キランソウ(金瘡小草)は在来の野草。
セイヨウキランソウは西洋文化とともにもたらされた外来の野草で観賞用に輸入され、次第に野生化した。
現在アジュガで流通している園芸種は、海外からの輸入種や、それらを原種として作られてきたもの。
さらに、園芸種が花園の外に飛び出して、野に咲き、あらたな野花になっている。
どれも学名は Ajuga となる。
アジュガ(セイヨウキランソウ)のように別名として記載するのは間違いではないが、歴史の時空を圧縮してしまっている。
いつのころかは定かでないが、野に出て咲いた花はやはり「セイヨウキランソウ」で、園芸の花は「アジュガ」とするのが今風のように思える。
セイヨウニンジンボク(西洋人参木)学名:Vitex の場合は、ニンジンボクという和種はなく、ハマゴウという植物がある。これらはハマゴウ属(Vitex)となっている。ニンジンの由来は葉がチョウセンニンジンに似ていることかららしい。
セイヨウアブラナ(西洋油菜)は専ら食用油の生産のためもたらされたもので、菜の花畑で見る花は実は西洋油菜。和種のアブラナがナノハナ(菜の花)ナタネ(菜種)と呼ばれ、野菜として食され、菜種油が採取されるが、多くは開花前に刈り取られる。はっきりした違いがあっても混同され一般化している。とはいえ、どう呼んでも間違いではなく、そういう事例はいっぱいあるので、私たちはナノハナ(菜の花)と呼べばよいのだと思う。
セイヨウナデシコ(西洋撫子)は和種のナデシコがまだ多く見られた時代に外来種が区別されたもの。今は何代も交配が重ねられた多彩な園芸種がナデシコやダイアンサスの名で流通していて、本来の和種ナデシコ(ヤマトナデシコ)は幻の花となり、セイヨウナデシコはほとんど死に語となっている。
タンポポには在来種と外来種(セイヨウタンポポ)があり、繁殖力のより強い外来種が多く見られるが、在来種もけっしてひ弱ではなく咲き続けている。種による差異はあるのだろうが、それぞれに固体差もあり、私たちが構えて区別するものでもない。