社会不安障害:SAD、ボランティアとセカンドライフ

SADで会社を休職したが、一年で復帰し、無事定年を務めて、その後の生活とボランティアについて気ままに掲載中

松岡圭祐『伏魔殿』

2008-08-20 09:35:45 | 趣味(読書)


松岡圭祐『千里眼 背徳のシンデレラ 下』に続き、松岡氏の作品紹介ですが、氏の作品の中では、珍しくかなり趣を異にする作品です。
この作品も始めて読んだ作品ですが、『千里眼』、『催眠』、『マジシャン』、『蒼い瞳とニュアージュ』と続く中では、『マジシャン』に割と近いかなとも思いますが、多分に主観的、人により受けるイメージは異なると思います。氏の『千里眼』シリーズが、あり得ない中で岬美由紀と言うスーパーウーマンを核にしたエンターティンメント系の最後はスカッとする作品とは違い、この『伏魔殿』は、かなり暗いイメージの作品です。最初から最後のチョット前まで主役と周りが暗い・・・。でも大逆転で締める奇想天外なストリーは素晴らしい。 主人公タバコ屋の榎木康之の生い立ちとその親友平山久雄。その婚約者水谷葉子とその娘。榎木のその後の生き方が私には理解できないが、こういう人生も存在するのだろう。



伏魔殿A.jpg書 籍:『伏魔殿』
発行年:2001年12月15日初版発行
発行所:株式会社 徳間文庫
初 出:2000年3月徳間書店より刊行された『煙』を改題
価 格:552円(税別) 縦一段組み355ページ+あとがき2ページ+解説(文芸評論家関口苑生7ページ)



<カバー裏のストリー紹介>
タバコ屋の榎木康之が神人に選ばれた。神人とは愛知県生稲市の布施宮諸肌祭りを彩る厄落としの神で、地元より毎年一人だけ選出される。だが、彼には神人にならねばならない事情があった。旧友の元婚約者は地元の有力者と結婚し、一女をもうけたが、この娘の奇怪な行動が榎木を厄落としどころか、厄難へ追い込んでいたのだ! 予期しなかった驚天動地の結末。推理エンタティンメントの傑作!(『煙』大幅加筆改題)



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ある日タバコ屋の榎木康之の前に、一人の女が現れる。その女は親友平山久雄と元婚約者水谷葉子の娘多賀菜美恵であった。地元の有力者多賀隼人の娘と知り、危険を顧みず地元のやくざから菜美恵を助け、多賀の家に送り届ける。多賀は、本当の父親平山久雄の話を菜美恵が聞きたがっているとの事で、榎木を多賀家に招待し、榎木は親友の平山久雄の話をするが、その中で元婚約者葉子が、平山を好きになった理由が、神人になると行っていた事と分かる。
その直後、多賀が神人の候補になる事を菜美恵から止めさせて欲しいと依頼され、榎木は、自分も神人候補に立候補する事を決心する。神社に行く時に、生稲警察の澤村と会うが、そのまま入っていく。神人は、3日間の断食の後、裸のままで2万人以上のふんどし姿の屈強な裸男に襲われる運命(神人をさわると厄が落ちる)で、正にこの為に修行する若者全員のあごがれであった。しかも今まで、死人も出ていない全国の奇祭の一つであった。今年の祭で神人に選ばれた榎木は、三日間の断食の後、2万人以上の裸男に襲われ、死にそうな目に遭うが、今年の祭で本当に選ばれたのは多賀隼人であった事に気づく。つまり、例年負傷者が出ていないのは、神人と影武者と選んでおり、影武者には世の為にならない者を選ぶようにしていた。榎木は、東京での詐欺事件や地元やくざへの詐欺アイデアを提供した事から、多賀に最初から影武者に選ばれていた。しかも平山の娘菜美恵が榎木の前に現れたのがその始まりであり、多賀が仕掛けたわなであった。運や偶然と思われる神人選択方法のトリックは、実は榎木が平山の為に考えたトリックであり、そのトリックを利用して平山を死に至らしめたのが多賀であった。
榎木と別れた後、生稲警察の澤田は無線を傍受し、その後の状況を全て把握し、多賀の逮捕に至る。

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