「大発明だ!」シュタークスミス博士は叫んだ。「これで誰が正義か見分けられるぞ」
博士の発明したものは、大きめな黒縁のメガネだった。つるの部分に超小型のコンピューターが仕込まれていて、そこには博士が考えた正義の基準がインプットされている。これを掛けて人を見れば、特殊加工を施したレンズを通して、正義の人は輪郭が金色の光で包まれたように見える。
「世の中を善くするには正義が一番だ。さて、どれくらいの人たちが正義なのか、調べてみよう」
博士はメガネをかけて外へ出た。そして、行き交う人々に目をやって見たが、誰にも金色に光る輪郭が現われなかった。
「うーむ、なかなか正義の人と言うのはいないものだな。そうか、大人は経験を積み過ぎて正義が弱くなったのかもしれない。子供たちに期待してみよう」
博士は子供たちを見たが、やはり金色の輪郭は現われない。
「今の子供たちには正義が無くなってしまったのだろうか」
博士はがっかりして研究所に戻った。
廊下を歩きながら、何気なく壁にかかっている鏡を見た博士は、大喜びをした。鏡に映った博士に金色に光る輪郭が現われていたのだ。
「正義の人はここにいたか!」
しかし、博士は間違っていた。博士の考えた正義の基準なのだから、結局は博士だけがその基準に当てはまり、博士だけが正義の人になってしまう。
正しい正義の基準は、なかなか人には作れないものなのだ。
博士の発明したものは、大きめな黒縁のメガネだった。つるの部分に超小型のコンピューターが仕込まれていて、そこには博士が考えた正義の基準がインプットされている。これを掛けて人を見れば、特殊加工を施したレンズを通して、正義の人は輪郭が金色の光で包まれたように見える。
「世の中を善くするには正義が一番だ。さて、どれくらいの人たちが正義なのか、調べてみよう」
博士はメガネをかけて外へ出た。そして、行き交う人々に目をやって見たが、誰にも金色に光る輪郭が現われなかった。
「うーむ、なかなか正義の人と言うのはいないものだな。そうか、大人は経験を積み過ぎて正義が弱くなったのかもしれない。子供たちに期待してみよう」
博士は子供たちを見たが、やはり金色の輪郭は現われない。
「今の子供たちには正義が無くなってしまったのだろうか」
博士はがっかりして研究所に戻った。
廊下を歩きながら、何気なく壁にかかっている鏡を見た博士は、大喜びをした。鏡に映った博士に金色に光る輪郭が現われていたのだ。
「正義の人はここにいたか!」
しかし、博士は間違っていた。博士の考えた正義の基準なのだから、結局は博士だけがその基準に当てはまり、博士だけが正義の人になってしまう。
正しい正義の基準は、なかなか人には作れないものなのだ。
面白いと思います。正義の基準は個人の主観的なものなのですね・・・。