先日のことである。
憂鬱な雨がしとしとと降る夕暮れ、いつもより少し早めに仕事を終えて、下町のディープな居酒屋に寄り道をした。
肉豆腐を肴にチューハイで一杯やりながら、今週末も台風のウネリで夜磯は無理だろうなあ、とぼんやり考えていたところ・・・
平日フライング釣行していた釣友から画像付き迷惑メールが届いた。
「メーターシイラが爆！チョー楽シイラ！」
まじすか！
ううううう・・・羨まシイラ！
シイラといえば数年前、南房夜磯帰りの第二ラウンドの堤防で、背びれを水面に出して泳ぎ回る大きなシイラの群れに遭遇した。
黄金色に輝くその姿にすっかり魅せられた私は、夏の間中、ショアジギングタックルを片手にあちこち探し回って狙ってみた。
しかし、結局シイラと呼べるサイズは釣れず、ペンペンと遊んだだけで終わってしまった。
私にとってシイラは、いまだ手にしたことのない憧れの魚のひとつなのである。
海流・海水温図を見てみると、少し前まで房総半島から離れて蛇行していた黒潮が急接近し、海水温も上昇している。
「http://www.agri-kanagawa.jp/suisoken/kaikyozu/KantoTokaiIZ.asp?n=3」より引用
これはひょっとすると、ひょっとするかもしれない。
駄目元で狙ってみるか。
「焼け木杭に火がつく」とは、こういうことを言うのだろう（笑）。
私は、手持ちのロッドの中で一番強い一本を用意し、貫通ワイヤーのミノー系を中心に対シイラ戦用ルアーをチョイスして、ウズウズしながら週末を迎えた。
◇◇◇◇◇
高速のインターを降り、到着した未明の海岸。
外房側の海は見ていないが、おそらく台風による南東からのウネリでガチャガチャに荒れていると思われる。
対してこちら側は、気になるようなウネリもなく、むしろ凪いでいる。
あとはベイトさえ居てくれれば、事件が起きる可能性は十分にある♪
水没したルートを膝下まで軽くジャブりながら進み、ャCントに到着。
薄明かりの射す海に向かって、ペンシルベイトを遠投し、まずは表層をサーチ。
しばらくやってみたが反応が無いので、シンキングミノーで少し下のレンジを探ってみるも、魚からのコンタクトはない。
目の前に広がる海は、見渡す限り平和そのもの。
大型魚が「オラオラ！」と暴れている様子もない。
ん～、これはやっちまったかなあ・・・
底の方に何か居ないかとメタルジグをシャクっていたら、可愛いフグ君を引っかけてしまった。
ごめんごめん。
そんなに怒るな（笑）。
その後もシイラが回ってくる気配はない。
おじさんは悲シイラ。
でもまあ、こういうこともあるさ。
ていうか、狙い通りに魚が釣れることの方が、むしろ稀なのだ。
坊主上等。
それに、そもそも情報の後追いで魚が釣れるなんて期待をしちゃいけない。
事件はその場限り。
事件現場に後から駆けつけてみたところで、当事者にはなれない。
それはただの野次馬というもの。
そうこうするうち、沖の方で数羽の鳥が怪しい動きを始めた。
一か所でぐるぐる旋回し、時折海面すれすれまで降りてくる。
むむむ、これは。
あそこにベイトボールが居るのか。
何やら事件の匂いがする。
そして、次第に鳥の数が増え、射程圏内まで近づいてきたところで・・・
沖合にボイル発生！
来たか？シイラなのか？
メタルジグをフルキャストして、表層トゥイッチで誘ってやると、ググン！
食った！
でも・・・
引かない。
飛ばない。
走らない。
ボイルの正体は、残念ながら目測50cmに満たないイナダだった。
ゴリ巻きしてブッコ抜いてファイト終了。
イナダは現在、わが家のお持ち帰りNG魚。
どうしようかと悩んでいたら、近くにいた釣師さんが持って帰ると仰るので引き取って頂いた。
（ありがとうございます。）
その後もイナダばかり５～６本（いや、もっとかな？ごめんなさい覚えていません）釣ったが、本命シイラが回遊してくることはなかった。
結局、事件らしい事件は起きず、80cm枠の玉網の出番も無し。
日が昇って暑くなってきたところで本日の釣りを終了した。
ん～、それにしても、やっぱりシイラが恋しい。
狙って釣るのは容易でないということは分かっているが、だからこそ釣りたいのである。
シイラシイラ！
いつの日か、メーターオーバーのシイラ釣ってやる。
野次馬ではなく、第一発見者として！
◇◇◇◇◇
帰路、久しぶりに立ち寄った地元スーパーで、千葉県産サザエと茨城県産ホッキガイを見つけた。
こんな立派な活ホッキがこんな値段でいいの？とも思ったが、遠慮なく購入（笑）。
当然ながら、魚は買わない。
意地でも買わない。
晩酌は、屋久島焼酎「三岳」で。
美味しゅうございました。
でも本当は、シイラのャ純撃ﾅ白ワインを飲みたかったんだよなあ・・・。
