ホンダが自動車レースの最高峰、フォーミュラーワン(F1)への再参入を検討している。
日本メーカーがレースから遠ざかっていたころ、
ジュネーヴ国際自動車ショーで、独BMWの幹部にこう尋ねた。
日本メーカーがレースから撤退するのは資金面の問題もあるが、これからは、スピードや馬力ではなく、環境性能を、競う時代になるという読みもある。
欧州メーカーはなぜレースを続けるのか。
彼はけげんな顔をしてこう言った。
我々が作っているのはスコップではなくバイオリンだ。バイオリンはコンサートで演奏するためにある。
コンサートをやらないというなら、君たちが作るのは、スコップだね。
自動車は道具ではなく文化であり、文化発揚の場がレース。
レースなくして自動車なし。
物を買うのは、物から得られる、満足感である。
利便性を超える価値。
遊び心が、ブランド力を磨くのではないか。
日経4月8日月曜日9面
経営の視点
編集委員
大西康之さん