10月某日 釣果:アジ(たくさん)
いつもの浜行川漁港へ出かけた。
今日は朝まづめのアジと、日が昇ってからはクロダイを狙うのだ。
最近、ぼちぼちと港内でクロダイがあがっているらしい。
朝3時、浜行川漁港に到着。
赤灯台堤防の先端に向かう。
先客が既に2人、ケミホタルをつけた遠投カゴ仕鰍ッを投入している。
私もその横に入れてもらって、釣り開始。
今年のアジは去年に比べて型、数ともにやや不調のようだ。
20センチを超える良型が少ない気がする。
それでも明け方までにそこそこの数が釣れた。
家族4人分の「たたき」と「さんが焼き」には十分だ。
日の出とともに、アジの時合は終了。
アジ狙いの釣り人は三々五々帰って行き、代わってクロダイ狙いの釣り人が続々とやってくる。
堤防の上は再びにぎやかになった。
私もクロダイ仕鰍ッに切り替えて、釣り再開。
しばらくして、小学生位の女の子を2人連れたお父さんがやってきた。
初めて見る顔だ。
彼は、堤防の先端までやってくると、私と右隣りの釣り人との間の狭いスペースに強引に入ってきた。
私は彼を「じろり」とにらんだが、彼は全く悪びれた様子も無く、にこにこしながら「ここでアジは釣れますか?」と訊いてきた。
どうやら釣り初心者のようだ。悪気は無いらしい。
「さっきまでは釣れていたが、これから夕方までは釣れない」と本当のことを言うのもかわいそうなので、「いろいろ釣れますよ」と、お茶を濁した。
そして、左隣りの釣り人に「ごめんなさい」と断って釣り座を少し移動し(何で私が謝らなきゃいかんのだろう?)、その親子に場所を譲ってあげた
今日のところは娘さん2人に免じて許してあげよう。うちの娘と同い年くらいだしね。
お父さんはいそいそと釣り支度を始めた。
市販品のさびき仕鰍ッをセットしようとしているが、向きが上下逆だ。
ウキ止め糸はどうした?
まったく、見ちゃいられない。
おせっかいかなあと思いつつも、ついあれこれと口を出してしまう私。
娘さんたちが見ている手前、父親の威厳を傷つけてもいけないので、アドバイスの仕方にも気をつけないといけない。この年頃は難しいのだ。
(何で私が気を遣わなきゃいかんのだろう。)
自分の釣りはなんだかどうでもよくなってきた。
幸い、彼が持参したさびき仕鰍ッとアミコマセは正解である。これなら何かしら釣れる。
タナを合わせ、コマセを詰め、さびき針の一本一本にも丁寧にアミエビを刺して、第1投。
仕鰍ッがなじむと同時に、ウキがぴこんぴこんと沈む。
かかった!
釣れたのは10センチ程度の木っ端メジナ。
それでも娘さんたちは大喜び。
お父さんも嬉しそうだ。
ついでながら、私も嬉しい。
彼はその後もコンスタントに木っ端メジナを釣り上げた。
コツをつかんだらしい。
娘さんたちもおおはしゃぎである。
「また釣れたあ!パパすごおーい!」
おいおい、すごいのはやっぱりパパかい(笑)。
(2003年10月)
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