社会不安障害:SAD、ボランティアとセカンドライフ

SADで会社を休職したが、一年で復帰し、無事定年を務めて、その後の生活とボランティアについて気ままに掲載中

赤井三尋「2022年の影」

2011-08-28 20:32:35 | 趣味(読書)

久しぶりだ。初めての作家の作品となる。赤井三尋氏。全く知らなかった。ふと手に取った本。帯を見ると、「乱歩賞作家・赤井三尋が放つ、近未来の戦慄!名作「翳りゆくゆく夏」から五年、満を持して世に問う渾身の描き下ろし長編小説」と紹介されていた。ふーん乱歩賞作家か。と言う事で、これだけの紹介で読み始めた。

最初はあまりと言うか面白くない。意味も分からない。わくわくする感じも起きない。ウーン読むのをやめるか?

と思って、1週間ほど読むのを放っておいた。その内、また読み始めた。ウーンまだよくつかめない。また放っておいた。そしてまた読み始めた。そして途中から、やっと、話がつながるようになり、面白くなった。そして後は一気に読み進めた。と言う事で、結果からするとなかなか面白かった。話のネタと言うかSFとしては、むしろ映画で多く使われているネタだ。

そう基本的なアイディアは、コンピュータ(≒ロボット)。これが進化して、自立。そして人類の敵となる。それが未来なら、それを阻止する為、そう言う未来にならないように、未来から、歴史を変える為に・・・。と言うターミネーター的パターン。あるいは、そうなった未来を変える未来の物語。マトリックス的パターン。他にも多くのストーリーが存在する。

さてこの作品は、この人工知能と言うべき概念を、より詳細に展開した近未来小説だ。そう今までの話で定義されている人工知能ではなく(同じかも知れないが?)、人間の意識を人工的に作り出すと言う概念の実現。そしてそれが実現された時、その意識の概念は、科学より宗教の領域。そしてその意識は完全に解明されて実現された物ではない。つまり偶然の物。それはまるで人間と同じ。

そして、その意識(人工知能)を人工的に作り出した時に、その一番のビジネスとはなんだろうか?

天才科学者が作り出した意識(自意識、生命)。そこに亡くなった自分の娘の記憶を与えた。それは娘をよみがえらせる事だった。そして、これを利用したビジネスを展開しようとする日本最大のコンピュータ(IT)企業。国(総理大臣)を動かす展開の結末は?

非常に残念なのは、この作品の主人公は誰か?と言うのが非常に分かりずらい。と言うか、設定されていないのかも知れない。それが一番わかりにくくしている原因かも知れない。主人公が複数いる。あるいは主人公の周りに重要な脇役がいると言うパターンはあるとは思うが、この作品はそれが、ない。

つまりこの作品には、主人公はいないと言うのが私の結論だ。誰かこの作品を読んで、主人公は設定されていると考える方がいたら、意見を是非ともいただきたいを思う。

2022年の影 著 者:赤井三尋(あかい・みひろ)
初 版:2008年5月15日
発行所:株式会社扶桑社
価 格:1,500円+税

バーチャル空間に生き続ける人格が独り歩きを始めたとき、
人類未体験のパニックが社会を襲うーーーー
最先端のコンピュータ科学の暴走に立ち向かったのは、高層の鋭い直観と、いとけない幼女の健気な意識だった。

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