2年前の春、松月がクランシー・ブラザースの影響でティンホイッスルを吹き始めて、最初に習得した「アイリッシュなフォークソング」だったのが、この「サリー・ガーデン」(Down by the Salley Gardens)という曲でした。
シンプルなメロディで、よく知られているエア(air:ダンス・チューンではなく、抒情的な詩をつけて歌われるためにある曲)ということで、たいていのホイッスル吹きが初めに覚えている曲なのではないかと思います。
さらに、このシンプルなメロディですが、階名で歌うように書くと:
「ドレミーレドレーミソラーソ ドソラーソミレードドー♪」
という、ファとシの音が出てこない(出てきてもほとんどない)いわゆる「ペンタトニック・スケール」(5音階)なんですよね。こういうメロディは日本の民謡や唱歌にも多く、日本人の心にもどこか懐かしさを感じさせるのかもしれません。
この詩はノーベル文学賞も受賞した詩人イェイツ(William Butler Yeats, 1865-1939)の作といわれますが、小さな村の農家のおばあさんが口ずさんでいたフレーズから、物語の歌に「復元」されたものといわれています。「サリー」とはアイルランドの村で木材として利用するためによく植えられていた「柳」のことなのだとか。
英語とゲール語の詩があり、多くのバージョンがありますが、松月のお気に入りはクラナド(Clannad)というグループのライブ・バージョンです。ホイッスルのイントロ、女声のメイン・ヴォーカル、2番のハーモニーがとても美しいです。
クラナドはドニゴール州出身のブレナン兄弟(+親類)によるグループで、わたしにとっては「癒し系シンガー」の印象が強いエンヤ(Enya, 1961- )も実はその兄弟の一員だったりします。
下の映像は2008年のライブ映像です。会場の“Leo's Tavern”というのはブレナン兄弟の父親の経営するパブで、彼らが音楽活動を始めたまさにその場所です。その開店40周年を記念する、大切なライブだったのですね。
ここで使われているホイッスルは「ジェネレーション」のブラス(真鍮)のB♭管のようです。とても渋い音です。
でも、アイリッシュ・エアはやっぱり、歌が命!ですよね。
Down by the salley gardens my love and I did meet
She passed the salley gardens with little snow-white feet
She bid me take love easy as the leaves grow on the trees
But I, being young and foolish, with her would not agree
柳の庭のほとりで 恋人と僕は出会った
彼女は小さな真っ白い足で 柳の庭を通り過ぎていった
「恋はあせってはいけないわ 木の葉が茂るのと同じようにね」
でも僕は若くて愚かだったので 彼女の言葉を受けとめられなかった
In a field by the river my love and I did stand
And on my leaning shoulder she laid her snow-white hand
She bid me take life easy as the grass grows on the weirs
But I was young and foolish, and now I am full of tears
川のそばの野原に 恋人と僕は立っていた
彼女は真っ白い手を 僕の傾いた肩にのせた
「人生はあせってはいけないわ 草が堰の上に育つのと同じようにね」
でも僕は若くて愚かだった それで今は涙が止まらない
さて、これも「美野里フォーク・フェス」で教えていただいたのですが、この歌にも日本語バージョンがあります。
訳詞は、なんとあの高石ともやさんなんだとか。旧ブログで「時代は変る」、「陽気に行こう」、「柳の木の下で」をご紹介しましたが、この歌にも日本語の詩をつけていたとは!!
ちなみに、タイトルは「柳の庭の下で」・・・ではなく(笑)、「初恋」といいます。
こんな映像を見つけました。舞台は曙橋の「BACK IN TOWN」。松月も何度かお邪魔したライブハウスです!
それにしても、この映像でLow-F管のティンホイッスル吹いてる男性、「豊田さん」というお名前だそうですが、
どっかで聴いたことあったような・・・・・・・・・???
・・・そうだ、あの時お会いしたんだ、つくばで!!
→ 潜入!セント・パトリックス・デイ・パレード in つくば
そこで、これと同じLow-Fのホイッスルで、とっても美しい“Si Bheag, Si Mhor”を聴かせてくれたんだっけ・・・
彼こそわたしの「初恋の人」だったのかもしれません・・・思い届かぬ恋に、涙が止まらない松月です
フォークルの「感謝」は、takabohさんから教わって気に入った歌のひとつでした。
(松月の大好きな「アルフィーの坂崎さん」が参加しているのもうれしい)
でも気づかなかったなぁー、というか解らないなぁー、「サリー・ガーデン」と関係があるのか。
確かに「ファ」の音を使っていないことと、なめらかな旋律には、近いものを感じますね。
(それより・・・加藤和彦さんが「スザート」のホイッスルを吹いている!!! ← これは確実!)
あと、いいなぁー、八戸でリュートの生演奏。貴重な機会ですね!
ザ・フォーク・クルセダーズの「感謝」という歌を好きなので、アイリッシュの匂いがすると思っておりましたが、この歌だったんですね。
http://www.youtube.com/watch?v=DxzEE0T2--I
似ていますよね。
イッシー&バッシーさん
この場をお借りします。リュートと言えば、イッシー&バッシーさんのライブを初めて聴いたあの場所で、リュート演奏のライブを聴いたことがあります。楽器も生で見せてもらいましたよ。
コメントありがとうございました!
とちさん
「スラー」ですね。主にスラーで音をつなげてなめらかに演奏するのは、
主にタンギングを使うリコーダーの練習との大きな違いですよね。
はじめに「スライド」と聞いて思い浮かんだのは、指を滑らせて指孔を少しずつあけることで
音を連続的にずりあげる技法です。これがあるとよりホイッスルらしく聴こえますね。
この技法もこの曲で習得しました♪
イッシー&バッシーさん
関連レコードのご紹介ありがとうございます。
おおー、リュートですかー! 「古楽」ですかー! 聴いてみたいなぁー。
17世紀といえば、クラシックでリコーダーが活躍していた時代ですね。
涼しい風を運んでくれる、夏にぴったりな曲だとわたしも思います(でも演奏するには暑い^^;)
P.S. 今後とも間違いは自己申告でお願いします。わたしは(たとえわかってても)スルーします(笑)
「ズ」は不要でした。
僕も、この歌のたいへん美しいCDを持っています。
波多野睦美(メゾソプラノ)&つのだたかし(リュート)の演奏です。
このCDの演奏はアカデミックなもので、クラシックでいう「古楽(ピリオド・ミュージック)」です。ルネサンス期の音の再現を目指しているそうです。日本では関ヶ原の合戦のころですね。
サリーズ・ガーデンは、ゆったりとして、どのようなスタイルでも歌の良さが引き立ちますね。詩が、大御所イェーツとは知りませんでした。
真夏でも、涼しげな風が通り抜けるような趣がありますね。
クラナドのライブバージョン初めて聞きました。いいですね~♪
ご来訪ありがとうございます
トミー・メイケムさんの歌っているバージョンも聴いてくださいましたか!
そうそう、彼の低い声とギター、バックのコンサーティーナがいい感じですよねー
日本語で歌われている映像で、思い入れのあるBACK IN TOWNでのライブを見つけたと思ったら、
つくばのセンパトでお会いしたことのある方とわかって、感激してしまいました。
もう一度お会いして、今度はもっとじっくり聴いてみたいなぁー
クラナドは女性と言う事や人が多いせいもあるのかまた違った感じで聴きました。
「豊田さんトリオ」は高石さんの訳詞で歌われいますね。
>彼こそわたしの「初恋の人」だったのかもしれません・・・思い届かぬ恋に、涙が止まらない松月です。
松月さんの訳詞のように !!
>「恋はあせってはいけないわ 木の葉が茂るのと同じようにね」
>「人生はあせってはいけないわ 草が堰の上に育つのと同じようにね」
私はこちらの訳が気に入りました。