篠崎博見ミュージアム

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熊田千佳慕展に行ったよ

2013-07-15 00:22:59 | アート・文化
今回は展覧会報告。
茨城県近代美術館で開催中の「熊田千佳慕展」に行ってきた。
正直、それほど期待していたわけではなかったが、なかなか良かった。
前回の「ワカラナイノススメ」より良かったな。

熊田千佳慕とは、昆虫等の細密画を描いて「プチファーブル」と呼ばれた人。
今回の展覧会は、ファーブル昆虫記にも触れられて、しかも、自然科学の勉強もできるという変わり種だった。
それにしても、これだけの細密画でこれほどの作品を残すというのは並大抵の忍耐力ではなさそうだ。

私の絵は細密画ではないが、それでも途中でいやになることがあるものな。
別に、いやになったからといってその作品を投げ出すわけではないし、いやとは言っても文字通りいやになるわけでもないので、最終的にはちゃんと仕上がるんだけどね。

さて、この「千佳慕」という変わった名前の由来が、会場の入り口に書いてあった。
はっきりと覚えていないので、今から書くことは少々間違っているかもしれないが、だいたい以下のような感じ。

熊田さんの絵本を買った人から、これから「千佳慕」と名乗るようにという手紙が来たことがきっかけらしい。
この名前は千の女性に慕われるという意味で、この名前にすれば3年後には裕福な暮らしが出来るということであったらしい。

「千の女性に慕われる」にひかれたのか「3年後に裕福な暮らしが出来る」にひかれたのか、はたまたその両方か、その真意はわからないが、真に受けてその名を名乗ってしまうところをみると、私とは全く性格の違う画家さんのようだ。
確かに彼は、当時は生活が苦しく「3年後に裕福になる」と言われれば悪い気もしないだろう。
私も、楽な生活がしたいので裕福にはなりたい。
しかし、私ならまず名乗らないな。

実際、彼は千佳慕と名乗り初めてから30年たっても楽な生活はできなかったらしい。
私は心の中で「それ見ろ!」とほくそ笑んでしまった。

しかし、これほど挿し絵などの仕事をしていた人なのに生活が苦しかったなんて、改めて画家という職業のつらさを実感。
正直、画家という仕事がどんなものかなんてわかっちゃいるけど、明るい気持ちにはなりにくいね。

でも、うまいこともうける方法もあるんだよな。
もちろん、人気作家になることは最低条件だけど、ある一線を越えることができれば可能だったりするらしい。
むかし、ちょっとわけあって、そんなマーケットの世界を少しだけのぞくことができた。
あれは最早、画家としてのプライドはないね。
私は「売り絵」を描くことは別にかまわないと思う。
でも、あのマーケットであの方法で売るというのは、画家としての自負がある人ならできないと思うんだけどな。

「ある一線」とか「あのマーケット」とかわかりにくくてごめんなさいね。

とにかく、私は私を応援してくれた人、応援してくれている人、絵を買ってくれた人の期待を裏切りたくないから日々努力しているのです。
だから、売れっ子ではなくても画家の魂は捨てたくないのです。
でも、売れっ子にはなりたいのです!



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