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徒然 さやか日記

10年前の母の ぶっつけ本番

皐月、ゴールデンウィーク以来の実家。
朝早くに到着し、玄関を開けると、
朝陽が小窓から差し込み
生け花に、清らかな 柔らかな光の
スポットライトが当たっているようだった
「ほぉ〜…」と眺めていたら
「おはようさん、
庭の 草木ばかりの寄せ集め、
夏は花がなくって寂しいわ…」
と、母が足を引きずり廊下を歩いてきた
…身体のあちこちに湿布を貼りながら…
昨日、84歳の誕生日を迎えた 母。
この暑さも相当堪えているらしい。
静かな、佇まいの
モノがどんどん片付けられている実家
「断捨離、すごいね」って言うと、
「思い切ること」と、
ひと言だけ返ってきた
母への誕生日プレゼントは
愛孫の演奏会用写真に
添え書きをした写真立て
今秋からドイツへ旅立つ孫(我が息子)は、
幾つになっても特別可愛いようなので
これが一番のプレゼントかなっ、…と。


床の間には懐かしい軸が掛かっていた

父が亡くなって3年経った頃、
安い白紙の未使用軸が床の戸袋から見つかり
「ダメもとで良いんじゃない?
ぶっつけ本番で何か書いたら?
失敗したら捨てればいいし、
何か書いて楽しんだらいいんじゃない」
と、母をそそのかした。
すると、
ホントーに、ぶっつけ本番した母
なんと、徳川家康の遺訓を書いた
書き終わって、ひと言
「やっぱり、もっと練習したら良かった」
…実に素直な、単純な、
よく言えば素朴な、純粋な、
すぐに人の言葉を間に受け信じる 
驚くべき母…笑
苦労に苦労を重ねて生きてきた母。
貧しい生活で こどもの頃から
あちこち引越しをし、
親の手伝いばかりの小学生時代の母は
リヤカーで、親と魚の行商をしたり、
弟を連れて新聞配達をしたり、
戦後の、そういう時代、、、?
だったのかもしれない けれど、
月明かりの下、りんご箱が机、だったと
話す母。親の手助けばかりしてきた苦労人。
結婚してからは父を支え、内職しながらの
子育てで、楽しみは 家の向かいの生け花教室に、走っていく母 だった
書は、男まさりの豪快な筆だけれど、
字を書くことがずっと好きな 我流。
華道の「孝月」から 、
書を楽しむ時は自分で「高月」にし、
烙印まで作った

「花無心」
京都醍醐寺の門跡が母にお書き下さり
頂いた色紙額は母のお気に入り。
本当に、花を触っていたらご機嫌な母。



今日は、たくさん たくさん、
お喋りが停めどなく続いた母
話をしていたらどんどん元気に!

自分のことより 人の為に、
父の為に、私達こどもの為に、
ご近所の人達の為に、
身を粉にして動くことが好きな
そんな母の生き方に触れられて、
本当に感謝です。

私が幼い頃、
内職をしていても、夕飯の後、必ず
手を繋いで散歩をし、色々な花を眺め
童謡や美空ひばりの歌を
歌ってくれていた母。

今夜は…娘が奮発して、鰻!


…暑い夏をのりきってね!
ありがとう



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