岩上智一郎の作品部屋(小説・絵・漫画・料理等)

著書:新宿クレッシェンド

自身の頭で考えず、何となく流れに沿って楽な方を選択すると、地獄を見ます

53年間生きてきて、初めてした事

2024年11月18日 03時37分19秒 | 特殊記事

2024/11/16 sta

これまで53年生きてきて、生まれて初めての事をした

 

「おじいちゃん、おばあちゃん…、ずっとあれだったけどさ。今日生まれて初めてお袋の線香も一緒にあげていいかな?」

俺は実家へ帰る度、おじいちゃん、おばあちゃん、そして戦時中に亡くなったおじいちゃんのお兄さんの分の線香を三本あげる習慣がある

長いのを三本、以降は俺の部屋二階だから、下へ降りる度短い線香を三本毎度あげる

 

考えてみれば、心筋梗塞を一週間で二回も食らい、それから三年経っても未だ元気でピンピン生きている

 

これって亡くなったお袋の遺伝子を受け継いでいるからなんだろうなと思った

 

俺たち三兄弟をお袋は小学校二年生の冬に、捨てて家を出て行った

それまで気に食わない事があれば、長男の俺が理不尽な暴力を受ける日々

 

 

 

1 鬼畜道~天使の羽を持つ子~(一章 幼少編) - 岩上智一郎の作品部屋(小説・絵・漫画・料理等)

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強くならなきゃ、殺されちゃう

俺の根底にあったものは憎悪

 

だから俺は強さを求め、生きるようになった

死にたくなかったから

 

力無き幼少期を過ごし虐待に怯えるあまり、強くなりたかった

自由に笑う事さえ制限された

 

お袋が家を出て行った俺は、初めて自由に微笑む事ができた

 

それからずっと……

 

 

1 新宿クレッシェンド - 岩上智一郎の作品部屋(小説・絵・漫画・料理等)

2004/01/18執筆開始新宿クレッシェンド-岩上智一郎の作品部屋(小説・絵・漫画・料理等)※購入したい人はここをクリック処女作新宿系小説新宿クレッシェンド2004/01/18~2004/...

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処女作の『新宿クレッシェンド』を書くまで憎悪の渦に巻き込まれ、俺はいつも何かにイライラしていた

 

主人公赤崎隼人へプレゼントしたものは、俺の幼少期の虐待の記憶

歌舞伎町の話はあえてワザと優しく書いた

 

馬鹿な出版社は『生きた新宿を描く新星』なんて馬鹿な表現をした

 

「私は誰よりも世界で一番新宿クレッシェンドを読んだし、私が一番理解している」

当時の俺の担当編集の今井貴子は言った

30代、癌で今はもう亡くなっているけど

 

何にもこいつら分かってねえじゃん

 

俺はいつだって孤独だった

 

分かってもねえのに、こんな作品に賞なんて、与えてんじゃねえよ、ボケッ!

当時の俺の素直な感想

 

そして賞を取れて、世に出れたのは嬉しい

だが、次に思った感情は「やり過ぎちゃったかな」だった

 

お袋は頭良かったし、離れていても自分の長男が小説で賞を取り、本を出したのだ

絶対に読んだと思う

 

それが自分が過去息子にした虐待が物語に書かれているのだ

どれだけ取り返しのつかない嫌な気持ちにさせただろう

 

俺が二十代でお袋とは一切関わりが無い

 

俺が48歳の頃だったかな?

先輩である映画館ホームラン劇場社長だった櫻井さんから、俺のお袋が亡くなったらしいと連絡をもらう

 

何のショックも実感も無かった

当然悲しみも、涙を流す事も無かった

 

だって何の思い出も関わりも無かったから、俺を生んだかもしれないけど、何の実感も沸かなかったのだ

 

どこで死んだのか?

どこの墓にいるのか?

 

長男である俺は何一つ知らない

 

そんな親不孝な俺は50歳になり、コロナワクチンを打った翌日、心筋梗塞になった

ずっと健康で来た俺は心筋梗塞だなんて分からず、拳で自身の胸を何度も叩き、痛みが緩和される

その一週間後、二度目の心筋梗塞になり、息もロクにできず、本当に死に掛けた

 

あれから三年以上経った

 

普通一週間で二回も心筋梗塞受けたら死んでいるよな?

 

一時は殺そうとまで親父は、肺血腫で現在弱っている

そんな親父へ、俺は川越に帰る度、ヨーグルトやら親父の望むものを与えている

 

数年前は俺が親父と話しているところを見ただけで、川越連雀町の人間は「え、智一郎と親父が話をしている」と大勢が驚く

 

 

「神山診療所」のブログ記事一覧-能力が活かされることを願っています。

「神山診療所」のブログ記事一覧です。皆様方の様々な願い・希望(病気治療・真の世界平和実現・個人能力の開花等)を実現できる未知の能力があります。 【能力が活かされる...

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末期癌すら治せるという神山診療所にオカルトと知りつつ、俺は連絡を取った

だって医者が診たって、今の親父の現状なのだ

だったらオカルトだって縋っていいだろ!

 

これまでの親父との確執を知る人は大いに驚くだろう

 

俺は周りのそんな雑音や感想など、どうでも良かった

 

あれだけ嫌い、殺そうとすらしたのに、気付けば俺は親父を気遣っている

 

 

ほんと詐欺に遭い、何度も騙されているのに俺は甘い

 

まあいいさ

騙すぐらいなら、俺は騙されたほうがいい

騙されるのは嫌だけどね

 

選挙以来、川越の実家へ泊り

俺は帰るとおじいちゃん、おばあちゃん、戦時中に亡くなったおじいちゃんの兄の写真が仏壇へ飾られている

 

だから最初は長い線香を三本

俺の部屋は二階なので、下へ降りる度線香を毎度あげる

 

昨日ね、俺が家を出る際、おじいちゃんたちへ線香をあげようとしたら

お袋ももう死んでいるんだよな

…そう思った

 

何故俺はこんなにも元気なのだろう?

簡単だった。

憎悪をずっと燃やした母親

 

それに対する反骨心だけしかなかった

 

でもさ、俺ももう53歳になった

 

すげー無茶してきたよ

よく死ななかったなって事なんて数え切れない

 

無茶してもこの元気な身体

お袋の遺伝子によるものなんだよな

 

もうこの世にお袋はいない

死んだのだ

 

まだ恨むのか?

まだ憎しむのか?

 

「おじいちゃん、おばあちゃん…、ずっとあれだったけどさ。今日生まれて初めてお袋の線香も一緒にあげていいかな?」

 

俺はおじいちゃんとおばあちゃんへ謝ってから、四本の線香をあげた

 

53年間生きてきて、初めて俺はお袋へ線香をあげる事ができた

 

 

昨日先輩の岡部さんに話したら、「ウルッと来たじゃねえか」と言われ、「でもこのタイミングでおまえがそうして俺は良かったと思うよ」と言ってくれた

 

流れに身を任せての偶然的な出会い - 岩上智一郎の作品部屋(小説・絵・漫画・料理等)

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