社会不安障害:SAD、ボランティアとセカンドライフ

SADで会社を休職したが、一年で復帰し、無事定年を務めて、その後の生活とボランティアについて気ままに掲載中

北林一光『ファントム・ピークス』(あらすじ追加)

2009-12-22 07:12:39 | 趣味(読書)

今回も初めての作家の作品紹介となる。今年は熊が人を襲った事件があり、衝撃の報道となったが、実はそれ以前に読んだ書籍の紹介です。本当は記事と同時に掲載予定だったが、タイミングを逃してしまった。単なる備忘録になりそうであるが、掲載する事にする。

熊の話をした事から、この書籍の紹介が熊に関係するものである事は容易に推察されると思うが、この作品の主役は、最愛の妻が、突然いなくなり、半年後にバラバラの白骨死体で見つかる。そのためにその真実を追う夫、その後次々と起こる奇怪な殺人事件と言うか失踪事件、そしてツキノワグマを研究する女性と犯人の本島にいないはずのヒグマである。しかし本島にいないはずのヒグマが存在するのはなぜか?その謎が犯人のヒグマと言うより、人間の起こした犯罪でもあり、且つそのヒグマが多くの犠牲者を出しながら、町民一体でやっと始末するが、実は一匹ではなく、もう一匹存在すると言う最後の落ちが面白いと言うか更なる恐怖を誘う。

なお作者の北林一光(きたばやし いっこう)氏は、本作品(原題「幻の山」)で第12回松本清張賞最終候補となったが、受賞を逃し次回作執筆途中で癌により享年45歳の若さで他界(2006年11月)されている。非常に残念であるが、冥福を祈りたい。

ファントムピークス

書 籍:『ファントム・ピークス』
きたばやしいつこう
著 者:北林 一光 
発行年:2007年(H19年)11月30日初版発行
発行所:株式会社角川書店
価 格:1,600円(税別) 縦1段組み297ページ

北林一光(きたばや いっこう) 1961年長野県生まれ。87年より映画宣伝会社のプロジューサー。在職中に「ゆばり国際ファンタスティック」の立ち上げに参加。98年退社。長野県に戻り、執筆活動に入る。2000年、「瞑れる山」で第7回日本ホラー大賞最終候補、05年本作品(応募時のタイトル「幻の山」)で第12回松本清張賞最終候補となり、選考委員・宮部みゆき氏に絶賛されるものの受賞を逃す。その後次回作を書き進めるさなか、癌を発症。06年11月、享年45歳で他界。本書は、映画に賭けた著者が、最後に放った本格パニック・エンタティンメントである。
ハードカバー帯(あらすじ紹介 )
ファントムピークス-1
ファントムピークス-2
お前はいったいなんなんだ?なぜここにいる?
長野県安曇野。半年前に失踪した妻の頭蓋骨が見つかり、三井周平は絶望していた。しかし、なぜ、あれほど用心深かった妻が、山で遭難し、しかも現場と思われていた場所から、遥かにはなれた場所で発見されたのか?・・・・数日後、沢で写真を撮っていた女性が、一瞬目を離した隙に行方不明になる事件が発生。妻の事故との類似点に気づいた周平が操作を手伝うことになる。しかし、それは、恐怖の連鎖のきっかけにすぎなかった! 人間をあざ笑うように、次々と起こる惨劇。山に潜む、かってない凶悪なモンスターとは!?

希有の才能が残した、極上のパニック・エンタティンメント
角川書店
先が読めないから、
最終ページまでぐいぐい引っ張られる。
私はこういう小説がすきです!
宮部みゆき氏絶賛
PHANTOM PEAKS
あらすじ 三井周平と妻の杳子(ようこ)は、東京から長野県の安曇郡堀金村に引っ越してきて、幸せに暮らしていた。杳子は、ある休みの日(9月30日)、周平が仕事で出かけている間、山に山菜や茸狩りにでかけ、そのまま行方不明となる。その半年後、釣り人が、頭蓋骨を発見し、歯形から三井杳子と判明する。

杳子の身に何が起きたのか?それを知る事が使命だと周平は思い、探索を一人継続する。

死体発見の1ヵ月後、2組のカップルがダムの渓谷の川沿いでキャンプをしていた。その一組、村越陽一の恋人木谷茜が、橋の上からカメラで写真を撮っている最中に、大事なカメラを残したまま行方不明となる。町総出で、山狩りを行うが、杳子の時と同じく見付ける事はできなかった。更に東京から娘(孫)と里帰りしていた新井深雪とその娘の千尋が行方不明となる。いずれも一瞬の出来事だった。

サルの生態系を町役場の依頼で調査している信州大学助手の山口凜が、偶然山の中で出会った千尋をオブって、探索中の皆の前に現れるが、千尋は恐怖による記憶喪失状態だった。周平は、この同時に起きた失踪事件も妻の杳子と同じではないかと予想する。

一方捜索が打ち切られて、いったん東京に帰っていた、村越陽一が、飼い犬を連れて、恋人の探索に再度訪れた。そしてその飼い犬が、血まみれの新井深雪の物と思われる靴を発見する。

娘の気分晴らしにと新井深雪の父親が、千尋にTVを見せていたら、サーカスのクマの曲芸の映像で異常なパニックに陥った。

ちょうどこのころ、牧場の豚舎が巨大なツキノワグマに襲われ、猟銃で射殺されるが、そのツキノワグマは負傷していた。この巨大なツキノワグマを負傷させる動物とは?

今までの事件が、全国紙に掲載され、新聞記事を見てその魔の山を訪れようとする人々がいた。老夫婦が、定年後の旅行をかねて、オディセイでサルを見ながら老婦人がビデオカメラでサルの大群を撮っていたとき、前を横切る巨大な物に出くわし、操作ミスから木にぶつかり、更に笹藪へと落下していった。この事故現場を見付けた周平は、直ぐに周平の勤め先の生駒建設に連絡を取るが、恋人を捜索中の陽一が、ついに恋人の血まみれの右足を見つける。その右足の鑑定を山口凜の助教授に依頼した。

その結果と、老婦人のビデオカメラに写っていた画面から、犯人は北海道にしか存在しない(北アルプス山中には存在しない)はずの巨大なヒグマだった。
町の消防団、青年団、猟友会等の主なメンバーが集められ、トラップを主な所に仕掛けて、捕獲する計画が実行される事になる。

猟犬とハンターとペアになり、周平達は、仕掛けたトラップを見て回るが、一つのトラップに近づいた所で、巨大なヒグマが出現した。引き革が潅木に絡まり、身動きをとれなくなったポインター(猟犬)は果敢に戦うが、ヒグマの一撃で倒され、且つ頭を噛み付かれ、ぼろぼろにされてしまう。2人のハンターがいたが、あまりの恐怖に錯乱し、若いハンターは逃げ出し、川に転げ落ちてしまう。もう一人のハンターも射撃するが、一旦藪に逃げたかに思えたヒグマが突然後ろから現れ、ハンターを押し倒し、指を食いちぎり、頭に噛み付いた。

猛追してくるヒグマに対し、周平と凛達は、急いで逃げ、やっとの事で木に登るが、ヒグマが木に登ってこようとする。すさまじい恐怖の中で、周平はトウガラシのスプレーをヒグマに噴射した。ヒグマは悲鳴を上げ、地上に落下し、森の中に逃げ込んだ。

周平達は、この後の更なる被害を心配する事となるが、直後キャンプ場でヒグマが出現し、火災が発生。現場に駆けつけるが、そこにはまた新たなる残虐な女性と男性の死体が・・・。更に移動した、ヒグマはツキノワグマにあらされた養豚牧場に近い住宅地に出現し、女性を襲う。ヒグマはそのまま近くのナイター設備のあるテニスコートの照明に苛立ち、襲撃するが、また森に、逃げてしまう。

最後の戦い、周平と生駒は、森に入り、橋の反対側にヒグマを発見する。
周平は、ヒグマを挑発して、橋の上で自分に向かってこさせようとしていた。迫る来る恐怖と戦いながら、自分が逃げる振りをする事で遂に自分に向かって攻撃を仕掛けさしたヒグマ。瞬間にロープを体に巻く付け橋からダイブする。駆けつけた警官とハンターが一斉に射撃する。失敗したかに思えたが、頭に止めをさす事に成功する。

なぜ、いないはずのヒグマがいたのか?
木曽の「開田高原のクマ牧場」で、何十体のクマの白骨死体が発見された。会社の倒産時に、殺害されたらしいが、この牧場には牡と牝の2頭のヒグマがいた。その牧場長は、クマの研究でも著名な女性の学者だったが、なぜか行方不明となっていた。一方で元の牧場の従業員から、倒産前にヤクザみたいな連中が牧場で、クマを放してハンティングをさせていた事や、牧場が封鎖される前に双子のヒグマが生まれていた事実が明らかになり、そのヒグマの実験場の地下から女性の牧場長の白骨化した死体が発見される。ヒグマを薬殺する為に実験場に訪れた女性の牧場長がハンティングの流れ弾に当たって、不幸にも無くなってしまった。その死体を、埋めたのはヒグマであり、子供のヒグマは最初から、人間の女性の味を覚えてしまった事になる。そして、もう一匹のヒグマの存在の可能性が・・・。

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