どうも。蕎麦がき第七世代。片手袋研究家の石井です。
さてさて、『蕎麦がき研究入門』第3回目。今回はいよいよ、蕎麦がきの具体的な作り方を書いてみたいと思います。もしかしたら前回、前々回と僕が上げた蕎麦がきの写真を見て、違和感を抱いた方もおられるかもしれません。
一般的に蕎麦がきと言いますと、
※写真はフリー素材より転用
このように木の葉型になっているもの、
※写真はフリー素材より転用
あるいはそれをお湯や蕎麦湯の中に浮かべたものが思い起こされるのかもしれません。蕎麦がきのフリー写真素材を探したら、まずこれらの写真が出てきたことがそれを物語っています。蕎麦屋でこういうのをつまみながら酒をチビチビとやる。粋な大人の嗜みですね。
しかし、当『蕎麦がき研究入門』で設定する“基本の蕎麦がき”は、少し違うスタイルのものです。何故か?ごめんなさい、単純に僕がそっちの方が好きだからです。そして作るのがより手軽なので、「蕎麦がきの魅力を広める」という目的にも合致しています。
今回は基本の蕎麦がきの作り方を紹介しますね。この基本を踏まえた上でそれを様々にアレンジしていこうと思ってますので、まずは覚えてみてください。大丈夫。超簡単ですから。
「基本の蕎麦がき」の作り方(1人前)
(材料)
・蕎麦粉・・・75g
・ 水 ・・・150ml
※蕎麦粉によって水分含有量が変わってくるし柔らかさの好みもあるので、そこは加減してください。多め、少なめに作りたい場合はこの比率を保って調整してください。
材料、たったこれだけです!初めて蕎麦がきを食べた人は「つなぎに何か入れてるんですか?山芋とか」なんて仰るんですけど、正真正銘、蕎麦粉と水だけ。蕎麦を打つ時は、十割蕎麦でもなければ小麦粉や卵、ふのり(海藻)なんかを入れますが、蕎麦がきはこれだけで出来ます。なので、蕎麦の風味をより強く感じるのは、蕎麦切りより蕎麦がきであると言えますね。ただ蕎麦粉には色んな種類がありますので、その辺りのことは次回、書いてみたいと思います。
(作り方)
①鍋に蕎麦粉を入れて、水を加える。
もう、「ドバーッ」と一気に入れちゃって良いです。
②よく混ぜる
「グルグル〜」っとね。満遍なく混ぜてくださいよ。
こういう「ダマ」が残らないようにしてください。
「ダマ」を割ってみた状態。粉が混ざらずに固まってしまってるんですね。本当は粉を鍋に入れる段階でふるいにかけたり、水と混ぜた状態で一度濾したりすれば良いだけ(しかもその方がより滑らかな仕上がりになります)なんですが、その作業を「基本の蕎麦がき」のデフォルトにしなかった理由はいずれ書きたいと思います。
こういう「ダマ」が残らないようにしてください。
「ダマ」を割ってみた状態。粉が混ざらずに固まってしまってるんですね。本当は粉を鍋に入れる段階でふるいにかけたり、水と混ぜた状態で一度濾したりすれば良いだけ(しかもその方がより滑らかな仕上がりになります)なんですが、その作業を「基本の蕎麦がき」のデフォルトにしなかった理由はいずれ書きたいと思います。
これくらいの柔らかさになると思います。
③鍋を火にかけながら混ぜる(搔く)
この作業が「蕎麦“搔き”」の名前の由来ですね。実は昔よく蕎麦がきを食べていたようなお年寄りほど、「あんな不味いもの二度と食べたくない」と仰ることがあります。そういう方に詳しくお話を伺うと、大抵蕎麦粉に熱湯を加えて混ぜたもののことを言ってるんですね。勿論、それも蕎麦がきなんですが、正直それだとあんまり美味しくないです。蕎麦がきは蕎麦粉に含まれるデンプンが熱で糊化することにより固まるんですが、熱湯では糊化が不十分です。
この工程も色々やり方があります。「あらかじめ鍋でお湯を沸かしておき、そこに蕎麦粉を放り込んで搔く」とかね。でも、このブログは僕のブログですから。私の勝手に書いて良いんです。俺がルールブックだ!(一人称表記の揺れ)。このブログで採用する基本の蕎麦がきの作り方。それは②までで用意したものを、鍋ごと直火にかけてひたすらかき混ぜるのです!
こればかりは写真では伝わりにくいので、動画で最初から最後まで撮影してみました。
ポイントをまとめますと…
・強火で一気に掻き上げる
・小さく混ぜると焦げるので、大きく混ぜる
・固まり始めてからは早いよ
ということです。火にかけてから完成までのイメージを超絶分かりやすいグラフで表すと、
↑こうじゃなくて、
↑こうです。参考にしてみて下さい。
④すぐに食べよう!
さあ、あっという間に完成しました。
で、ここからが蕎麦がきで一番重要なポイントかもしれません。完成したら、とにかく早く食べましょう!出来立ての蕎麦がきは本当に美味しんですが、その味が低下していくスピードが信じられないくらい早いです。モッチリ、ネットリした食感がすぐに損なわれて、なんだかボソボソした塊に早変わり。
それを防ぐためにもお湯の中に浮かべたりする訳ですが、個人的にはそれだとちょっと水っぽくてベストには思えないんですよね。お酒のお供には「さっさと食べろ!」なんて慌ただしいかもしれませんが(ちなみに僕は下戸)、このブログは僕のブログですから。私の勝手に書いて良いんです。俺がルールブックだ!(一人称表記の揺れ&二度目)。
食べ方は第1回で紹介したように、塩や醤油を付けるだけで充分美味しいです。
ものすごく素朴な食べ物ではありますが、ざる蕎麦をもり汁で食べる時よりも蕎麦の味や香りが鮮烈に楽しめて…
Good!
さあ、これで「基本の蕎麦がき」の作り方のご紹介はおしまいです!どうですか?本当に簡単でしょう?「美味しい」っていうのは勿論なんですが、「簡単」っていうのも蕎麦がきの大きな魅力の一つです。そして素朴な分、アレンジのし甲斐もありそうですよね。塩や醤油で食べる以外の可能性の追求は、これからドンドンやっていきましょう!
次回は蕎麦粉の選び方や使用する道具について書いてみますので、引き続きよろしくお願いいたします。
※本当に大変な事態になってしまって、皆さん不安やイライラが募ってると思います。家の中での生活をより楽しくする一手段としても、当ブログを参考にして頂ければ、と思います。本当に簡単な料理ですから、もし良かったら「作ってみたよ!」というご報告、写真と共にお待ちしております。万が一ある程度溜まったら、そのご報告を紹介する回があっても良いですね!
蕎麦がき、好きなんです。
というか、蕎麦屋飲みが好きなので私がお店に行く際にはソバヤでも流していただけると嬉しいです。