お話

日々思いついた「お話」を思いついたまま書く

霊感少女 さとみ 31

2012年08月30日 | 霊感少女 さとみ (全132話完結)
「じゃあ、私の考えを教えてあげるわね」
 百合恵は言うと、タバコを取り出した。
「あのう、百合恵さん……」さとみは言いにくそうに言う。百合恵はタバコをくわえたまま、さとみの顔を見る。「口うるさいって思われるかもしれないんですけど、タバコ、吸い過ぎだと思います……」
「あら、そうかしら?」百合恵は言いながら火をつけた。「いつもと同じだけどね」
「でも、ちょっとタバコのにおいがしています」さとみは顔を真っ赤にして続けた。「……抱きしめられている時…… タバコのにおいがします…… どうせなら、においのない方が、いいです……」
「まあ!」百合恵は驚いた顔をした。それから微笑んでみせた。「……それは気が付かなかったわ。少し控えることにするわね」
 百合恵は火をつけたばかりのタバコを捨てた。それから、さとみにウインクした。
「これでいいわね?」
「は、はい…… わがまま言って、すみません……」
「いいのよ」百合恵は言って、いたずらっぽい視線をさとみに送った。「さとみちゃんが、わたしに変な気を起こして、純真さが失われる前に、わたしの考えを話してあげるわ」
「……」変な気を起こさせようとしているのは、百合恵さんじゃないですか! のど元まで出かかった言葉をぐっと飲み込んで、さとみは言った。「……お願いします……」
「ふふふ…… じゃあ、さとみちゃんに質問ね……」百合恵がさとみに近寄る。さとみはすっと後ろへ一歩下がった。百合恵は足を止め、そんなさとみに微笑んでみせた。「見て分かるような純真さって、どんなものだと思う?」
「えっ?」思わぬ質問に、さとみはおでこをぴしゃぴしゃと叩き始めた。「え~とぉ……」



 つづく



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