東野圭吾『赤い指』に続き、氏の作品紹介です。ほぼ氏の作品は私的に興味ある作品では数冊を残すのみとなりました。
図書館に最新作を予約していますが、おそらく半年ぐらいかかるかも知れません。既に予約して3ヶ月過ぎましたが、まだ借りられる連絡がきておりません。氏のファンの方はやはり多い様です。
さて、今回の作品は割と氏の初期の作品と思いますが、題材的には残念ながら、今となっては話題性に欠けた作品となると思います。当時の冬季オリンピック等での環境では、メダル獲得の有力候補で有ったジャンプ競技ですが、今では見る影もないような気がします(選手の方には失礼ですが・・・)。バブル崩壊がおそらく影響はしていると思いますが・・・。
この作品は、登場人物が多いため、状況の把握がかなり難しく、半分ぐらいまで読み薦めても、なかなか最後の落ちまで推理できませんでした。
氏の推理小説の初期の作品を踏襲し、犯人が途中で確実に分かったような展開から、このまま最後まで行くかと思うと、最後のどんでん返しが待っていると言うなかなか楽しめる作品です。
一方、帯の紹介にもあるように、天才ジャンパーの複製を作る為に、3人の名もないスキージャンパーをモルモットにし、且つ自分の息子を機械人間の様に扱う、犯人ではないが、杉江泰介と言う男の邪悪性がすさまじいと感じました。一種ホラーに近いかもしれません。
書籍名:『鳥人計画』
発行所:株式会社新潮社
発 行:1989年5月25日発行
定 価:1,300円(税込み)
頁 数:縦一段組み312ページ
<ハードカバーの帯の紹介>
計画は完成しつつあった。そして超えてはならぬ一線が越えられたとき、完成品は独り歩きを始めた・・・。
天才ジャンパーを複製せよ!
動機・トリック・語り口、いずれも第一級の本格スポーツミステリー
犯人が一分の隙もなかったはずの犯行を見破り、捜査に手間取っている自分のことを告発した奴がいる---。
拘留中の犯人が脳裏に描いた密告者とは?
推理が完成したとき、全ての前提が覆り、「鳥人計画」が徐々にその姿をあらわして・・・・・・・。
<主要登場人物と概要(私的総論)>
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楡井明(にれいあきら):和製ニッカネンと言われ、天才的なジャンパーであり、コーチ兼選手の峰岸が彼により引退に追い込まれその後、夢をかけた選手だった。杉江夕子が好きな事を利用され、杉江泰介から命令された杉江夕子に協力する形で、杉江泰介に協力する事になる。一方峰岸を裏切った事により、自分が峰岸から殺される事も知りながら、峰岸への恩を感じながら、好きだった女性杉江夕子に殺される。(最後の落ちです・・・。結論を先に書いてしましましたが・・・)。
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峰岸貞夫:楡井明のコーチ。一時期はジャンパーのホープであったが、楡井のコーチとなり、彼に自分の夢を託すが、天真爛漫な性格と、杉江への協力をしり、楡井を殺す事を実行するが・・・。
- 杉江夕子:楡井明の恋人。実際は、父親杉井泰介の命令により、弟翔の為に楡井明に接近し、楡井のジャンプデータの計測を依頼すると同時に、楡井を衝動的に殺す事で、杉江泰介の行動をとめようとした。
- 杉江泰介:天才ジャンパー楡井のコピーをつくる為に、あらゆる手段をこうじる。
- 杉江翔:父親の泰介の指示に従い異常な機械と投薬等により急激に楡井に近づくか、最後は爆発(切れる)する事になる。
- 佐久間公一:札幌西警察署の刑事。この二人の刑事で、事件の真相を追い詰めていく事になる。
- 須川: 〃
※峰岸が楡井を殺すに到った動機が、最後までわからない。最も最後まで読んでもわからないと私は判断しています。
と言うか、実際に最後に楡井を殺したのは峰岸ではなかったのですが・・・。
マアー氏の小説の中では、割と好きな方です。
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