「どうやるんですか、お兄様!」
「どうやるんですか、ケーイチさん!」
逸子とナナは同時に言った。ケーイチはぐいぐいと迫って来る二人の迫力に押され、後ろにひっくり返ってしまった。
「お兄様、ひっくり返っている場合ではありません!」
「ケーイチさん! 逸子さんの言う通りです!」
二人に言われて、ケーイチはのろのろと起き上った。
「いやいやいやいや、まいったなぁ……」ケーイチはつぶやくと、えへんと咳払いをした。「……では、オレの考えを言おう。コーイチが連れ去れらる前にコーイチを保護するんだよ」
「え?」ナナが驚く。「それは危険じゃないですか?」
「……ねえ、どう言う事?」逸子がナナに聞いた。「コーイチさんをどうするの?」
「ケーイチさんが言うのは」ナナが逸子に向き直る。「タイムマシンを使って、相手がコーイチさんを捕まえる前の時間に行って、先に捕まえてしまおうと言う事なんです」
「でも、今までの話だと、変に過去を変えるのは危険じゃないの?」
「そうなんだ、そこが心配なんだよ」ケーイチが腕組みしながら言う。「コーイチが連れされれたという現実の上に今が成り立っているからね。それを覆そうと言うわけだから、下手をすると世界が崩壊してしまうかもしれない……」
「……それはイヤです、困ります」逸子はまた泣き出した。「でも、コーイチさんが居ないのは、もっとイヤです!」
「逸子さん……」ナナは逸子の背を優しく撫でた。「確かに危険ですけど、わたしたちはルールを知っていますから、案外上手くできるんじゃないかと思います」
「ありがとう、ナナさん」逸子はナナにしがみついてわあわあ泣いた。「あなたって良い人ね!」
「いえ、いいんです。逸子さんのコーイチさんを思う気持ちに感動したんです。その気持ちが、きっと幸運を呼び込みますよ。それに、わたしもコーイチさんって人に会いたくなっちゃいました」
それを聞くと、逸子はすっとナナから離れた。泣き腫らした目でじっとナナを見つめる。ナナは何事と言う顔をして逸子を見る。
「ナナさん……」逸子が言う。「コーイチさんに会うだけよ。変な気を起こさないでね」
「変な気って…… まだお会いしたことが無いのに、変な気も何もありません」
「……そう、それなら良いわ」
「変な逸子さんですねぇ……」
「さて……」ケーイチが割って入って来た。「作戦実行と行こう! コーイチを助けるためには、コーイチが捕まる前の場所と時間に行く必要がある」
「場所は分かりますわ、お兄様」逸子が言う。気を取り直したようだ。「父からの電話によると、コーイチさんは会社へ向かう途中の横断歩道のあたりで連れされれたようなんです」
「そうか、場所は分かった」ケーイチはうなずく。「後は時間だ」
「時間は…… 遅刻したくらいしかわかりません」
「じゃあ」ナナが言う。「出勤時間に合わせた時間でこちらが動けば、確実にコーイチさんを保護できますね」
「なるほど!」ケーイチは言ってナナを見る。「ナナさんは優秀だねぇ。すぐに思いつくなんて」
「まあ、恥ずかしい……」ナナは褒められて赤くなった。「……でも、お役に立ててうれしいです」
「よし、では作戦実行だ! 善は急げだ!」ケーイチが言う。その言葉に励まされて、逸子とナナはすっくと身を起こした。「まあ、二人とも、頑張ってくれたまえ!」
「はあ?」
逸子とナナは呆れたような表情でケーイチを見た。
「え? 二人ともどうしたんだい?」見られたケーイチは不思議そうな顔をしている。「早くしないと、時間が経っちゃうと危険だよ」
「お兄様は一緒に行かないんですか?」
「オレは考える方専門だよ」ケーイチは胸を張る。「それに、万が一失敗したらと思うと怖いし……」
「そんな事、言わせません!」ナナはタイムマシンを操作した。「逸子さん、何時くらいに設定しますか?」
「そうねぇ、朝の八時四十五分にしておきましょう」
「了解です!」
押入が光りはじめた。ナナが先頭に立った。
「さあ、ケーイチさんも行きましょう!」
「いや、オレは乗り物酔いをするタイプだし……」
「ええい! 問答無用!」
逸子はケーイチを後ろから押した。
「わあああああっ!」
ケーイチの悲鳴を残して、三人は転がるように光に中へ入って行った。しばらくすると光は消え、いつもの押入になっていた。
つづく
「どうやるんですか、ケーイチさん!」
逸子とナナは同時に言った。ケーイチはぐいぐいと迫って来る二人の迫力に押され、後ろにひっくり返ってしまった。
「お兄様、ひっくり返っている場合ではありません!」
「ケーイチさん! 逸子さんの言う通りです!」
二人に言われて、ケーイチはのろのろと起き上った。
「いやいやいやいや、まいったなぁ……」ケーイチはつぶやくと、えへんと咳払いをした。「……では、オレの考えを言おう。コーイチが連れ去れらる前にコーイチを保護するんだよ」
「え?」ナナが驚く。「それは危険じゃないですか?」
「……ねえ、どう言う事?」逸子がナナに聞いた。「コーイチさんをどうするの?」
「ケーイチさんが言うのは」ナナが逸子に向き直る。「タイムマシンを使って、相手がコーイチさんを捕まえる前の時間に行って、先に捕まえてしまおうと言う事なんです」
「でも、今までの話だと、変に過去を変えるのは危険じゃないの?」
「そうなんだ、そこが心配なんだよ」ケーイチが腕組みしながら言う。「コーイチが連れされれたという現実の上に今が成り立っているからね。それを覆そうと言うわけだから、下手をすると世界が崩壊してしまうかもしれない……」
「……それはイヤです、困ります」逸子はまた泣き出した。「でも、コーイチさんが居ないのは、もっとイヤです!」
「逸子さん……」ナナは逸子の背を優しく撫でた。「確かに危険ですけど、わたしたちはルールを知っていますから、案外上手くできるんじゃないかと思います」
「ありがとう、ナナさん」逸子はナナにしがみついてわあわあ泣いた。「あなたって良い人ね!」
「いえ、いいんです。逸子さんのコーイチさんを思う気持ちに感動したんです。その気持ちが、きっと幸運を呼び込みますよ。それに、わたしもコーイチさんって人に会いたくなっちゃいました」
それを聞くと、逸子はすっとナナから離れた。泣き腫らした目でじっとナナを見つめる。ナナは何事と言う顔をして逸子を見る。
「ナナさん……」逸子が言う。「コーイチさんに会うだけよ。変な気を起こさないでね」
「変な気って…… まだお会いしたことが無いのに、変な気も何もありません」
「……そう、それなら良いわ」
「変な逸子さんですねぇ……」
「さて……」ケーイチが割って入って来た。「作戦実行と行こう! コーイチを助けるためには、コーイチが捕まる前の場所と時間に行く必要がある」
「場所は分かりますわ、お兄様」逸子が言う。気を取り直したようだ。「父からの電話によると、コーイチさんは会社へ向かう途中の横断歩道のあたりで連れされれたようなんです」
「そうか、場所は分かった」ケーイチはうなずく。「後は時間だ」
「時間は…… 遅刻したくらいしかわかりません」
「じゃあ」ナナが言う。「出勤時間に合わせた時間でこちらが動けば、確実にコーイチさんを保護できますね」
「なるほど!」ケーイチは言ってナナを見る。「ナナさんは優秀だねぇ。すぐに思いつくなんて」
「まあ、恥ずかしい……」ナナは褒められて赤くなった。「……でも、お役に立ててうれしいです」
「よし、では作戦実行だ! 善は急げだ!」ケーイチが言う。その言葉に励まされて、逸子とナナはすっくと身を起こした。「まあ、二人とも、頑張ってくれたまえ!」
「はあ?」
逸子とナナは呆れたような表情でケーイチを見た。
「え? 二人ともどうしたんだい?」見られたケーイチは不思議そうな顔をしている。「早くしないと、時間が経っちゃうと危険だよ」
「お兄様は一緒に行かないんですか?」
「オレは考える方専門だよ」ケーイチは胸を張る。「それに、万が一失敗したらと思うと怖いし……」
「そんな事、言わせません!」ナナはタイムマシンを操作した。「逸子さん、何時くらいに設定しますか?」
「そうねぇ、朝の八時四十五分にしておきましょう」
「了解です!」
押入が光りはじめた。ナナが先頭に立った。
「さあ、ケーイチさんも行きましょう!」
「いや、オレは乗り物酔いをするタイプだし……」
「ええい! 問答無用!」
逸子はケーイチを後ろから押した。
「わあああああっ!」
ケーイチの悲鳴を残して、三人は転がるように光に中へ入って行った。しばらくすると光は消え、いつもの押入になっていた。
つづく
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