◎「orange -オレンジ-」
2015年12月12日公開、実写映画、139分。
久しぶりの映画館での実写映画。メイン6人の演技も顔も声も、事実上の初見です。
土屋さんと山崎さんを除いて、それぞれに、上手いとまでは思いませんが、味はある演技だったので、そこは良かったと思います。
原作未読ですが、原作漫画では「高野苺が贈る感動の青春SFラブストーリー」ともあります。
本屋での原作のPRでは、青春ラブストーリーの最高傑作とありました。
原作未読なので原作がどうかは知りませんが、映画は傑作には遠く及ばず、普通より下と思います(普通の人より辛口かも知れませんが。)。
コメディはあまりなく、シリアス系。
総合評価2.5点(5点満点)
とは言え、見て損というほどではありません。
「高校2年生の春、菜穂に届いた手紙。
それは10年後の自分からのものだった。
書かれていたのは、転校生の翔(かける)を好きになること。
翔が1年後には死んでしまっていること。
そしてその未来を変えるためにやるべきこと。
初めはイタズラかと思ったが、書かれていることが次々と起こっていく。
なぜ翔を失ってしまったのか?
26歳の自分と同じ後悔を繰り返さないためにはどうすれば?
動き出す、未来を知った菜穂の運命を変えていく日々。
その先にある、暖かくも切ない<結末>とは―?」(HPから)
高宮菜穂(演・土屋太鳳)、成瀬翔(山崎賢人)、須和弘人(竜星涼)、茅野貴子(山崎紘菜)、萩田朔(桜田通)、村坂あずさ(清水くるみ)のほか、
先生の中野幸路(鶴見辰吾)、3年生の上田莉緒(真野恵里菜)、翔の母の成瀬美由紀(森口瑤子)、翔の祖母の成瀬初乃(草村礼子)など。
12月11日の朝日新聞の広告。
4ページの内の1ページ。あとの3ページは企業とのコラボ広告でメインの絵は同じ。
あとはHPから。
○ 翔の祖母の家で翔は事故死ではなく自殺と聞かされ、パラレルワールドで翔の未来を変えるために菜穂と弘人の夫婦が10年前の高校2年生の自分に手紙を書いて、未来を変えようとするわけです。
貴子、朔、あずさ にもそうしようと声をかけなかったのは少し謎に思いましたが、この日まで疎遠になっていたことから却って自然な気もしますし、高校では途中で話して協力してもらったので、それもいいでしょう。
原作では3人も手紙を書いて過去の自分に届いているそうなので、映画でもそうだったという設定なのかも知れません。
しかし、映画で手紙を缶に入れて土に埋めたのは2人のみでしたから、映画では2人しかしていないと考えるのが妥当です。
・パラレルワールドだから、翔が自殺した今の世界は変えられないと認識した上での行動というのも、安易ではなくていいと思います。
・文化祭で、菜穂と翔だけでプールで花火を見るシーン。
プールの水越しに見ればいいのにと思いましたが、花火はCGか合成だろうから水面に映る映像を作るのは大変なのかなと思って見ていました。
最後に、プールの水に映る花火、その向こうに2人、更にその向こうの空に本物の花火ときました。
観客向けの綺麗な花火の演出ですね。
(空の花火という儚いけれど現実と、水面の花火という非現実の間でさまよう、あるいはどちらに行くか定まっていない不安定な状態の2人とを表していたりして、というのも検討してみましたが、そこまでは思えず。)
・菜穂の声が、臆病な役だからああいう細くて弱々しい声、心からの声ではなく上辺だけの取り繕った声、カラオケで言うとお腹から出ていない口先での声というのはアリとは思いますが、そうだとしても白々し過ぎる声なのはどうかと思いました。
最後までそうだったのもどうかと思いました。
翔が助かったシーンとか、それ以前に翔に思いを伝えるシーンとか、そこくらいは心の中からの声にすべきだったのでは。
・翔も終始抑えた声で、母が精神的に不安定で何かと翔のためと称して翔の意思も聞かずに勝手に物事を進めたり、2年生の始業式の転校初日に母が自殺したため母を責めたことを謝れなかった後悔で抑圧された感じになるのは分かります。
翔が助かったシーンで、他の5人が必死で探して駆け寄ったときも変わらなかったですし、そこはもっと感情が出ても良かったのでは。
「必死で探して」と書きましたが、状況として必死なのは明白でしたがそれほど必死に感じなかったのは、菜穂の白々しい声も一因でしょう。
・未来の菜穂からの手紙を、最初は気味が悪いとして最初の部分しか読まなかったのは自然として、書いてあることと同じことが起きているから読みなおした時に、それほど長くない手紙なのに最後まで読んでいない様子だったのは不自然。
現実が進む中で、順次読んでいたのは不自然。
それでは先を知った上での言動が出来ないですから、翔を救える可能性が一般的には低くなります。
さらに、手紙の冒頭に要点を書かず、最後の方に翔は自殺と書いた未来の菜穂も不自然。
手紙を不審に思って、冒頭のみ読んで捨てる可能性だって十分に考えられるのですから。
つまり、本当に翔を救いたいのなら、手紙が信用できそうだと思った時点で菜穂は一気に最後まで読むはずですし、未来の菜穂はそんな作りの文章を書くはずがありません。
これが、菜穂の声と相まって、全体として白々しいと感じた主因と思います。
・映画では物語を飛ばしたという感じは無かったですが、それなのに気持ちをきちんと描いていたという印象を持てなかったのは、菜穂と翔の声が終始あの調子だったのが主因と思います。
○ 下もHPから。
「もしも未来の自分から手紙がきたら―
もしも大切な人を失うと知ってしまったら―《イマ》と《未来》をつなぐ、この冬唯一の青春純愛ストーリー
「高校2年生の春。10年後の自分から、手紙が届いた。そこに書かれていたのは、大切な人の未来が無いということ。」その切ない世界観だけで誰もがハッとする、少女漫画の枠を飛び越えた新たなる青春純愛ストーリー『orange』。“あの時こうしていれば、この後悔はなかったかもしれない”という、生きていれば誰しもの頭に浮かぶそんな思いと、原作者・高野苺が織りなす「未来の自分から手紙が届くファンタジックな世界観」そして「大切な人を失わないために“今この瞬間”をもがきながら奮闘する」という優しく心動かされるストーリーラインが共感を呼び、年齢・性別に関係なくファン層を拡大。
2015年8月に「月刊アクション」(双葉社)にて連載終了を迎え、既刊4巻にして累計210万部(2015年10月時点)を誇るコミックスの驚異的な注目度も相まって「orange中毒」となるファンが続出。いま、最もシェアしたい作品が早くも実写映画化となりました。未来の自分から届いた手紙を元に、悩みながらも運命を変えようとしていくヒロイン・高宮菜穂役には、NHK連続テレビ小説「まれ」で新・国民的女優となった土屋太鳳。16歳の健気な女子高生の菜穂と、26歳の運命を背負った菜穂を演じます。菜穂が想いを寄せることになる、心に深い傷を負った転校生・成瀬翔(かける)役には、同じく「まれ」で土屋太鳳と1つの人生を歩み、さらに話題の映画・ドラマに続々出演、大ブレイク中の山﨑賢人。これ以上ないほどに旬でフレッシュなふたりの映画初共演が実現しました。菜穂の事を一途に想いつつ、翔との恋を応援する心優しきサッカー少年・須和弘人役に竜星涼。クールだが面倒見の良い姉御肌な茅野貴子役に山崎紘菜。イジラれ役で飄々とした不思議少年の萩田朔役に桜田通。仲良しグループのムードメーカー・村坂あずさ役に清水くるみといった、次世代を担う実力派俳優たちが菜穂、そして翔を支えていく同級生役として映画に輝きを与えています。
監督には、日本民間放送連盟ドラマ部門最優秀賞、またギャラクシー賞など各賞を獲得した「鈴木先生」を初め、「スプラウト」「Piece」などの良作ドラマを演出し、自身も原作の大ファンという橋本光二郎。新進気鋭の長編映画初監督として満を持してメガホンをとります。音楽にはNHK連続テレビ小説「あまちゃん」で軽快かつ繊細な世界観を創りあげた大友良英。フレッシュな若手から日本エンターテインメント界を代表する大御所まで、まさに世代を、時を超えた最高のスタッフキャストが、原作が誕生した長野県松本市を中心にオール長野ロケにて、映画『orange-オレンジ-』に命を吹き込んでいきます。
大切な人の未来を救えるのなら、臆病な「イマ」もきっと変えていける。
そう教えてくれたのは、10年後の自分からの手紙。
この冬唯一。そして新たなる青春純愛ストーリーがあなたの心に届きます。」
【shin】
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