「上旬編」「下旬編」とあったら、それで完結したと思うのが普通です。ご安心ください。
これまで静サツは「賢い8月の使い方」と題して、自身の経験をもとに受験生のためになる事例を挙げてきました。上旬編では「下見をしよう!」、下旬編では「息抜きをしよう!」です。
そして今回取り上げるのは「ご褒美をあげよう!」です。
世間はやれ夏休みだなんだと浮かれている最中、受験生はひたすら暑さに耐え、机に向かってきたことでしょう。苦難に耐えているうち、気が付かぬままにストレスが溜まっていきます。ちょっと刺激をすれば周囲にまき散らされます。『受験生がピリピリしている』原因ですね。
こうならないように「息抜きをしよう!」というのが前回までの話でしたが、8月も末となると息抜き程度では抜けなくなってきます。そこで、通過点として明確な形を与えてあげようというのが、この「ご褒美をあげよう!」の要諦です。人間、目に見えないものより見えるものを信用するものですから。
静サツの場合、それはもちろん……言わずもがな。
というわけで、8月が終わる前にさっさと書いていこうと思います。
――2011年8月29日(月)――
旅行から帰ってきた次の日。全国模試(しかも記述)を終えた、8月29日の夜から物語はスタートします。
夜の11時半。まもなく日を跨ごうかという時、私はバックを抱えて、静岡駅北口に広がるバスターミナルにいました。
繁華街のある北口と言えど、11時を過ぎればほとんどが終バスを迎え、人気はほとんどありません。バスターミナルの明かりも大部分が消えています。
0字になろうかとする頃、ようやく目的のバスが現れました。
青と白のツートンの2階建てバス。"JRバス"(※)の夜行バス、「ドリーム静岡・浜松号」です。
新幹線で1時間の距離に夜行バスというのも不思議な話ですが、夜行列車がなくなった今、「ドリーム静岡・浜松号」は東京に一番乗りできる交通手段となりました。終点の東京駅日本橋口に着くのはなんと朝の5時25分! 新幹線よりも2時間近く早く着けます。
私は普段新幹線で済ませます。そこまで朝早く着く必要に迫られたことがないというのが一つ、バスなので運賃が通算できないのが一つ、そしてバスなので時間が読めないというのが一つ。ですが、今回は事情が事情だけに夜行バスを使うことにしました。お値段3600円。JR線の運賃+400円という値段はどう見るべきか。
東京駅から東名経由で浜松駅まで向かう「ドリーム静岡・浜松号」は2往復ありますが、静岡駅を通るのは1往復です。
(※"JRバス"…JRバス関東とJR東海バスの共同運行。この日はJRバス関東の車両を使用)
中は3列シート。1列ごとの間に通路があり、隣の人を気にすることなく寝ることができます。まあ、寝れたとしても5時間で起こされるわけですが。
[種別:高速(夜行)バス JRバス ドリーム静岡・浜松2号 浜松駅22:00→東京駅5:25]
《静岡駅北口 23:59発》
――2011年8月30日(火)――
翌朝(?)、バスは無事に東京駅についていました。
ただ……
《東京駅日本橋口 5:00着(25分早着)》
早すぎにもほどがあるでしょう。
何はともあれ、東京駅の中に入ります。
向かったのは地下の横須賀線・総武快速線ホーム。青春18きっぷを駅員に見せて、4番線で待つE217系に乗り込みます。
[種別:快速 総武快速線 509F 東京5:21→君津6:44]
《東京5:21発》
《千葉5:59着》
あれよという間に、千葉駅に到着。時間はまだ6時です。
ところで、今回の「ご褒美」旅行には、3人ほど同行していました。同い年、1年下、2年下の友人(以下、上からA、B、Cとします)です。全員が同じ部活で、Aを誘った結果B、Cも一緒に来ることになりました。ちなみに、彼らは鉄道マニアではありません。
次に乗る予定の列車は8時4分。元々朝食をとるために1時間ほど空き時間を作ってあったのですが、時間が早すぎて店がやっていません。
どうしようかと悩んでいると、1こ下のBが千葉都市モノレールに乗りたいといいました。
理由を聞いてみると、「『俺妹(※)』に出てくるから」。Bはいわゆるアキバ系のオタクで、『俺妹』の聖地(※)である千葉に前々から来たがっていたようです。
静サツとしても、千葉駅でくすぶっているのは嫌だったので、一行は千葉都市モノレールに乗ることにしました。
(※『俺妹』…アニメ『俺の妹がこんなにかわいいわけがない』の略称
聖地 …アニメなどでモデルになった場所のこと)
JRの駅に隣接する千葉都市モノレールの千葉駅へ。
千葉都市モノレールは、千葉市内に15.2kmの路線を持ちます。懸垂式(レールからぶら下がるタイプ)としては日本最長というか、世界最長のモノレールです。東京湾に面した千葉みなと駅から千葉駅を経由し、県庁前に向かう1号線と、千葉から都賀駅を経由して千城台に向かう2号線の、2つの路線を持ちます。ちなみに2号線だけで12kmあり、どちらがメインなのかは明白です。
今回は時間がそこまでないので、1号線の終点・県庁前に向かうことにしました。
開業時から働く1000形で、県庁前に向かいます。
[千葉都市モノレール1号線 06211 千葉みなと6:05→県庁前6:14]
《千葉 6:09発》
《県庁前 6:14着》
5分で県庁前に到着。
県庁前からは千葉大学方面に延伸する計画がありました。そもそも、千葉都市モノレールのマスタープラン(初期計画)では、千葉駅から千葉大学~千城台~都賀駅~穴川と通り再び千葉駅まで戻る、全長30km近いラケット型の壮大な路線ができる予定でした。しかし、千葉大学付近で用地がうまく取得できなかったのと、需要が伸びなかったため中断されていました。そして、延伸反対派の視聴が当選したことで(千葉都市モノレールの株のほとんどは千葉市が保有:事実上千葉市営)、現在延伸計画は凍結されています。
ぶっつりと切れた線路は、露と消えた路線計画を象徴しています。
県庁前駅の外観。なかなかに現代的です。
暇なので、隣の葭川公園まで歩いていくことに。
駅北側の分岐。懸垂式モノレールの分岐はかなりものものしい造りです。
向かう途中で上空を過ぎる1000形。門中型の橋脚は思った以上に高く、モノレールとは10メートル近い距離があります。上空を走る銀色の車体は、まさしく未来の列車です。
モノレールなら1分で着く葭川公園は、徒歩で15分ほどかかりました。
ホームに着くと先程の1000形がいました。
何気に初番でした。
[千葉都市モノレール1号線 06120 県庁前6:35→千葉みなと6:45]
《葭川公園 6:37発》
《千葉6:41着》
再び千葉駅に戻ってきたところで、Bたっての希望で、2号線で千葉公園に向かうことになりました。
[千葉都市モノレール2号線 06221 千葉みなと6:44→千城台7:13]
《千葉6:49発》
《千葉公園6:51着》
B曰く、千葉公園も『俺妹』の舞台の一つだったそうで、一行はその場所を探しました。
が、見つからず。
結局、映っているシーンさえ見つからない(Bが必死でスマホで探していた)まま、一行は千葉駅に戻りました。
7時半過ぎに千葉駅に舞い戻った一行。
時間が微妙なので朝食はコンビニで済ませ、総武線ホームに向かいます。
今回の旅行のメイン――113系が現れる場所に。
千葉のローカル輸送では長らく横須賀色=スカ色の113系の天下でした。元々総武線快速で乗り入れていた車両がそのままつかわれていました。
しかし、高崎から211系がやってきたことで113系の廃車が始まりました。さらに、京浜東北線の209系を改造した209系2000・2100番台により、113系の居場所は狭くなっていきます。209系の投入とともに廃車が進み、投入開始半年がたった2010年12月のダイヤ改正で6両編成が定期運用離脱。数の上でもトップの座から陥落しました。
そしてついに、JR東日本千葉支社は、113系が2011年8月末で定期運用を終了すると発表。既に4両編成5本を残すのみとなっていた113系は8月限りの活躍となりました。私は113系の最後の雄姿を見届けるべく、千葉にやって来たのでした。
房総の主役となりつつある209系2000・2100番台が入線。
ホーム端には三脚を持った人たちが垣根をなしています。9番線の209系には見向きもしません。
太陽が照りつける中、じっと113系の到着を待ちます。
7時51分。長いカーブの向こうから、本日のメイン――113系がやってきました。
列車はゆっくりと私たちの横を通り過ぎていきます。
209系と肩を並べ停車。
千葉駅に着いた113系はすぐさま折り返し態勢になります。次の列車は8時4分発の総武本線成東行1331Mです。
鉄道に興味のない友人たちをボックスで待たせ、しばらく写真撮影にいそしみます。
《以下、113系の写真をご覧ください》
そうこうしているうちに発車時間になってしまいました。113系の乗りこみ、成東へと向かいます。
続く!
これまで静サツは「賢い8月の使い方」と題して、自身の経験をもとに受験生のためになる事例を挙げてきました。上旬編では「下見をしよう!」、下旬編では「息抜きをしよう!」です。
そして今回取り上げるのは「ご褒美をあげよう!」です。
世間はやれ夏休みだなんだと浮かれている最中、受験生はひたすら暑さに耐え、机に向かってきたことでしょう。苦難に耐えているうち、気が付かぬままにストレスが溜まっていきます。ちょっと刺激をすれば周囲にまき散らされます。『受験生がピリピリしている』原因ですね。
こうならないように「息抜きをしよう!」というのが前回までの話でしたが、8月も末となると息抜き程度では抜けなくなってきます。そこで、通過点として明確な形を与えてあげようというのが、この「ご褒美をあげよう!」の要諦です。人間、目に見えないものより見えるものを信用するものですから。
静サツの場合、それはもちろん……言わずもがな。
というわけで、8月が終わる前にさっさと書いていこうと思います。
――2011年8月29日(月)――
旅行から帰ってきた次の日。全国模試(しかも記述)を終えた、8月29日の夜から物語はスタートします。
夜の11時半。まもなく日を跨ごうかという時、私はバックを抱えて、静岡駅北口に広がるバスターミナルにいました。
繁華街のある北口と言えど、11時を過ぎればほとんどが終バスを迎え、人気はほとんどありません。バスターミナルの明かりも大部分が消えています。
0字になろうかとする頃、ようやく目的のバスが現れました。
青と白のツートンの2階建てバス。"JRバス"(※)の夜行バス、「ドリーム静岡・浜松号」です。
新幹線で1時間の距離に夜行バスというのも不思議な話ですが、夜行列車がなくなった今、「ドリーム静岡・浜松号」は東京に一番乗りできる交通手段となりました。終点の東京駅日本橋口に着くのはなんと朝の5時25分! 新幹線よりも2時間近く早く着けます。
私は普段新幹線で済ませます。そこまで朝早く着く必要に迫られたことがないというのが一つ、バスなので運賃が通算できないのが一つ、そしてバスなので時間が読めないというのが一つ。ですが、今回は事情が事情だけに夜行バスを使うことにしました。お値段3600円。JR線の運賃+400円という値段はどう見るべきか。
東京駅から東名経由で浜松駅まで向かう「ドリーム静岡・浜松号」は2往復ありますが、静岡駅を通るのは1往復です。
(※"JRバス"…JRバス関東とJR東海バスの共同運行。この日はJRバス関東の車両を使用)
中は3列シート。1列ごとの間に通路があり、隣の人を気にすることなく寝ることができます。まあ、寝れたとしても5時間で起こされるわけですが。
[種別:高速(夜行)バス JRバス ドリーム静岡・浜松2号 浜松駅22:00→東京駅5:25]
《静岡駅北口 23:59発》
――2011年8月30日(火)――
翌朝(?)、バスは無事に東京駅についていました。
ただ……
《東京駅日本橋口 5:00着(25分早着)》
早すぎにもほどがあるでしょう。
何はともあれ、東京駅の中に入ります。
向かったのは地下の横須賀線・総武快速線ホーム。青春18きっぷを駅員に見せて、4番線で待つE217系に乗り込みます。
[種別:快速 総武快速線 509F 東京5:21→君津6:44]
《東京5:21発》
《千葉5:59着》
あれよという間に、千葉駅に到着。時間はまだ6時です。
ところで、今回の「ご褒美」旅行には、3人ほど同行していました。同い年、1年下、2年下の友人(以下、上からA、B、Cとします)です。全員が同じ部活で、Aを誘った結果B、Cも一緒に来ることになりました。ちなみに、彼らは鉄道マニアではありません。
次に乗る予定の列車は8時4分。元々朝食をとるために1時間ほど空き時間を作ってあったのですが、時間が早すぎて店がやっていません。
どうしようかと悩んでいると、1こ下のBが千葉都市モノレールに乗りたいといいました。
理由を聞いてみると、「『俺妹(※)』に出てくるから」。Bはいわゆるアキバ系のオタクで、『俺妹』の聖地(※)である千葉に前々から来たがっていたようです。
静サツとしても、千葉駅でくすぶっているのは嫌だったので、一行は千葉都市モノレールに乗ることにしました。
(※『俺妹』…アニメ『俺の妹がこんなにかわいいわけがない』の略称
聖地 …アニメなどでモデルになった場所のこと)
JRの駅に隣接する千葉都市モノレールの千葉駅へ。
千葉都市モノレールは、千葉市内に15.2kmの路線を持ちます。懸垂式(レールからぶら下がるタイプ)としては日本最長というか、世界最長のモノレールです。東京湾に面した千葉みなと駅から千葉駅を経由し、県庁前に向かう1号線と、千葉から都賀駅を経由して千城台に向かう2号線の、2つの路線を持ちます。ちなみに2号線だけで12kmあり、どちらがメインなのかは明白です。
今回は時間がそこまでないので、1号線の終点・県庁前に向かうことにしました。
開業時から働く1000形で、県庁前に向かいます。
[千葉都市モノレール1号線 06211 千葉みなと6:05→県庁前6:14]
《千葉 6:09発》
《県庁前 6:14着》
5分で県庁前に到着。
県庁前からは千葉大学方面に延伸する計画がありました。そもそも、千葉都市モノレールのマスタープラン(初期計画)では、千葉駅から千葉大学~千城台~都賀駅~穴川と通り再び千葉駅まで戻る、全長30km近いラケット型の壮大な路線ができる予定でした。しかし、千葉大学付近で用地がうまく取得できなかったのと、需要が伸びなかったため中断されていました。そして、延伸反対派の視聴が当選したことで(千葉都市モノレールの株のほとんどは千葉市が保有:事実上千葉市営)、現在延伸計画は凍結されています。
ぶっつりと切れた線路は、露と消えた路線計画を象徴しています。
県庁前駅の外観。なかなかに現代的です。
暇なので、隣の葭川公園まで歩いていくことに。
駅北側の分岐。懸垂式モノレールの分岐はかなりものものしい造りです。
向かう途中で上空を過ぎる1000形。門中型の橋脚は思った以上に高く、モノレールとは10メートル近い距離があります。上空を走る銀色の車体は、まさしく未来の列車です。
モノレールなら1分で着く葭川公園は、徒歩で15分ほどかかりました。
ホームに着くと先程の1000形がいました。
何気に初番でした。
[千葉都市モノレール1号線 06120 県庁前6:35→千葉みなと6:45]
《葭川公園 6:37発》
《千葉6:41着》
再び千葉駅に戻ってきたところで、Bたっての希望で、2号線で千葉公園に向かうことになりました。
[千葉都市モノレール2号線 06221 千葉みなと6:44→千城台7:13]
《千葉6:49発》
《千葉公園6:51着》
B曰く、千葉公園も『俺妹』の舞台の一つだったそうで、一行はその場所を探しました。
が、見つからず。
結局、映っているシーンさえ見つからない(Bが必死でスマホで探していた)まま、一行は千葉駅に戻りました。
7時半過ぎに千葉駅に舞い戻った一行。
時間が微妙なので朝食はコンビニで済ませ、総武線ホームに向かいます。
今回の旅行のメイン――113系が現れる場所に。
千葉のローカル輸送では長らく横須賀色=スカ色の113系の天下でした。元々総武線快速で乗り入れていた車両がそのままつかわれていました。
しかし、高崎から211系がやってきたことで113系の廃車が始まりました。さらに、京浜東北線の209系を改造した209系2000・2100番台により、113系の居場所は狭くなっていきます。209系の投入とともに廃車が進み、投入開始半年がたった2010年12月のダイヤ改正で6両編成が定期運用離脱。数の上でもトップの座から陥落しました。
そしてついに、JR東日本千葉支社は、113系が2011年8月末で定期運用を終了すると発表。既に4両編成5本を残すのみとなっていた113系は8月限りの活躍となりました。私は113系の最後の雄姿を見届けるべく、千葉にやって来たのでした。
房総の主役となりつつある209系2000・2100番台が入線。
ホーム端には三脚を持った人たちが垣根をなしています。9番線の209系には見向きもしません。
太陽が照りつける中、じっと113系の到着を待ちます。
7時51分。長いカーブの向こうから、本日のメイン――113系がやってきました。
列車はゆっくりと私たちの横を通り過ぎていきます。
209系と肩を並べ停車。
千葉駅に着いた113系はすぐさま折り返し態勢になります。次の列車は8時4分発の総武本線成東行1331Mです。
鉄道に興味のない友人たちをボックスで待たせ、しばらく写真撮影にいそしみます。
《以下、113系の写真をご覧ください》
そうこうしているうちに発車時間になってしまいました。113系の乗りこみ、成東へと向かいます。
続く!
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