らいむ&りーずん

歌いつがれる言葉と想い ~ アメリカン・フォーク・ソングの庭へようこそ♪

by 松月(しょうげつ)

「薔薇は紅く」 by トミー・メイケム&リアム・クランシー

2011年05月27日 | アイリッシュ

アイリッシュ・トラッド、すなわち、アイルランドの伝統音楽・・・

チーフタンズもアルタンもコアーズも知らなかった松月がこのジャンルにのめりこんだきっかけは、アメリカン・フォークを掘り進める中で出会ったクランシー・ブラザース(The Clancy Brothers)のレコードでした。

60年代のフォーク・リバイバルの時、渡英して活動していたアメリカのミュージシャンたちとは反対に、彼らは50年代にアイルランドからアメリカへ移住し、ニューヨークのグリニッジ・ビレッジをはじめとするアメリカン・フォークのシーンで、アイリッシュ・トラッドを演奏して広めていたのでした。

特に末弟のリアム・クランシー(Liam Clancy, 1935-2009)は、あのボブ・ディランから「最高のバラッド・シンガー」と称賛された人でした。また、一緒に活動していた友人のトミー・メイケム(Tommy Makem, 1932-2007)は「アイリッシュ・ミュージックの教父」といわれ、たくさんのメッセージ・ソングも残しています。彼はたいていバンジョーを弾いていますが、たまに「不思議な縦笛」も吹いていて、それがとてもきれいな音だったので、旅に出ればいつもお土産に笛を買うくらい笛好きな松月はたまらなくなってしまいまして、それがリコーダーのように手軽に吹ける笛だと知ると、迷わず購入しました。そう、右の「プロフィール」で松月が吹いている「ティンホイッスル」(tin whistle)です。

2年前に茨城で吹き始めて以来、この笛はわたしにたくさんの友だちを呼び寄せてくれました。特に、水戸や勝田のアイリッシュ・パブや県内のブルーグラス・フェスに出向いて、セッションに参加できたのはとても楽しかったです。

今回ご紹介する「薔薇は紅く」(Red Is the Rose)は、初めて勝田のアイリッシュ・パブ「ドヨーズ」へ潜入した時にも流れていた歌です。70年代以降にリアム・クランシーとトミー・メイケムがレコーディングしたバージョンです。

恋人が離れていっても、いつまでも愛していようと誓う、素敵なラブ・ソングです。わたしも昨年6月の「美野里フォークフェス」で、ちょうど下の映像のような感じで、埼玉のドック・ワトソンことA木さんと、この曲を演奏しました。 

向こうの庭に咲く薔薇は赤く
谷間の百合は白く
ボイン川から流れる水は清らか
でも 私の愛する人は何よりも美しい

 

おまけ - 「ロッホ・ローモンド」と「水辺の春」

ところでみなさん、このメロディに聴き覚えはありませんか?
そう、スコットランド民謡の「ロッホ・ローモンド」(Loch Lomond)として知られていますよね。

「ロッホ・ローモンド」は17世紀、名誉革命後のイングランド(主にプロテスタント)に対するスコットランド(主にカトリック)の反乱で、死を悟ったスコットランド兵が故郷の湖と恋人を思う歌で、スコットランドのフォーク・グループ、コリーズ(The Corries)のバージョンがよく知られています。

それがアイルランドでは「薔薇は紅く」というまったく別の詩で親しまれているのは、非常に興味深いですね。

ちなみに、日本にもこのメロディに独自の詩をつけた「水辺の春」という唱歌があります。
(作詞者の片岡輝(かたおか・ひかる)氏は、「グリーン・グリーン」の日本語版の作詞者でもあります。)

心はずむ 緑の風 そよぎゆく みずうみ
森に丘に いのち息づき はるかに かすみたなびく

めぐりあえる日 夢みた なつかしの みずうみ
いま美しく はるひらき あこがれ遠く はばたく

これも「みんなのうた」で親しまれましたが、わたしは小学校の音楽の時間に歌いました。「音楽委員会」の活動で低学年の教室へオルガンの伴奏をしにも行っていました。今でもよく覚えている大好きな歌のひとつです。



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9 コメント

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Unknown (Toshinosuke)
2011-05-27 22:43:17
元気ですかー?

笛の音は、何か癒されますね。

しかし、渋い音楽を紹介してくれますね。
とても20代の女性の記事とは思えない(いい意味でござんす)。

これは、お父さんの影響ですか?
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「水辺の春」のような歌が好きなんです (松月)
2011-05-29 23:27:57
Toshinosukeさん

いつもコメントありがとうでござんす

「松月はどうしてアイリッシュを始めたのか」という質問が多いので、あらためて書いた記事なのに、
「松月はどうして“渋い音楽”が好きなのか」をこちらで答えなきゃならんのですか(笑)

更新してない日には、旧ブログをはじめっから読んでみていただければ、
どれほど「父の影響を受けて“いない”か」がわかるかと思います。

小学校時代から、記事で紹介した「水辺の春」や「グリーン・グリーン」のほかにも
唱歌や外国の民謡が好きで、自分でいろいろと覚えて歌っていました。
シンプルな曲構成で、きれいなメロディと詩をもつ歌に親しみを覚えるのです
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Unknown (risataku)
2011-06-01 22:55:45
こんばんは。またおじゃまします。
Irishを取り上げたんでコメントさせてください。
「Red Is the Rose」は大好きで愛唱歌です。
はじめて聴いたのがドナバークさん(Donna Burke:オーストラリア出身でSSW・CMや新幹線の車内ナレーションも)のアイリッシュチューン中心のCDなんですが、ホイッスルも入った素晴らしいヴァージョンです。CDは廃盤かもしれませんが、こちらでちょっとだけ試聴できます。↓
http://www.cdbaby.com/cd/burke2
実はクランシー等のアイリッシュ「フォーク」はあまり興味がなかったんですが、この曲などから比較的アイリッシュフォークソングも聴くようになりました。
これを聴くと「500Mile」が聴きたくなります。雰囲気やコードが似ているせいかな。
スコットランド→アイルランド→アメリカという経路で歌い継がれてた歌・チューンなのでしょうか?


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Runrig (ししょー)
2011-06-02 02:24:41
ご無沙汰しています。
お元気そうですね。

私は Red is the rose よりも
Loch Lomond の方が何となく好きです。
イギリスに滞在中、指導教官が自宅のピアノを弾きながら楽しそうに歌ってくれたのを思い出します。

私の好きな演奏は、runrig というスコットランドのロックグループの演奏で、
ライブだと群集がノリノリで盛り上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=pzQ1pNfbe3Q
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お!「アイリッシュな友だち」が来た^^ (松月)
2011-06-05 02:10:17
risatakuさん

再度のご来訪ありがとうございます!
話題に飛びついていただけてうれしいです

ドナ・バークさんのバージョンご紹介ありがとうございます。
聴いてみましたが、のびやかな声とゆったりしたアレンジが心地よかったです

「500マイル」とは、ゆったりとして郷愁を誘うところが似ているかもしれませんね。
「アイルランド→アメリカ」は間違いないはずですが、「ロッホ・ローモンド」との関係が気になります。

それから、ナンシー・グリフィス(Nanci Griffith, 1953- )もアメリカン・フォークの人ですが、
彼女のバージョンも素敵です。(チーフタンズが入るとアイリッシュな雰囲気になりますね^^;)
http://www.youtube.com/watch?v=yvS8KkzKTjQ

ししょーさん

しばらくですっ! ご来訪ありがとうございます!

おおー、イギリスに滞在したことがあるのですか! そこで先生の生演奏を・・・いいなぁー

“runrig”というバンドの演奏、「え゛! ロック!?」と思いましたが、
こんなスタイルもアリなんですね。観衆と一緒に楽しませていただきました。
しかし、この盛り上がりよう・・・スコットランドの方々は「愛国心」が深いのでしょうね
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Unknown (saya)
2011-06-05 22:59:44
こんばんは^^
"Red Is The Rose"、最初にホイッスル吹いていましたね。
「ロッホ・ローモンド」、高校の音楽の教科書に載っていました。これに日本語の詞をつけたのが「水辺の春」なんですね。作詞者の片岡輝氏は、「グリーン・グリーン」の他にも、「勇気ひとつを友にして」(むーかーしギリシャーのーイカロースーはー♪のあれですね)の作詞もされていらっしゃいますね。
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   (とち)
2011-06-07 17:45:47
松月さん、お久しぶりです! 
クランシー・ブラザース、初めて聞きました。古き良き時代の情景を思い描かせるような歌声ですね。
素敵な演奏をどんどん紹介してください♪
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「ひたみちアメリカン・フォーク」じゃなくなってる気が^^; (松月)
2011-06-08 23:19:22
sayaさん

コメントありがとうございます

映像でメイケムさんの吹いているホイッスルは、一般的なケーナと同じGキーです。
ハ長調(C major)での演奏に便利なので、フォークやブルーグラスで笛を吹きたい方は
1本持っているといいかもしれません。(わたしは持ってませんが^^;)

> むーかーしギリシャーのーイカロースーはー♪

えー! これまた懐かしい歌・・・片岡輝さんでしたか! 歌集見てみますっ。

とちさん

しばらくです。こちらへのご来訪ありがとうございます。
気に入っていただけてうれしいです。
この記事が意外に好評だったので、アメリカン・フォークと関連させながら
今後もたまにアイリッシュな話題を出していこうかと思っています
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水辺の春教えて下さい! (水辺の春大好きさん)
2013-09-25 22:36:09
水辺の春という曲の詩を、本当に探していたのですが、緑で詩を載せて下さってて、凄く嬉しかったです。ぜひとも、三番まで教えて頂きたくコメントしました。片岡輝さんの作詞は綺麗で感動をよびますよね。
どうぞよろしくお願いします!
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