小学4年生の頃、フレンチホルンの親戚ともいえるメロホンという楽器を合奏部で少し吹いておりました。その合奏部で当時取り組んでいた曲がベートーベンの「運命」で、「運命」といえばホルンが非常に重要なフレーズを担当している曲なんですが、レギュラーメンバーを決めるに当たり、「運命」のあの有名フレーズが課題として与えられました。僕は音をかする事すらできず、あえなく撃沈・・・

そういう小学生時代の苦い経験からメロホン、フレンチホルンには特別な思いがある訳ですが、オーディションに落ちた後トランペットに転向し、中学からトロンボーンをはじめて以降はメロホン、フレンチホルンへの想いも徐々に薄れていきました。が、小学生時代の苦い経験となった曲が「運命」なだけに、まさに運命が引き寄せたのか、7年ほど前にひょんなきっかけで某市民吹奏楽団から2万円という超格安でフレンチホルンを譲り受ける事となったのです。やっぱり昔とった杵柄じゃないですが、フレンチホルンは難なく吹けました。楽器入手後数年は時々遊びで吹く程度だったのですが、これまたひょんなきっかけで、2年前にゲーム音楽のホルン収録の仕事依頼が来て、遂にホルンでレコーディング・デビューする事に・・・。ある意味小学生時代の屈辱を見返せた事になるのかもしれませんね。そのレコーディングの模様はこちらとこちら。それまでひたすらトロンボーン一筋だったのに、マルチブラス指向に火がついたのは、このレコーディングがきっかけです。
2年前のゲーム音楽レコーディングで使用した楽器がこちら。

ニッカン製Fシングル。音はかなり明るく軽い感じの音色。よくこんな楽器で仕事したねぇ~。
その後、やはりフルダブルの楽器が欲しくなり、10万円以下の格安の楽器はないものかと探していたところ、福楽楽器で6万6千円という格安の中国製フルダブルの楽器(もちろん新品)を発見。福楽楽器は福岡の会社なので試奏ができず少し不安だったのですが、思い切って購入。そしたら、なんとその値段からは信じられないくらい素晴らしい楽器ではありませんか。ニッケルメッキの楽器を買ったのですが、ニッケルらしい張りのある重厚なサウンド。ちなみにこの福楽楽器のホルン、某プロ吹奏楽団のホルン奏者の方も使用されているのだとか。つい先日、たまたまそのホルン奏者の方とお話する機会があったのですが、レコーディングでこの楽器を使われても全く問題無かったそうで、当然まわりの人にも6万円台の格安楽器で吹いていたなんて誰も気がつかなかれなかったらしい。

こちらが6万6千円の格安の福楽楽器フルダブル・フレンチホルン。ニッケルメッキ、ベルカット仕様。抜き差し管が少し固かったりしますが、音程、音色、響き等は全く問題ありません。金属原価高騰のあおりを受けてか、最近値上がりしてしまったようで、現在8万4千円(それでも格安!)。
フレンチホルンはトロンボーンと音域も近く、音色もかなり似ているので、トロンボーン奏者でも比較的吹きやすい楽器なのではないかと思います。フレンチホルンはなんといってもシンフォニックな響きがとっても気持ちいい。オーケストラの中で一番好きな楽器はトロンボーンを差し置いて断然フレンチホルンかな。
近々またレコーディングでフレンチホルンを吹く予定です。