「お嬢ちゃん、あんたにはさんざん世話になったからねぇ……」楓は言いながら霊体のさとみへゆっくりと歩む。口元に冷酷な笑みが浮かぶ。「主様をお釈迦にしてくれて、居所を無くしてくれるわ、くすぐるなんて恥ずかしい真似をして恥かかせるわ、この恨み、深いんだよぉぉ……」
「いい加減にしねえか!」豆蔵が震えているさとみの前に立つ。「四天王なんぞと気取っていやがったが、悪事を重ねた報いだろうが! それに、ここはお前のいる場所じゃねえ! さっさと失せな!」
「はん!」楓は鼻で笑う。「笑わせんじゃないよ! お前こそ、良い歳かっ喰らってるくせに、こんな小娘の腰巾着じゃないか!」
「なんだとぉ!」
「それに、そのふわふわな身体で、この生身の楓姐さんに何ができるってんだい!」楓はわざとらしく身体を揺らして見せた。霊体である事をからかっているようだ。「できるってんなら、やってもらおうじゃないか!」
「楓!」みつが腹の底からの声で楓を叱責した。周囲の空気が震えた。しかし、楓は平気な顔をしている。いら立ったみつが刀を正眼に構えた。「お前こそ、生身の身体に閉じこもり身を守る卑怯者ではないか!」
「なんとでもお言いな」楓はみつを馬鹿にしたように言う。「どうせ悪党で卑怯者さ。……わたしゃねえ、このお嬢ちゃんをどうしても許せないんだよ!」
楓がさとみをにらみつけた。
「おい、お前! 誰と話しているんだ!」
楓の背後からスガゲンが怒鳴りつけた。面倒くさそうに楓が振り返る。
「何? へなちょこ」楓がスガゲンに言う。「今取り込み中なのよ。見て分かるでしょ? 分かんないの? へなちょこ」
「……へなちょこ……」スガゲンは顔を真っ赤にする。「お、お前、僕を侮辱するのかは!」
「そんな華奢でなよなよ野郎を他になんて呼びゃあ良いんだい? 枝っ切れ野郎の方が良いかい?」
「お前! 親父に言いつけて海に沈めてやるからな!」
「うるさいへなちょこだねえ……」楓は呆れたようにため息をつく。「少し黙ってな!」
スガゲンは楓の前に立った。そして、楓の頬を叩こうと右手を振り上げた。
「思い知れ!」
スガゲンは手を振り下ろした。楓は少し身を引いた。スガゲンの右手は空を切っただけだった。
「なんだい? そんなんじゃ、蚊にもよけられちまうよ」楓は小馬鹿にしたように笑う。「ほうら、もう一回やってみるかい?」
「くそっ!」
スガゲンは左右の手を振り回して楓に殴り掛かる。しかし、一つも当たらない。しまいには両手を自分の膝に当てぜいぜいと肩で息をし始めた。
「おや? おしまいかい? へなちょこ野郎」
「ま、待ってくれ……」肩で息をしながらスガゲンが顔を上げた。媚びたような笑顔をしている。「……お前、いや、君、強いんだね…… 僕のボディガードもあっという間に倒したし…… どうだろう? 僕の新たなボディガードにならないか? ギャラはうんと弾むよ……」
「ボデーガード? ギィヤラ?」楓は言いにくそうだ。「何だい、そりゃあ?」
「僕を守ってくれって事だ……」スガゲンがすっと楓の肩に手を載せる。「良いだろう?」
「馬鹿言ってんじゃんないよお! この楓姐さんが守るのは主様だけだったんだよ!」
楓は怒鳴りながら右脚を蹴り上げた。足の甲がスガゲンの股間に当たった。スガゲンは蛙の潰れたような声を一声発して仰向けにひっくり返った。白目をむき口から泡を噴き出している。
「あら、へなちょこ野郎じゃなくて蟹野郎だねぇ」
楓は気を失っているスガゲンを見ながら、声を出して笑っている。
「……さ、嬢様」豆蔵がさとみに小声で話しかける。「今の内にお身体にお戻りになって、逃げてください」
「左様」みつもうなずく。「さとみ殿の身体に万が一でもあれば、取り返しがつきません」
竜二も何度もうなずいている。さとみは豆蔵とみつに大きくうなずき返した。
「……うん…… わかったわ……」
さとみが動こうとした時だった。楓が飛ぶような勢いでソファに転がっているさとみの身体を押さえ込んだ。
「はっはっは!」楓が勝ち誇ったように笑い、さとみを見る。「このへなちょこと遊んでる間もお嬢ちゃんの事は見張ってたんだよ。残念だったねぇ。さあ、お嬢ちゃん、戻っておいで。ギッタンギッタンにしてやるからさぁ」
さとみは動けない。豆蔵もみつもくやしそうな顔で楓を見つめる。竜二はおたおたしている。
「さあ、早くお戻りな」楓が楽しそうに言う。「おや? 戻らないのかい? ……じゃあ、こうするしかないね」
楓はさとみのスカートを乱暴にまくり上げた。脚と下着が丸出しになった。
「いやああ!」さとみが悲鳴を上げた。「やめてよう!」
「やめて欲しかったら、お戻りな」楓は剥き出しのさとみの脚を撫でさすりながら言う。「おや、若い肌はすべすべだねぇ」
豆蔵もみつも顔を伏せ悔しそうに肩を震わせている。竜二も顔を伏せているが、たまにチラチラと目だけ上げている。
「さあ、さっさとおし!」楓が強い口調で言う。「ま、イヤならイヤで良いんだけどさ……」
楓はさとみのブラウスのボタンを外し始めた。一つ外す度にわざとらしくブラウスを左右に拡げる。
「おや、あんた、胸が洗濯板だねぇ」楓は笑う。「わたしのを分けてやろうかい?」
「やめてよう!」さとみは立ち上がった。「わかったわ! 戻るからそれ以上しないで!」
「嬢様! 今戻ったりしたら、それこそ、命取りになりますぜ!」
「豆蔵、わかっているけど、他にどうしようもないわ…… これ以上わたしが恥かしい格好になって行くのが耐えられない!」
「そうよぉ、お嬢ちゃん」ボタンを外す手を止めずに楓が言う。「もたもたしてると、産まれたままの恰好になっちゃうわよぉぉ……」
「おのれ! 外道!」
みつが楓に斬りかかった。しかし楓の身体を通り抜けるだけだった。
「言ったじゃないか、無駄だってさあ!」楓がみつを指さして笑う。「お前らが束になったって、楓姐さんを倒せないんだよ! ……さあ、戻ってこないようだから、続きでもやろうかねえ」
楓はボタンを全部外し、ブラウスの前を開いた。
「おやおや、ぷにぷにじゃないか。少しは身体を動かしなよ」笑いながら楓は言う。それから、さとみの肩にかかっているポシェットに手を掛けた。「何だいこれは、邪魔だねえ」
楓はポシェットを乱暴に引っ張った。肩ひもが切れた。
つづく
「いい加減にしねえか!」豆蔵が震えているさとみの前に立つ。「四天王なんぞと気取っていやがったが、悪事を重ねた報いだろうが! それに、ここはお前のいる場所じゃねえ! さっさと失せな!」
「はん!」楓は鼻で笑う。「笑わせんじゃないよ! お前こそ、良い歳かっ喰らってるくせに、こんな小娘の腰巾着じゃないか!」
「なんだとぉ!」
「それに、そのふわふわな身体で、この生身の楓姐さんに何ができるってんだい!」楓はわざとらしく身体を揺らして見せた。霊体である事をからかっているようだ。「できるってんなら、やってもらおうじゃないか!」
「楓!」みつが腹の底からの声で楓を叱責した。周囲の空気が震えた。しかし、楓は平気な顔をしている。いら立ったみつが刀を正眼に構えた。「お前こそ、生身の身体に閉じこもり身を守る卑怯者ではないか!」
「なんとでもお言いな」楓はみつを馬鹿にしたように言う。「どうせ悪党で卑怯者さ。……わたしゃねえ、このお嬢ちゃんをどうしても許せないんだよ!」
楓がさとみをにらみつけた。
「おい、お前! 誰と話しているんだ!」
楓の背後からスガゲンが怒鳴りつけた。面倒くさそうに楓が振り返る。
「何? へなちょこ」楓がスガゲンに言う。「今取り込み中なのよ。見て分かるでしょ? 分かんないの? へなちょこ」
「……へなちょこ……」スガゲンは顔を真っ赤にする。「お、お前、僕を侮辱するのかは!」
「そんな華奢でなよなよ野郎を他になんて呼びゃあ良いんだい? 枝っ切れ野郎の方が良いかい?」
「お前! 親父に言いつけて海に沈めてやるからな!」
「うるさいへなちょこだねえ……」楓は呆れたようにため息をつく。「少し黙ってな!」
スガゲンは楓の前に立った。そして、楓の頬を叩こうと右手を振り上げた。
「思い知れ!」
スガゲンは手を振り下ろした。楓は少し身を引いた。スガゲンの右手は空を切っただけだった。
「なんだい? そんなんじゃ、蚊にもよけられちまうよ」楓は小馬鹿にしたように笑う。「ほうら、もう一回やってみるかい?」
「くそっ!」
スガゲンは左右の手を振り回して楓に殴り掛かる。しかし、一つも当たらない。しまいには両手を自分の膝に当てぜいぜいと肩で息をし始めた。
「おや? おしまいかい? へなちょこ野郎」
「ま、待ってくれ……」肩で息をしながらスガゲンが顔を上げた。媚びたような笑顔をしている。「……お前、いや、君、強いんだね…… 僕のボディガードもあっという間に倒したし…… どうだろう? 僕の新たなボディガードにならないか? ギャラはうんと弾むよ……」
「ボデーガード? ギィヤラ?」楓は言いにくそうだ。「何だい、そりゃあ?」
「僕を守ってくれって事だ……」スガゲンがすっと楓の肩に手を載せる。「良いだろう?」
「馬鹿言ってんじゃんないよお! この楓姐さんが守るのは主様だけだったんだよ!」
楓は怒鳴りながら右脚を蹴り上げた。足の甲がスガゲンの股間に当たった。スガゲンは蛙の潰れたような声を一声発して仰向けにひっくり返った。白目をむき口から泡を噴き出している。
「あら、へなちょこ野郎じゃなくて蟹野郎だねぇ」
楓は気を失っているスガゲンを見ながら、声を出して笑っている。
「……さ、嬢様」豆蔵がさとみに小声で話しかける。「今の内にお身体にお戻りになって、逃げてください」
「左様」みつもうなずく。「さとみ殿の身体に万が一でもあれば、取り返しがつきません」
竜二も何度もうなずいている。さとみは豆蔵とみつに大きくうなずき返した。
「……うん…… わかったわ……」
さとみが動こうとした時だった。楓が飛ぶような勢いでソファに転がっているさとみの身体を押さえ込んだ。
「はっはっは!」楓が勝ち誇ったように笑い、さとみを見る。「このへなちょこと遊んでる間もお嬢ちゃんの事は見張ってたんだよ。残念だったねぇ。さあ、お嬢ちゃん、戻っておいで。ギッタンギッタンにしてやるからさぁ」
さとみは動けない。豆蔵もみつもくやしそうな顔で楓を見つめる。竜二はおたおたしている。
「さあ、早くお戻りな」楓が楽しそうに言う。「おや? 戻らないのかい? ……じゃあ、こうするしかないね」
楓はさとみのスカートを乱暴にまくり上げた。脚と下着が丸出しになった。
「いやああ!」さとみが悲鳴を上げた。「やめてよう!」
「やめて欲しかったら、お戻りな」楓は剥き出しのさとみの脚を撫でさすりながら言う。「おや、若い肌はすべすべだねぇ」
豆蔵もみつも顔を伏せ悔しそうに肩を震わせている。竜二も顔を伏せているが、たまにチラチラと目だけ上げている。
「さあ、さっさとおし!」楓が強い口調で言う。「ま、イヤならイヤで良いんだけどさ……」
楓はさとみのブラウスのボタンを外し始めた。一つ外す度にわざとらしくブラウスを左右に拡げる。
「おや、あんた、胸が洗濯板だねぇ」楓は笑う。「わたしのを分けてやろうかい?」
「やめてよう!」さとみは立ち上がった。「わかったわ! 戻るからそれ以上しないで!」
「嬢様! 今戻ったりしたら、それこそ、命取りになりますぜ!」
「豆蔵、わかっているけど、他にどうしようもないわ…… これ以上わたしが恥かしい格好になって行くのが耐えられない!」
「そうよぉ、お嬢ちゃん」ボタンを外す手を止めずに楓が言う。「もたもたしてると、産まれたままの恰好になっちゃうわよぉぉ……」
「おのれ! 外道!」
みつが楓に斬りかかった。しかし楓の身体を通り抜けるだけだった。
「言ったじゃないか、無駄だってさあ!」楓がみつを指さして笑う。「お前らが束になったって、楓姐さんを倒せないんだよ! ……さあ、戻ってこないようだから、続きでもやろうかねえ」
楓はボタンを全部外し、ブラウスの前を開いた。
「おやおや、ぷにぷにじゃないか。少しは身体を動かしなよ」笑いながら楓は言う。それから、さとみの肩にかかっているポシェットに手を掛けた。「何だいこれは、邪魔だねえ」
楓はポシェットを乱暴に引っ張った。肩ひもが切れた。
つづく
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