日経4月7日日曜日
朝刊文化32面
私は、自分の机を眺めてみた。
書籍や資料が山積みになり、その合間を電気スタンドや電話や観葉植物などで埋めている。
今四百字詰めの原稿用紙を広げているが、平らに置くことが出来ない。スペースが無いのだ。
用紙の左端は、読みかけの本の上に乗っている。
机は、かなり大きめである。
しかし物で埋め尽くされ、原稿を置くにも苦労する。
おまけに、マグカップを不安定な所に置き、締め切り間近の原稿を、珈琲で汚してしまうなんてことも。
自己弁護めくが、私が物を捨てられない理由のひとつは、イマジネーションが湧きすぎるのだ。
これを何かに変身させたら、楽しいだろう。
あとは、決断力の不足、
これは、生き方に通じているのだ。
不要な物に囲まれて、酸欠の金魚のようにアップアップして暮らすか、
余白のある空間で、すっきり暮らすか。
頭では分かっている。しかしこれは、難問に違いない。