『蕎麦がき研究入門』

知らない・映えない・バズらない。なのに昔からある食べ物“蕎麦がき”に今、光を当てます。普通に食卓に上がるその日まで。

蕎麦がきアレンジレシピ〜思い出の焼きまんじゅう(後編)〜

2020-04-23 19:17:00 | アレンジ蕎麦がきレシピ

どうも。蕎麦がきエイハブ、片手袋研究家の石井です。この写真は、上野の国立科学博物館にいる巨大鯨をどうしても釣りたくて撮った写真です。早朝旦那に叩き起こされて、雨の中この写真を撮らされた妻の気持ちを考えると、涙が止まりません。妻、I Love you.

さて、前回は最初の蕎麦がきアレンジレシピを「群馬の焼きまんじゅう風」に決めるまでを綴りました。

本当は一回で実践まで書き終えるつもりでしたが、前置きが長くなってしまったので前後編に分けました。知り合いと「このまま、なんだかんだ関係ないこと書き続けて永遠に蕎麦がきのレシピが出てこないのも面白いよね」なんて話してましたが、安心してください。全世界的な当ブログへの期待値の高まりを、しっかり受け止めておふざけなしでやっていきますので。

☆実は一回失敗した
前回のブログを書き終え、すぐに「焼きまんじゅう風蕎麦がき」を作ってみました。

でも、悪くはなかったんですけど、正直に言うとそれほどでもなかったんです。これから書いていく蕎麦がき料理は、今まで作ったことのあるものは一つもなくて、その都度思いつきでやっていきます。なので失敗もしょうがないのです。でも、この失敗のおかげであらためて蕎麦がきの特性、アレンジする際の注意点に気付くことができました。

①蕎麦がきは「あっさりした癖のない食べ物」というわけではない。
焼きまんじゅうのタレは味噌ベースの甘辛味。それなりに強い主張があります。なのに、この試作品は圧倒的に蕎麦がきの風味が勝ってしまってたんです。特に中心部はタレが浸透してなくて、味気ない。蕎麦がき単体であれば別に何もつけなくても蕎麦の風味がして美味しいんですが、下手にタレが塗ってあると真ん中は物足りなく感じてしまうんです。

思うに、ちょっと厚めにし過ぎてしまったんですね。だから食感が重いし、タレが浸透しない。

②モチモチは長所でもあり、短所でもある
蕎麦がきのモチモチとした食感は大きな魅力。でもアレンジする際には気をつけるべきポイントでもある。群馬で食べた焼きまんじゅうは、中はそれほど詰まってなくてフカフカの食感でした。
「これ、何個でも食べられるぞ」と思ったのも、そこに理由があったんですね。一方の蕎麦がきは中までみっちりと詰まり上がった食感なので、試作品を一つ食べたらお腹一杯になってしまいました。これも大きさと厚みで対処できそうです。

③焼きまんじゅうっぽさを出す調理法
試作品は蕎麦がきにタレを塗りながら網で焼きました。


でも、これだとなんかパンチが効いてなかったのです。焼きまんじゅうってちょっと焦げてるくらいの焼き目が付いてて、それが食欲をそそる匂いと風味になってました。

それらを踏まえて、もう一度作り直してみました。

「焼きまんじゅう風蕎麦がき」の作り方(2人前)
(材料)
☆基本の蕎麦がき
・蕎麦粉・・・75g
・ 水 ・・・150ml
※蕎麦がきだけ食べるなら1人前の分量ですが、今回はオヤツ的な食べ方が合うと思うのでこれで2人前です。

☆味噌タレ
・赤味噌・・・40g
・砂糖・・・・75g
・水・・・・・40ml
※これ、当ブログの基本方針なのでいずれちゃんと書きますけど、今の時代レシピなんて検索すれば幾らでも出てきます。この味噌タレにしても「絶対にこの分量!」なんてことはないので、色々探してみて下さい。当ブログからは正確な分量とかより、「どう蕎麦がきをアレンジするか?」というエッセンスを受け取ってもらえればと思います。そもそも僕が勝手なアレンジを勝手なレシピでやってるだけなので、あまり重たく考えないでください!蕎麦がき=片手袋。つまり誰にでも開かれてる!

(作り方)
①味噌タレを作る
上記の材料を鍋に入れて一煮立ちさせるだけです。

②基本の蕎麦がきを作る

③蕎麦がきを丸めて薄く伸ばす


この工程は今後も頻出すると思うので覚えておいてください。蕎麦がきがくっつかないように水で濡らしたスプーンで、一杯分くらい掬います。それを手で丸めるのです。勿論、めちゃくちゃ熱いしくっついてしまうので、手は少し濡らしておいて下さいね。濡らさないで素手に乗っけたら火傷しますよ!
で、ここが試作品からの改良点なんですが、出来るだけ薄く伸ばして下さい。
↑ちなみにこれが試作品。だいぶ厚いですよね。これだと食感が重くなり過ぎます。

④フライパンでタレをつけながらこんがり焼く
ここも改良点。網じゃなくてフライパンで焼いちゃいます。
網だと直火に近いので焦げるのが怖いんですよ。結果、火加減が弱くなってちゃんと焼けない。あとタレが網について焦げ付くので洗うのも大変。なのでフライパンの方が良いです。
タレをつける前にこれぐらい焼き目をつけましょう。火加減は中火で良いです。
そしたらハケで塗りながら焼くんじゃなくて、タレが入った鍋に放り込んじゃいましょう。これくらいたっぷりつけないと蕎麦がきの風味に負けちゃいます。
フライパンの方が焼き加減の調整もしやすいです。タレをつけてからはちょっと火は弱めて下さい。良い感じで焦げ目もついてきました。なんならここからもう一回、タレの中に放り込んでも良いと思います。

⑤完成!
おお!なんか焼きまんじゅうっぽい!

早速食べてみましょう!

「おお、良いじゃん!美味しいよ!」
※すみません。仕事を自粛していて引きこもり生活が続いており、髭も伸び放題。髪もボサボサ。とても食べ物のブログに出せる顔じゃないのでモザイクかけました。「早くいつもの石井公二を見たいよ!」という方のためにも、この事態が収束することを願ってます。

やっぱり薄く伸ばしてたっぷりタレをつけたことが功を奏しました。一つ言っておいた方が良いかな?と思うのは、「蕎麦がきの風味を消したいなら、そもそも蕎麦がきで作る意味ないだろ!」という誤解を与えるかもしれません。でもそういう意味じゃなくて、「蕎麦がきで作るなら本来の焼きまんじゅうとは違うバランスを模索しなければいけない」ということなのです。これはこれで、蕎麦がきで作る意味がありました。

さあ、ようやく一つ目のアレンジレシピが出来ました。これから毎回、味の方向性を皆様にも分かりやすくお伝えする為に、アレンジレシピに最も近い片手袋をご紹介していきますね。

「焼きまんじゅう風蕎麦がき」に最も近いのは…
こちらの軽作業類放置型道路系片手袋です!

それではまた次回、お楽しみに!

蕎麦がきアレンジレシピ〜思い出の焼きまんじゅう(前編)〜

2020-04-18 18:15:00 | アレンジ蕎麦がきレシピ

どうも。蕎麦がき転校生、片手袋研究家の石井です。この写真は学生時代、尾道で大林宣彦監督『転校生』のロケ地巡りをした時の写真です。安心してください、尿、出てませんよ。大林監督は名作揃いですけど、特に晩年の『この空の花 長岡花火物語』は大傑作ですので強くお勧めします。ぜひご覧ください。ご冥福をお祈り致します。

☆料理のアレンジをどう考えるか?
さて、「基本の蕎麦がき」の作り方と必要な材料と道具のご紹介を終え、今回からいよいよ蕎麦がきの新たな可能性を探っていきたいと思います。その前に、既存の料理をアレンジしていく際、どのような考え方をしていけば良いのでしょうか?

まず、料理を構成する「要素」を抜き出してみましょう。例えばハンバーグであったら「肉」「炒めた玉ねぎ」「つなぎ」「焼く(火を通す)という工程」「ソース」などが考えられます。「ジューシー」とか印象も頭に置いておきたいですね。

一番簡単なのは、それぞれの要素を「置換」してみるのです。例えば「いつもは牛と豚の合挽きだけど、牛100%にしてみよう。いや、鳥でも良いか」「玉ねぎは甘味が出れば他の野菜でも良いかな?」「焼かないで蒸しても良いかも」などなど。

あとは「追加」ですね。パルメザンチーズを混ぜ込んでも良いし、砕いた醤油煎餅を入れたって美味しいかもしれませんよ?この場合、引き算の可能性も考えてみてください。足すんじゃなくて、玉ねぎは入れないでいいや、ってのもありですよね。

そして「解釈」。挽き肉にみじん切りの玉ねぎを纏わせて油で揚げる。これはハンバーグを構成する要素は変えずに、解釈の変更を加えたわけです。以前とある料理屋さんで肉ジャガを注文したら、トロトロに煮込んだ豚の角煮の上にマッシュポテトを乗せたものが出てきました。これなんか解釈の変更の好例ですよね。

「転換」も考えてみましょうか。ハンバーグに「ジューシー」という固定概念があるならば、逆に「アッサリ」仕上げるならどうするか?そこで肉に豆腐を混ぜてみる、みたいな発想が出てくるわけです。勿論、よりジューシーを突き詰める、もあり。脂身を余計に追加しちゃうとか。

☆では蕎麦がきはどうなのか?
「基本の蕎麦がき」を見ても分かる通り、この食べ物を構成する要素は極めてシンプル。ミニマルな料理です。

「蕎麦粉」「水」「火を通す」「モチモチ」

これだけですもん。じゃあアレンジのしがいがないのかと言えば全く逆で、隙間があるからこそ「置換」も「追加」も「解釈」も「転換」もやり放題。逆に可能性があり過ぎて困っちゃいます。なので一発目はそこにもう一つ方法を加えます。
それは「思い出」です。

☆群馬の焼きまんじゅう



案内役は空想地図作家の地理人さん、珍スポットマニアでこのツアーを主催する別視点の松澤さん、そして僕。

地理人さんがバスの車窓から見えるなんてことない風景の面白さを解説したり、

松澤さんが珍スポット創造主の熱い魂を解説したり、

私がバスの車中や行く先々で片手袋を探したりするうち、
こうやって高台から見える都市の風景が、それまでと全く違って見える、というようなバスツアーでありました。振り返ってみるとこの時点でもマスクはしておりましたが、まだギリギリこのような催しが出来ていた時期。楽しかった分、なんだか遠い昔の出来事にも思われます。
※ここまでのツアー写真、全て撮影は別視点の観光カメラマン、齋藤氏であります。

で、このツアーを催行するにあたって、事前に関係者だけで行程を下見したんですね。
東京から川越などを経由して最終目的地である高崎観音を見終えたときに、松澤さんが言いました。

「せっかくだから焼きまんじゅう食べていきましょう」

おお、焼きまんじゅう!ケンミンショーで群馬の名物として取り上げられてるのを見たことあるぞ。それに、群馬出身の職場のおばちゃんに頂いたこともある。すっかり忘れてたけど、現地で食べられるなんていいね!

で、松澤さんと齋藤さんオススメの店に入ったんですが、

元文房具屋さんだという店内に置かれたハンコケースの上に、速攻片手袋ありました。石油ストーブの香りが立ち込めた店内には、西日が当たって良い雰囲気です。

甘辛の味噌餡が塗られたベーシックなものと、中にあんこが入ったもの、二つ頼みました。これだけ頼んでもめちゃくちゃ安かった記憶があります。

生地はフカフカなので、見た目よりもずっと口当たりは軽く、沢山食べられそうな感じ。失礼ながら「生涯ベスト級!」とかそんな食い物ではないですけど、だからこそ何回食べても飽きなそう。こりゃあ、良いや!店のおじさんから興味深いお話も聞かせていただき、下見の締めくくりとして完璧でしたね。

…と、この話。僅か2ヶ月前の思い出ですが、現在の状況を考えると今では不可能なことばかりで涙が出てきます。あの時、あの瞬間をもっと胸と瞳に刻みつけておくんだった。後悔してもしきれません。

次に現地でいつあの味を楽しめるかは今のところ全く不明です。だったら、作ってみよう。俺なりの焼きまんじゅうを。そう、蕎麦がきで!

(すみません。さらっと一つの記事にまとめようとしたら長くなってしまったので、後編に続きます

基本の蕎麦がき〜道具編〜

2020-04-12 01:50:00 | 基本の蕎麦がきレシピ

どうも。蕎麦がき冒険家。片手袋研究家の石井です。この写真は私が発明した「リモートワー君」を利用して撮影した写真です。現在の情勢を踏まえ、仕事でも飲み会でもZOOMなどを利用しておられる方も多いのではないでしょうか?あれ、確かに便利ですけど、家にいるのに「そろそろ約束の時間だから着替えなきゃ」って本末転倒ですよね?

背景は合成できるけど、問題は前景。自分自身ですよ。そこで私、パジャマのままでもZOOMを利用できるシステムを開発したのです。それがこれだ!


皆さんも是非、この「リモートワー君」利用して下さいね!それじゃ!

…いや、違った。蕎麦がきの話でしたね。前回はようやく、基本の蕎麦がきの作り方をご紹介することができました。とにかくすごく簡単で手軽であることが分かって頂けたと思いますが、それでも幾つか用意しなければいけないものもあります。今回と前回、併せてお読み頂ければもう蕎麦がきは怖くありません!

まあ「用意するもの」と言いましても「蕎麦粉、鍋、棒」の三つだけ。早速、順番に紹介していきますね。

①蕎麦粉
これが一番厄介かもしれません。とは言え基本的には「近所のスーパーなんかで手に入る蕎麦粉ならなんでも良い」です。まず、ちょっと蕎麦粉について説明しますね。これが蕎麦の花です。

蕎麦畑って本当に綺麗なんですよね。で、これが蕎麦の実。殻がついた状態。

殻を取るとこうです。

新蕎麦は秋のイメージがあると思いますが、今は夏に収穫される品種もあります。蕎麦の実の断面はこんな感じです。

で、これを挽いて粉にするわけですが、挽き方によって蕎麦粉はざっくり三種類に分けられます。

左から「一番粉・二番粉・三番粉」です。ちょっと光の加減でうまく撮れませんでしたが、右にいくほど色が濃くなっています。

・一番粉(≒更科粉)
蕎麦の実を挽くと、最初に中心の白い部分が出てきます。これが一番粉です。デンプン質が多く、蕎麦にすると透き通っていて弾力がありますが実は蕎麦の風味は弱いです。タンパク質が殆ど含まれていないので蕎麦打ちは難しいですし、蕎麦がきに使うことも殆どないと思います。一番粉を更科粉と表記してある場合もあるのですが、厳密にいうと違います(実は上の写真は更科粉なのですが)。まあ、普通にスーパーなどで手に入ることもないでしょうし、このブログではそこまで細かい違いについては書きません。

・二番粉
一番粉よりもやや外側の部分。胚乳などの部分を含み、栄養価も風味も色も一番粉より強くなります。皆さんが普通に手に入れることのできる蕎麦粉は、大体これになると思います。前回ご紹介した、そして当ブログで基本とする蕎麦がきは、この粉で作ったものとします。

・三番粉
二番粉の後に出てくる、外側がメインになってくる蕎麦粉です。色は黒っぽくて蕎麦にして食べると粗々しい食感。栄養価も一番高いです。「田舎蕎麦」なんて名前で出されてるものの殆どは、この粉で打った蕎麦ですね。勿論、蕎麦がきにも出来るんですが、ちょっと主張が強すぎてアレンジが難しく感じられます。なのでこのブログでは二番粉の蕎麦がきを基本にしますが、いずれ三番粉の可能性も追求していきたいですね。

・国産と海外産
さて、このブログを書くにあたって「そもそも蕎麦粉が簡単に手に入らないんじゃあ、読者の方が作れないよな」と思いまして、近所のスーパーを偵察してきました。そしたらまあ、結構普通に売ってましたね。

こちらは300gで300円くらいでした。ただ、蕎麦がきって下手したら蕎麦切り(皆さんが普通に食べる細い蕎麦はこう呼びます)よりダイレクトに蕎麦の風味を楽しむものなわけです。だから蕎麦粉自体の品質が味に大きく影響するわけですが、一般的に国産の方が海外産より味も風味も勝ります。ただ、国内で流通している蕎麦粉のうち、国産って僅か3割位なんですよ。だから手に入れるのも容易じゃないし、値段も結構します。上の写真のも中国産でした。

でもね。私がこのブログを立ち上げた動機の一つが「蕎麦がきが普通に食卓に上がる料理になって欲しい」というものなのです。だから、蕎麦がきを作るにあたって、あらゆるハードルは設けたくない。とりあえず手に入るものなら何でも良いです。海外産だってできたては十分に美味しい筈です。で、たまに国産が手に入ったら存分に味わう。それで良いんです。とにかく手に入ったもので作ってみましょうよ!

②鍋
まあ、これこそなんでも良いですが、幾つか蕎麦がきに向いてる条件はあるかもしれません。

右のミルクパンのようなものではなく、左の口が広いものが良いですね。強火で掻いていくので、小さい鍋だと焦げやすいです。同じ理由で鉄鍋みたいに手入れが難しいものより、「〇〇コート」といった焦げ付きにくいものが良いです。まあ、これもスーパーとかで1,000円もしないで買えるんじゃないでしょうか?

③蕎麦がき棒
火にかけて混ぜる際、箸のように細い棒では固まってきた時に上手くいきません。ある程度太い棒を用意して下さい。
こんな感じのやつですね。あ、すみません。これはヨックモックのシガールでした。こちらも蕎麦がきと同じくらい美味しいので、見つけたら手に入れましょう。手土産に迷ったらシガールにしとけば良いんです。シガール嫌いな人なんていないですから。八重洲地下街にヨックモックがやってるカフェがあるらしいんですが…おっと、「リモートワー君」の話でしたね。いや、違うわ。蕎麦がきだっけ?

まあ、なんでも良いんですけど、ホームセンター、あるいは100均なんかでもこんな棒が売ってますから。あ、でもバルサ材みたいに極端に柔らかい木は駄目ですよ。あと角棒は手が痛くなっっちゃいますから、丸棒を選んでください。

個人的には直径18mmのが一番使いやすいと思います。手の大きさによって違うと思いますが、僕はそれを20cmに切ってます。ちょっとマニアックになりますけど、「ノコギリ」っていう道具があるんで、それなんかを使うと便利じゃないかな?


先端にちょっとだけヤスリをかけておくと、鍋を傷つけたりしなくて済みますよ。ちなみにこの棒。特に名前なんてないんで、このブログでは「蕎麦がき棒」と呼ぶことにします。チト、キラキラネームっぽいっすけどね。

勇者は「ヒノキの蕎麦がき棒」を手に入れた!

長々と掻いて、いやさ、書いてしまいましたが、用意するものはこれだけです!食料品とかも扱ってる大型のホームセンターだったら、下手すりゃ一箇所で揃っちゃいますよ。つくづくハードルの低い料理です。

考えてみりゃあ、片手袋だって研究家の私だから見つけられるってことはなくて、誰にでも容易に見つけられるもの。

こりゃあ、益々片手袋と蕎麦がきは殆ど同じに思えてきましたよね?

よし!装備も揃えたし、次からはいよいよアリアハンから冒険に出るぞ!まずはどんなアレンジレシピを試しましょうかね?乞うご期待!

※文中、“勇者は「ヒノキの蕎麦がき棒」を手に入れた”という表現がありましたが、木材がヒノキかどうかは確認しておりませんでした。謹んでお詫び申し上げます。

基本の蕎麦がき〜作り方編〜

2020-04-06 01:25:00 | 基本の蕎麦がきレシピ

どうも。蕎麦がき第七世代。片手袋研究家の石井です。

さてさて、『蕎麦がき研究入門』第3回目。今回はいよいよ、蕎麦がきの具体的な作り方を書いてみたいと思います。もしかしたら前回、前々回と僕が上げた蕎麦がきの写真を見て、違和感を抱いた方もおられるかもしれません。

一般的に蕎麦がきと言いますと、

※写真はフリー素材より転用

このように木の葉型になっているもの、

※写真はフリー素材より転用

あるいはそれをお湯や蕎麦湯の中に浮かべたものが思い起こされるのかもしれません。蕎麦がきのフリー写真素材を探したら、まずこれらの写真が出てきたことがそれを物語っています。蕎麦屋でこういうのをつまみながら酒をチビチビとやる。粋な大人の嗜みですね。

しかし、当『蕎麦がき研究入門』で設定する“基本の蕎麦がき”は、少し違うスタイルのものです。何故か?ごめんなさい、単純に僕がそっちの方が好きだからです。そして作るのがより手軽なので、「蕎麦がきの魅力を広める」という目的にも合致しています。

今回は基本の蕎麦がきの作り方を紹介しますね。この基本を踏まえた上でそれを様々にアレンジしていこうと思ってますので、まずは覚えてみてください。大丈夫。超簡単ですから。

「基本の蕎麦がき」の作り方(1人前)
(材料)
・蕎麦粉・・・75g
・ 水 ・・・150ml
※蕎麦粉によって水分含有量が変わってくるし柔らかさの好みもあるので、そこは加減してください。多め、少なめに作りたい場合はこの比率を保って調整してください。

材料、たったこれだけです!初めて蕎麦がきを食べた人は「つなぎに何か入れてるんですか?山芋とか」なんて仰るんですけど、正真正銘、蕎麦粉と水だけ。蕎麦を打つ時は、十割蕎麦でもなければ小麦粉や卵、ふのり(海藻)なんかを入れますが、蕎麦がきはこれだけで出来ます。なので、蕎麦の風味をより強く感じるのは、蕎麦切りより蕎麦がきであると言えますね。ただ蕎麦粉には色んな種類がありますので、その辺りのことは次回、書いてみたいと思います。

(作り方)
①鍋に蕎麦粉を入れて、水を加える。

もう、「ドバーッ」と一気に入れちゃって良いです。

②よく混ぜる
「グルグル〜」っとね。満遍なく混ぜてくださいよ。

こういう「ダマ」が残らないようにしてください。

「ダマ」を割ってみた状態。粉が混ざらずに固まってしまってるんですね。本当は粉を鍋に入れる段階でふるいにかけたり、水と混ぜた状態で一度濾したりすれば良いだけ(しかもその方がより滑らかな仕上がりになります)なんですが、その作業を「基本の蕎麦がき」のデフォルトにしなかった理由はいずれ書きたいと思います。

これくらいの柔らかさになると思います。

③鍋を火にかけながら混ぜる(搔く)
この作業が「蕎麦“搔き”」の名前の由来ですね。実は昔よく蕎麦がきを食べていたようなお年寄りほど、「あんな不味いもの二度と食べたくない」と仰ることがあります。そういう方に詳しくお話を伺うと、大抵蕎麦粉に熱湯を加えて混ぜたもののことを言ってるんですね。勿論、それも蕎麦がきなんですが、正直それだとあんまり美味しくないです。蕎麦がきは蕎麦粉に含まれるデンプンが熱で糊化することにより固まるんですが、熱湯では糊化が不十分です。

この工程も色々やり方があります。「あらかじめ鍋でお湯を沸かしておき、そこに蕎麦粉を放り込んで搔く」とかね。でも、このブログは僕のブログですから。私の勝手に書いて良いんです。俺がルールブックだ!(一人称表記の揺れ)。このブログで採用する基本の蕎麦がきの作り方。それは②までで用意したものを、鍋ごと直火にかけてひたすらかき混ぜるのです!

こればかりは写真では伝わりにくいので、動画で最初から最後まで撮影してみました。


ポイントをまとめますと…
・強火で一気に掻き上げる
・小さく混ぜると焦げるので、大きく混ぜる
・固まり始めてからは早いよ

ということです。火にかけてから完成までのイメージを超絶分かりやすいグラフで表すと、

↑こうじゃなくて、

↑こうです。参考にしてみて下さい。

④すぐに食べよう!
さあ、あっという間に完成しました。

で、ここからが蕎麦がきで一番重要なポイントかもしれません。完成したら、とにかく早く食べましょう!出来立ての蕎麦がきは本当に美味しんですが、その味が低下していくスピードが信じられないくらい早いです。モッチリ、ネットリした食感がすぐに損なわれて、なんだかボソボソした塊に早変わり。

それを防ぐためにもお湯の中に浮かべたりする訳ですが、個人的にはそれだとちょっと水っぽくてベストには思えないんですよね。お酒のお供には「さっさと食べろ!」なんて慌ただしいかもしれませんが(ちなみに僕は下戸)、このブログは僕のブログですから。私の勝手に書いて良いんです。俺がルールブックだ!(一人称表記の揺れ&二度目)。

食べ方は第1回で紹介したように、塩や醤油を付けるだけで充分美味しいです。

ものすごく素朴な食べ物ではありますが、ざる蕎麦をもり汁で食べる時よりも蕎麦の味や香りが鮮烈に楽しめて…

Good!

さあ、これで「基本の蕎麦がき」の作り方のご紹介はおしまいです!どうですか?本当に簡単でしょう?「美味しい」っていうのは勿論なんですが、「簡単」っていうのも蕎麦がきの大きな魅力の一つです。そして素朴な分、アレンジのし甲斐もありそうですよね。塩や醤油で食べる以外の可能性の追求は、これからドンドンやっていきましょう!

次回は蕎麦粉の選び方や使用する道具について書いてみますので、引き続きよろしくお願いいたします。

※本当に大変な事態になってしまって、皆さん不安やイライラが募ってると思います。家の中での生活をより楽しくする一手段としても、当ブログを参考にして頂ければ、と思います。本当に簡単な料理ですから、もし良かったら「作ってみたよ!」というご報告、写真と共にお待ちしております。万が一ある程度溜まったら、そのご報告を紹介する回があっても良いですね!

なぜ今蕎麦がきなのか?〜蕎麦がきは片手袋である〜

2020-04-01 22:36:00 | はじめに
『蕎麦がき研究入門』第2回目。今回は新しいブログを立ち上げるにあたって、なぜ私が蕎麦がきをテーマに選んだか書いておこうと思います。食べ物にまつわるブログですから、早々にレシピなどの具体的な話に入るべきだとは思います。しかし、一応筆者の思考回路を述べておかないと、何が何だか意味不明すぎるブログになってしまいますので。

私、「片手袋研究家」という肩書きを名乗っております。

町のいたるところで出会う片方だけの手袋を、15年間にわたり研究し続けてきたのです。そんなことを言うとネタだと思われてしまうかもしれませんが、本気です。本気で研究し続けてきたのです。

このブログでは片手袋研究について詳しく述べることは控えます(それだけで3,000回くらい更新しなければならないので)が、詳しくは過去のインタビューや、

・「片手袋は呪い」なぜ道路に手袋が落ちているのか。その道年、片手袋研究家に聞いてきた(東京別視点ガイド)


昨年2019年12月に、15年間にわたる研究の集大成として出した本をご参考下さい。


・『片手袋研究入門』(実業之日本社)



とにかく、私が片手袋という一見どうでも良い現象に強く惹かれてしまう理由の一つが、「こんなに沢山、いつの時代にも、ありとあらゆる場所に落ちていて、みんな何となく知ってもいたのに、キチンと調べたり形にする人がいなかったから」なのです。見えているのに、見えていない。


その観点からいくと、路上には片手袋以外にも見えているのに見えていないものが沢山あります。片手袋のように大々的には発表していませんが、


※「ガードレールとシュシュ」



※「赤いコーンと緑のテープ」



こういったものも町で見つけるたびに撮り続けています。そもそも僕が今回参加させていただいている「マニアブログフェスタ」自体、そういった「“見えているのに見えていない”が見えている」人たちの集いかもしれません。


で、「その視点は路上だけでなく、食べ物にも向けられるな」と思ったんです。トンカツに納豆、緑茶にたらこスパゲティ。なんでも良いんですが、今我々が日常的に口にするような食材や料理。それらはSNSがない時代に誕生しただけであって、それぞれの時代で一度は当時の形で「バズった」からこそ定着した筈。でも、ずっと昔から存在しているのに、これまで一度もバズってない不思議な食べ物もあるんですよね。


そんな「見えているのに見えていな食べ物」の代表格が、僕にとっては蕎麦がきだったわけです。ある一定の年齢以上の方であれば名前ぐらいは知っている。でも食べたことあるかないかも定かではないし、そもそもなんだかよく分かんない。見た目も全然映えないし、美味そうな肉や魚を押し除けてまで食べるようなものには思えない。


しかし、僕に言わせれば蕎麦がきは美味しいし美しい。主食としてメインを張れる重厚感もあれば、オヤツにちょっとつまむ軽さもある。そしてその魅力も単調ではなく、掘り下げ甲斐がある複雑さを有している。つまり!「蕎麦がきは食べ物界の片手袋」だったんです!



「あ!蕎麦がきが落ちてるぞ!」


片手袋研究も最初の数年は「こんなに面白いのに、この魅力を知っているのは僕一人だけなんだ!」という謎の優越感がありました。でも、やっぱり色々なことが分かってくると、その魅力を誰かと共有したくなる。今の僕にとって、蕎麦がきがまさにその状態なんです。


もう一度言います。「蕎麦がきは片手袋である」。だ・か・ら。僕はこのブログを綴らなければならない。皆さんにも知って貰わなければならない。それは必然なのである。


やるぞ!(早くやれよ!)