風のアルバム

些細な記憶の断片

ドイツの色鉛筆 in 1982 (20 years old)

2024-10-14 20:24:58 | 日記

 

大学に行く途中の乗りかえ駅に隣接する

大型スーパー上階には 御茶ノ水に本店を

構える洒落た画材屋が入っていました

そこで初めて買い物をしたのは高校生の時でした

無いと思っていた肌色のポスターカラーを見つけて

歓喜したのを覚えています 

大学2年の秋 私はそこでファーバーカステルの

色鉛筆をバラで数本買いました 

ミツバチの巣のように区切られた黒色の棚には

全色100以上ある色鉛筆がそれぞれ色別に数本ずつ

こちらに芯を向けた寝かせた格好で並んでいました

私は放心したようにその美しい棚に見とれるのでした

 

 

 

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椿 (25 years old)

2024-10-13 07:14:00 | 日記

 

アトリエの垣根に植えられた2本の椿は

毎年見事な花を咲かせました

ある日老画家は地面に落ちた椿の花たちを

赤と白に分けて外階段に並べました 

アトリエは山荘風建物の2階です 生徒たちはこの外階段を

上り下りします

私は椿の階段を上がって2階のアトリエに入りました 

しばらくすると外階段の下からでしょうか 老画家の

野太い大きな声が私の名前を呼んでいます

お使いかなにかの用事でしょうか

急いで椿の階段を降りますと足がさわったのか

白の椿がひとつ、落ちてゆきました

それを見ていた老画家の怒号たるや!

 

 

 

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赤い屋根 

2024-10-12 07:45:51 | 日記

 

アトリエの庭には蜜柑の木が2本と棕櫚の木が1本

確かにあったと覚えているのですが 

屋根の色がはたして赤だったのか…

確信が持てないのです

 

 

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マメとマメ子 

2024-10-11 06:51:51 | 日記

 

その子は「マメ」と呼ばれていました

ある時マメが妹を連れているのを見ました

…マメ子でした

 

 

 

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作務衣にジーンズ (22 years old)

2024-10-10 06:51:42 | 日記

 

美術をもっとやりたくて 学べる場を探して

見つけた場は 気難しい老画家のアトリエでした

老画家は上は作務衣、下はジーンズという

いで立ちが常でした

1984年の秋にアトリエの門を叩いてから

アトリエが閉鎖される1996年まで通い続け 

アトリエ無き後も2017年に老画家が亡くなる

その前年まで 私は折あるごとに老画家の元へ

足を運びました

気難しい老画家は最期まで気難しいままでした

 

 

 

 

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