「島嶼戦争」の重要な航空基地として計画されている。

 つまり、進行する陸自・石垣島のミサイル基地建設は、さらなる石垣島の一大軍事化の始まりに過ぎないのだ。
 この凄まじい南西シフト態勢下のミサイル基地建設、石垣島基地の造成工事着工に、今こそ全国から反対の声を挙げよう。
 石垣市当局とジュ・マール楽園らの、癒着ー利権構造を徹底的に暴こう!



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