そういう僕もMMP時代からMarcinkiewiczというメーカーはよく知ってはいたものの、軽量マウスピースである、という事だけで、音が薄っぺらく、豊かな響きが出ないような勝手なイメージ、先入観を持っていたため、試奏候補に上がることすら無く、まさに眼中に無いメーカーなのでした。その一番の理由としては、20年位前からGreg Blackを筆頭にクラシックでもジャスでも重量系(ヘビーウェイト)マウスピースが流行りで、軽量系マウスピースは敬遠される傾向にあったためでした。ですが、またここ最近になってノーマルウェイト、ライトウェイトのマウスピースが見直されて来ているような気がします。さまざまなメーカーからライトウェイトモデルが続々とリリースされている状況を見ると、今後は軽量系マウスピースが主流になっていくのではないかと思われます。
軽量系マウスピースが再び注目され、メーカー各社からライトウェイトモデルがリリースされている状況を僕なりにその理由を考察してみると、この20年の流行であった重量系マウスピースは金属が厚く重い分、音も太く、重厚な響きが出る印象があります。音痩せしない骨太な音がします。僕もヘビーウェイトモデルを使っていた時期がありましたが、確かに力強くいかにもマッチョな音がします。面白いもので、重量系マウスピースが最も流行っていた時期には、楽器本体の方も重量系楽器が流行っていたように思います。Bachからはヘビーベル仕様モデルも結構流通していましたから。最近になってマウスピースも楽器も重量系からノーマルに戻り、軽量系が流行出しているような気がします。その背景としては、音色の流行というものもあると思いますが、楽器製造技術の進化、金属加工技術の進化も関係しているのではないかと思います。以前は金属を厚く重くしないと重厚で豊かな響きを出せなかったのが、技術の進歩によって金属が薄くても豊かな響きを出せるようになった、ということもあるのではないかと思います。
という訳で、メーカー各社から軽量系マウスピースが続々とリリースされている状況から、それらメーカーの軽量系マウスピースをいろいろ試してみたところ、どのメーカーもそれなりに良さはあるものの、反応の良さ、音色の味わい深さなどは、やはりMarcinkiewiczに軍配が上がる感じです。Marcinkiewiczは1980年代からずっと同じデザインの軽量マウスピースを作り続けているメーカーなので、さすが一日の長がありますね。
Marcinkiewiczのトロンボーンマウスピースというと、細管用のイメージが強いのですが、ET2の音の太さ、味わい深い音色から想像すると、太管用、バストロ用もかなり良さそうです。と思って調べてみると、僕が学生の頃から大好きな目標とするバストロンボーン奏者Bill Reichenbach(ビル・ライケンバック)モデルEBT1があるんですよね。このマウスピースは是非試してみたいところです。
一昨年4月の顔面神経麻痺発症から約半年間は楽器演奏不能になり、発症後1年経過してある程度楽器が吹けるように回復してからも本調子ではなく、トロンボーンを吹くことに楽しさを感じられない状況がずっと続いていましたが、ふと思い立ってMarcinkiewicz ET2に変えてみたところ、それまでの不調が嘘のように解消され、ストレスなく再び楽器を吹けるようになりました。今は極めて単調な基礎練習でさえも音を出す事自体が楽しくて仕方ありません。
Marcinkiewicz最高です!

