長い正月休みの最終日、初釣りに行ってきた。
お屠蘇ボケでなまった体にいきなりガチの夜釣りは辛いので、まずはライトゲームで肩慣らし。
夜明け前、まだ暗いうちに自宅を出発し、本日の釣り場を目指す。
車のラジオからは、昨年暮れに急逝した大瀧詠一氏を偲ぶプログラムが流れてくる。
「さらばシベリア鉄道」を聴きながら、大瀧氏は本当に「12月の旅人」になってしまったんだなあ、と寂しい気持ちになった。
謹んでご冥福をお祈りいたします。
しんみりしながら到着したのは、とある漁港の船溜り。
少量の荷物と、15尺のヘラ竿を一本だけ持って、岸壁に向かう。
釣り人は私の他に誰も居ない。
釣り座を構え、足元にアミコマセをごく少量ずつパラパラと撒きながら、竿を継いで仕鰍ッをセットする。
今日の仕鰍ッはこれ。
稚鮎釣りではいつも最強釣果を叩き出す魔法のサビキ。

2014年は、真剣勝負の小魚釣りで開幕だ。
やがて朝日が昇り、周囲が明るくなってきた。
水面に浮いたコマセを、小魚がピチャピチャとついばんでいる様子が見える。
よしよし、居るぞ居るぞ。

風はペパーミント、空は天然色
餌付け器に適量置いたアミコマセに仕鰍ッをスリスリして、足元にそっと下ろしてやると、すぐにアタリが出る。
一回ごとに、1~3匹。
一時間も経たないうちに、バッカンの中はこんな状況に。

♪Pap-Pi-Doo-Bi-Doo-Ba
犬の散歩にやってきた地元のおばさんが、バッカンの中をのぞき込んで私に尋ねる。
「何釣ってんの?イナっ子?イワシ?」
さあ、何でしょうねえ、こんな魚なんですけど、あははは・・・と適当にしらばっくれる私。
魚種名はご想像にお任せいたします。
しばらく釣っていると、いつの間にか周囲に鳥が集まってきた。
むむ、これはやばいかも・・・
そして、突然、目の前の水面を割って何か黒いものがボコッと浮上してきた。
げげ、ウミウだ!
そいつはきょきょろと周囲を見回すと、再び水中に潜って消えていった。
そして、それを境にぱったりとアタリも途切れてしまった。
ふと足元を見ると、何か大きな魚の影が水中をゆらりと泳ぎ去っていくのが見える。
ベイトについていたシーバスだろうか。
君もあの鳥に邪魔されたのか。かわいそうに。
ある程度釣れたので、魚をャ椛ワに移し、いったん車に戻ってクーラーボックスに仕舞う。
貴重な食材。大事に扱わなくっちゃ。
再び釣り座に戻ると、別のおじさんがやってきて、
「釣れてるかあ?あっちの岸壁では小さい魚がたくさん釣れてたぞ。」と教えてくれた。
おや、そうですか。こっちはもうさっぱりです。
どうもありがとうございます。
延々と続くおじさんのスピーチ・バルーンに相槌を打ちながら荷物をまとめ、ャCントを移動する。
この身軽な感じ、子供時代の釣りに戻ったようで実に愉快である。
あの頃は、何をするにもすべて手探り。未知の冒険ばかりだった。
大瀧詠一氏の「1969年のドラッグレース」を口ずさみながら、次のャCントを目指して、釣竿片手にてくてくと歩いた。
♪地図の通りにいきたくなかった
なるべく人のいない道を探した・・・

移動した先では、地元の方が数名、同じ魚を釣っていた。
お邪魔にならないよう適当な距離をとって、私も釣りを再開した。
すると、先ほどのャCントよりも明らかに魚影が濃い。
一か所に釣り人が集まることでコマセが効き、魚が集まっているのだろうか。
コマセを撒かなくても、仕鰍ッを水中に入れただけで次々と食いついてくる。
あらら、何だか申し訳ありません。
少し手を休めて地元師にお話を伺ったところ、私が最初にいたャCントは、数日前から鳥(ウミウとカイツブリ)が多かったので今日は敢えて避けたのだとか。
なるほど!確かに私もそれでやられてしまいました。
大変勉強になりました。有難うございます。
ここでも先ほどのャCントと同じくらいの数をキープし、無事に本年の初釣りを終了した。
そんなわけで、短時間でしたが実に楽しい初釣りとなりました。
各方面の皆様、特にB様、いろいろな意味で有難うございました。
本年もお世話になります。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
<本日の釣果>

とても数える気など起きませんw
<接写>

可憐な姿に恋してしまいそう
(追記)
本日の釣果は、さっそく王道の天麩羅で頂いた。
残りはフリーザーバッグに小分けして冷凍しておいたので、あと4回楽しめる(笑)。

「頭」の嫌いな家族のために、全部落としてみた。
せっかくなので、晩酌のお酒も奮発して、御宿の地酒「岩の井」の吟醸原酒を開栓。

岩の井といえば、かの池田元首相が愛飲し、東京サミットの晩餐会では数あまたある日本酒の中から晴れて乾杯酒に選ばれたという由緒正しき銘酒である・・・
そんな薀蓄も霞んでしまうほど、今回の獲物は素晴らしく美味だった。
来年もまた釣らなくちゃ。