島津スピーカー の木工を担当して下さっている 家具工房KASHO に打ち合わせに行ってきました。その時に見せていただいたのが、新調した自動カンナ(写真↑)とパネルソー(写真↓)です。こちらでは、積極的に設備投資をしており、製品の生産性と品質向上のたゆまぬ努力を続けています。
新調と言いながらも中古品ですが、お金が無いのではなくて、現行品に良い物が無くなってしまった、というのが実情だそうです。写真のとおり、鉄の塊の様な作りになっていて、機械剛性が高く、加工精度が高い点で優れています。モーターも一日中回しっぱなしにする前提で作られており、耐久性にも優れています。対して現行品は、薄い板金の筐体にプラスチック部品が多用されていて、加工精度が劣るうえに、耐久性も下がるという残念な状況にあります。
加工済みの材料を見せてもらいましたが、新調された自動カンナの加工では、板が真っ平らに仕上がるので、加工済みの板を積み重ねると、ピッタリと貼りついて、まるで一個の塊の様になります。私もセミプロ用の木工機械は所有していますが、あからさまに次元が違う事に改めて感心しました。
オーディオでも趣味のヴィンテージ製品がありますが、木工機械の世界では、ヴィンテージ・マシンはプロにとって死活問題に関わるほどの存在である様です。
今風のNC(数値制御)マシンで自動加工して、プラモデルの様に組み立ててハイ出来上がり、というマスプロダクトは、これはこれで良いと思いますが、「本気の丁寧で緻密な作りの高級品の文化」というものが廃れているのだとすれば、とても残念に思います。
これからは、一旦廃れてしまった本当の高級品が復活する時代なのだ! と頼もしく思いながら、帰途についた次第です。