これ、ボーっとしているのには、理由があるんです。
珍しく、放心状態。
約30分ほど、ここで、置物のようになっていました。
第一章 神様の試練
それは、夕食が済んでテレビを楽しんでいるころ・・・。
『なんだったら、私のこと、かまってもいいわよ』
少し前、廊下を舞い飛んでいたタムが、トコトコとリビングにやってきた。
なにやら、姉やんの方を見て、おりこうに三角座りとか、している。
「う~ん、タムは可愛いなぁ。抱っこしてあげるねぇ」
姉やんは、モフモフの塊を抱き上げると、まるで赤子を抱きかかえるように仰向けにふんわりと包み込んだ。
「タムにゃ~ん、らぶぅ~~~ ・・・・・・・・、、、うっ!!!」
こ、この、かぐわしい田舎の香りは、も、もしやっ!!!
姉やんは、腕の中の宝物をしっかりホールドして、そっと、お腹の方に巻き込んでいたシッポを、はがしてみた。
「う、うわぁぁぁ。。。。。い、妹~、ヘルプぅ。。。。。ちょっと、来てぇ!!!」
そこには、過去最高サイズの、大人の人差し指ほどはあろうかという、お土産が、ふわふわの長い毛に巻かれて、その稀有な存在を主張していた。
過去、小さいお土産は、何度もあった。
いったん、モフモフに絡みつくと、ティッシュで取ることは難しい。
たいていの場合、それは【ハサミ】の出番となり、毛ごと刈り取るしかなかったのだ。
そのため、ここだけの絶対内緒の話だか、タムの後姿は、かなり【せくし~】な状態になっている。
だが、今回のお土産は、過去の比ではない。
とても一人で対処できる代物では、無かったのだ。
一緒にテレビを見ていた母と、一応ティッシュでチャレンジしてみたのだが、余計に絡まっただけの残念な結果となった。
母は、早々に現場を放棄し、「あとは何とかしてやぁ~」と言い残して、姿を消した。
残された姉やんは、タムを抱きかかえたまま、泣き叫ぶしか無かった。
「いもうと~、いもうとぉぉ~(涙目)、早く来てってばぁ」
妹(人間)の答えは、残酷なものだった。
「ゴメン、今、手が離せない。。。」
それからの数分間、姉やんは、その時のことをよく思い出せない。
嫌がるタムをなだめて、必死に抱えつつも、お土産の被害が広がらないように、最大限の努力を続ける。
「ああっ、神様は、どうしてこんな試練を、私に・・・」 ← 仏教徒。。。
やがて合流した妹(人間)が現状を見て、一言。
「あかんわ、シャンプーしよっ」
ああああぁぁぁぁ、つ、ついに、恐れていたことが、現実に!!
第二章 こんな屈辱って・・・
さっき、自然が呼ぶから用を済ませてスッキリして、砂場から出ようと思って、気が付いたの。
くっついてる。。。
また、こんな事態になってしまったわ。
いつもドレスで過ごしていると、いろいろ不都合なことが多いのよ。
昔、フランスの貴族の姫たちも、苦労したらしいわ。
だから、あの国では香水の文化が発展したとか。
ベルサイユ宮殿の庭なんて、あちこちに落ちているもんだから、夜道で逢引なんて、かなり危険だったそうよ。
はぁ、フランスはどうでもよかったわね。
これ、どうしよう。
さっき、思いっきり走ってみたけど、ダメだったわ。ピッタリと付いてくるわ。
姉やんに頼むしか、無いのかしら。。。
『姉やん、これ、取って、今すぐ』
「う~ん、タムは可愛いなぁ。抱っこしてあげるねぇ」
あっ、この抱っこだと、一応お土産は私の尻尾でカバーできるから、姉やんが直接触る悲劇は避けられたのね。よかった。。。
でも、シッポが汚れちゃう。。。ふわふわの自慢のしっぽなのにぃ。
うっ!!!
あ~あ、姉やんに、うって言われちゃった。
やだ、見つかっちゃった。。。
でも、これで、お土産とはバイバイできるはず。
やれやれ。
えっ、どこ、どこにいくの、風呂場???
何々、なんか、ジャージャー出てるしぃ、何するのよぅ!!!
あ~れぇ~、
や~~
め~~~
てぇ~~~~!
何これ、何これってば!!!
第三章 活躍したのは
実はうちに来てから、一度も洗濯していないのです、二匹とも。
初代の二匹は、2ヵ月に一度くらいは、シャンプーしていた。
それなりに嫌がったけど、何とか二人がかりで洗って、ドライヤーかけると、フワフワサラサラのキレイなにゃんこが出来上がった。
今いる二匹。
体も一回り、ふたまわり大きく、力も強い。
種類が違うからなのか、自分でグルーミングするだけで、いつも毛の状態はキレイに思える。
だから、一度もシャンプーしていなかったのだ。
単に、面倒だったからというのも、大きい理由なのだが。
よりにもよって、タムだ。
リリーなら、体は大きくて大変だが、まだ、何とかできると思う。
基本的に、おっとりしているから。
だが、相手は、ハンターさまだ。
身の危険を感じた、一流のハンターが、どんな反応を見せるのか。
何の準備も無い私たちに、勝ち目はあるのか。
活躍したのは、これだった。
キャット イン 洗濯ネット by 100均。
素晴らしい。
本当に、目を見張るばかりの活躍だった。
彼の力添えが無かったら、とうていこのミッションは、成功しなかっただろう。
そう、彼こそが、洗濯ネット by 100均。さま。
大き目のネット。
細かいメッシュの、ネット。
大活躍の、ネット。
そう、頭からタムを放り込んで、お尻だけ出して、シャンプーしました。
大変だったけど、なんとかなりました。
蹴っても、暴れても、ネットの中でじたばたするだけの状態に、ハンターさまは、パニックなされていました。
本当に、申し訳なかったと思いますが、おかけで作戦は大成功でした。
だいたいの水気を取って、洗濯かごでネットにすっぽり包まれたハンターさまを、運びました。
なんて、簡単だったんでしょう。
その後、ネットのまま、恐怖のドライヤーと戦い続けたハンターさまの勇姿は、長く語り継がれることでしょう。
ええ、語り継ぎますとも、私が。
数十分にわたる戦いの末、ようやく解放されたハンターさまは、暴れまわるかと思いきや、その力も無く、呆然と座り続けておられました。
彼女にとっては、受け入れがたい体験だったのでしょう。
そう、形のあるものであれば、もっと戦えたはずなんです。
蹴っても引っ掻いても、ふにゃふにゃとゆがむだけの白いメッシュ。
何とか力を振り絞っても、袋ごと引き戻される悔しさ。
まるで、その、屈辱の記憶を、すべて、忘却の彼方へ送り届けるかのように、遠くを見つめながら、ため息をつく彼女。。。
平和は訪れました。
まるで、何事も無かったかのように。
しかし今日もまた、自然が彼女を砂場に呼ぶことでしょう。
そう、長毛種の終わりなき戦いは、まだ、始まったばかりなのですから。
【完】
参考写真
後姿のハンターさま。未だ乾ききっていないドレス姿。
シッポを引っ張られて、ドライヤーと戦闘中。
前に進むのが基本の、残念な戦闘姿。
放心状態のハンターさま。
久々長文、頑張りましたっ。長らくのお付き合い、ありがとうございました(*^_^*)
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珍しく、放心状態。
約30分ほど、ここで、置物のようになっていました。
第一章 神様の試練
それは、夕食が済んでテレビを楽しんでいるころ・・・。
『なんだったら、私のこと、かまってもいいわよ』
少し前、廊下を舞い飛んでいたタムが、トコトコとリビングにやってきた。
なにやら、姉やんの方を見て、おりこうに三角座りとか、している。
「う~ん、タムは可愛いなぁ。抱っこしてあげるねぇ」
姉やんは、モフモフの塊を抱き上げると、まるで赤子を抱きかかえるように仰向けにふんわりと包み込んだ。
「タムにゃ~ん、らぶぅ~~~ ・・・・・・・・、、、うっ!!!」
こ、この、かぐわしい田舎の香りは、も、もしやっ!!!
姉やんは、腕の中の宝物をしっかりホールドして、そっと、お腹の方に巻き込んでいたシッポを、はがしてみた。
「う、うわぁぁぁ。。。。。い、妹~、ヘルプぅ。。。。。ちょっと、来てぇ!!!」
そこには、過去最高サイズの、大人の人差し指ほどはあろうかという、お土産が、ふわふわの長い毛に巻かれて、その稀有な存在を主張していた。
過去、小さいお土産は、何度もあった。
いったん、モフモフに絡みつくと、ティッシュで取ることは難しい。
たいていの場合、それは【ハサミ】の出番となり、毛ごと刈り取るしかなかったのだ。
そのため、ここだけの絶対内緒の話だか、タムの後姿は、かなり【せくし~】な状態になっている。
だが、今回のお土産は、過去の比ではない。
とても一人で対処できる代物では、無かったのだ。
一緒にテレビを見ていた母と、一応ティッシュでチャレンジしてみたのだが、余計に絡まっただけの残念な結果となった。
母は、早々に現場を放棄し、「あとは何とかしてやぁ~」と言い残して、姿を消した。
残された姉やんは、タムを抱きかかえたまま、泣き叫ぶしか無かった。
「いもうと~、いもうとぉぉ~(涙目)、早く来てってばぁ」
妹(人間)の答えは、残酷なものだった。
「ゴメン、今、手が離せない。。。」
それからの数分間、姉やんは、その時のことをよく思い出せない。
嫌がるタムをなだめて、必死に抱えつつも、お土産の被害が広がらないように、最大限の努力を続ける。
「ああっ、神様は、どうしてこんな試練を、私に・・・」 ← 仏教徒。。。
やがて合流した妹(人間)が現状を見て、一言。
「あかんわ、シャンプーしよっ」
ああああぁぁぁぁ、つ、ついに、恐れていたことが、現実に!!
第二章 こんな屈辱って・・・
さっき、自然が呼ぶから用を済ませてスッキリして、砂場から出ようと思って、気が付いたの。
くっついてる。。。
また、こんな事態になってしまったわ。
いつもドレスで過ごしていると、いろいろ不都合なことが多いのよ。
昔、フランスの貴族の姫たちも、苦労したらしいわ。
だから、あの国では香水の文化が発展したとか。
ベルサイユ宮殿の庭なんて、あちこちに落ちているもんだから、夜道で逢引なんて、かなり危険だったそうよ。
はぁ、フランスはどうでもよかったわね。
これ、どうしよう。
さっき、思いっきり走ってみたけど、ダメだったわ。ピッタリと付いてくるわ。
姉やんに頼むしか、無いのかしら。。。
『姉やん、これ、取って、今すぐ』
「う~ん、タムは可愛いなぁ。抱っこしてあげるねぇ」
あっ、この抱っこだと、一応お土産は私の尻尾でカバーできるから、姉やんが直接触る悲劇は避けられたのね。よかった。。。
でも、シッポが汚れちゃう。。。ふわふわの自慢のしっぽなのにぃ。
うっ!!!
あ~あ、姉やんに、うって言われちゃった。
やだ、見つかっちゃった。。。
でも、これで、お土産とはバイバイできるはず。
やれやれ。
えっ、どこ、どこにいくの、風呂場???
何々、なんか、ジャージャー出てるしぃ、何するのよぅ!!!
あ~れぇ~、
や~~
め~~~
てぇ~~~~!
何これ、何これってば!!!
第三章 活躍したのは
実はうちに来てから、一度も洗濯していないのです、二匹とも。
初代の二匹は、2ヵ月に一度くらいは、シャンプーしていた。
それなりに嫌がったけど、何とか二人がかりで洗って、ドライヤーかけると、フワフワサラサラのキレイなにゃんこが出来上がった。
今いる二匹。
体も一回り、ふたまわり大きく、力も強い。
種類が違うからなのか、自分でグルーミングするだけで、いつも毛の状態はキレイに思える。
だから、一度もシャンプーしていなかったのだ。
単に、面倒だったからというのも、大きい理由なのだが。
よりにもよって、タムだ。
リリーなら、体は大きくて大変だが、まだ、何とかできると思う。
基本的に、おっとりしているから。
だが、相手は、ハンターさまだ。
身の危険を感じた、一流のハンターが、どんな反応を見せるのか。
何の準備も無い私たちに、勝ち目はあるのか。
活躍したのは、これだった。
キャット イン 洗濯ネット by 100均。
素晴らしい。
本当に、目を見張るばかりの活躍だった。
彼の力添えが無かったら、とうていこのミッションは、成功しなかっただろう。
そう、彼こそが、洗濯ネット by 100均。さま。
大き目のネット。
細かいメッシュの、ネット。
大活躍の、ネット。
そう、頭からタムを放り込んで、お尻だけ出して、シャンプーしました。
大変だったけど、なんとかなりました。
蹴っても、暴れても、ネットの中でじたばたするだけの状態に、ハンターさまは、パニックなされていました。
本当に、申し訳なかったと思いますが、おかけで作戦は大成功でした。
だいたいの水気を取って、洗濯かごでネットにすっぽり包まれたハンターさまを、運びました。
なんて、簡単だったんでしょう。
その後、ネットのまま、恐怖のドライヤーと戦い続けたハンターさまの勇姿は、長く語り継がれることでしょう。
ええ、語り継ぎますとも、私が。
数十分にわたる戦いの末、ようやく解放されたハンターさまは、暴れまわるかと思いきや、その力も無く、呆然と座り続けておられました。
彼女にとっては、受け入れがたい体験だったのでしょう。
そう、形のあるものであれば、もっと戦えたはずなんです。
蹴っても引っ掻いても、ふにゃふにゃとゆがむだけの白いメッシュ。
何とか力を振り絞っても、袋ごと引き戻される悔しさ。
まるで、その、屈辱の記憶を、すべて、忘却の彼方へ送り届けるかのように、遠くを見つめながら、ため息をつく彼女。。。
平和は訪れました。
まるで、何事も無かったかのように。
しかし今日もまた、自然が彼女を砂場に呼ぶことでしょう。
そう、長毛種の終わりなき戦いは、まだ、始まったばかりなのですから。
【完】
参考写真
後姿のハンターさま。未だ乾ききっていないドレス姿。
シッポを引っ張られて、ドライヤーと戦闘中。
前に進むのが基本の、残念な戦闘姿。
放心状態のハンターさま。
久々長文、頑張りましたっ。長らくのお付き合い、ありがとうございました(*^_^*)
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