果たしてこのお話は
モノノ怪・アヤカシの話と言えるかどうか(笑)。
出来れば日本昔話の主題歌をBGMで流してください。
ドンドコドン、ドンドコドンドンドコドンで出てコイコイ。
チャララララララララララララ~
チャララララララララララララ~ラ・ラ・ラ
ほ~ら出てきた出てきた出てきたよ。
お話のおじさん出てきたよ。
今日のお話は「狐に騙された男」のお話だ。
私の祖父は10年以上前に80歳で亡くなりました。
その祖父が若い頃の話と言いますから
おそらく戦前の話だと思います。
さて、私の実家は田んぼの真ん中にある集落です。
実際に100年くらいここに住んでるのですが
周りは未だに未開発の田んぼばかりです。
その集落の真後ろに
茶臼山という山があるのですが、
その山には「滝の小太郎」と言う
狐の神様が祭られているそうです。
ある夜、祖父は大庭村
(現在は大庭町ですが当然そんな昔は村)での
お祝いに呼ばれてすっかりと帰りが遅くなったそうです。
当時は街灯も無ければ
今のような立派な道も無かったですから
真っ暗な道を自転車をこいで
田んぼ道を走っていたそうです。
もう少しで家だと言う時に
祖父はあることに気がつきました。
少し離れた田んぼの中でなにやら火が燃えている。
しかも騒がしい。
暗い中で祖父がよくよく見ると
なんと絣の着物を着た(当時は当たり前)子供たちが
焚き火を囲んで何やら騒いでいたのです。
でも、時間が時間なので
(昔は子供たちだけでそういった集まりをして
上級生を中心に子供同士のルールを決めていたそうです。
決して今のコンビニの前で屯している連中とは違います)
少し注意をしておこうと思った祖父は
自転車をあぜ道においてその子供の集団に近づいたそうです。
けれど祖父が近づいても近づいても
一向に子供の集団との距離が縮まらない。
どんどん離れていく。
あれあれこれは変だぞ~と祖父は
思いながらさらに近づいていくと……
その子供の集団は一つの火の玉となってす~っと
茶臼山へ向かって飛んで行ったそうです。
あれあれ~えらいもん見ちゃったなあと
祖父は滝の小太郎さんの事を直ぐに思い出したんだそうです。
そんな祖父も少々怖くなって足早に
自転車のあるところに戻ったそうです。
するとそこには………
確かに自転車の荷台に括り付けておいたはずの
ご馳走の折箱が消えてなくなっていたそうです。
もう本当に怖くなって転げるように家に帰り
その事をひい爺様に話したそうです。
するとひい爺様の言う事には
「あ~滝の小太郎さんにだまされたなあ」と一言。
祖父は言ってました。
「昔は狐も狸も狢み~んな人を化かしてた」
「でも、不思議と腹はたたんかった」
ってね。