どうも。蕎麦がきトマトマン、片手袋研究家の石井です。この写真は私が調理師学校の卒業制作で提出した和食のコースです。テーマは「円・丸・球」。コースを構成する際には季節感、素材、味の組み合わせなどを考慮していくと思いますが、私は「形で考えられないかな?」と思ったのです。当時、私は球体というものに凄く惹かれていたので、このような提案をしました。勿論、お金を頂く料理屋では無茶な行為ですけど、卒業制作はある意味実験の場。同級生達もそれぞれ、創意工夫に溢れた料理を提出していて楽しかったです。
☆調理師学校で知った「学ぶ楽しさ」
私は大学を卒業した後、働きながら夜間の調理師学校に通い調理師免許を所得しました。今考えてみれば大学生の時ですら「学ぶ」ということに真摯になれず、「あんなに恵まれた環境だったのに、もっとちゃんとやっておけば…」と後悔しきり。もう遅いんですけどね。私が「知りたい・学びたい・やってみたいを追求してみる楽しさ」を心の底から実感したのは、その夜間の調理師学校だったと思います。
昼間部と違って夜間部は、自分の意思で入学を決意した方が殆ど。昼間は銀行で偉い立場にいるのに、夜は20代の助手の先生に頭を下げてる定年間近の男性、60代後半でおにぎり屋開店を決意した女性、なんかが集まってるので、座学も調理実習も真剣そのもの。
おまけに食べることが根っから好きな人達が集まってますから、日本各地の珍味を食べる会を開いたり、食関係のフェアに皆で行ったり、本当に楽しかったです。「学ぶ、ということに真剣な場と人」に恵まれたからこそ、私自身もその熱に反応してあらゆることを吸収出来た1年半でした。
☆伝説の一言
とはいえ、夜間部でも恐らく気が進まないまま入学してきたような若い子も僅かにいて。その中の1人、N君が授業中に発した一言を私はいまだに忘れられません。
N君は競馬が大好きで、休み時間はずっと競馬新聞を読んでいました。で、調理実習はともかく、座学の時は1番前の席にもかかわらず寝るか隠れて競馬新聞を読んでおりました。そんな態度を見兼ねたんでしょうね。ある日、栄養学の先生がN君を叩き起こしてこう聞きました。
「ほら、あなた!起きなさい!ビタミンAが豊富に含まれる緑黄色野菜、一つ答えなさい!」
「んあ?」
「寝ぼけてんじゃないの!色がついた野菜よ。一つくらいあるでしょ?あなたが大好きなお馬さんの好物!」
「…飼い葉ですか?」
私、一連のやり取りを聞いていて、椅子から転げ落ちそうになりました。寝起きに急に馬が好きな野菜を聞かれて、「飼い葉」と答えたN君。彼の興味はたまたま料理には向いていませんでしたが、何かに熱中するという点においては称賛に値するのではないでしょうか?
☆どうしても慣れなかった工程
調理実習は「和食・中華・西洋」の三部門に分かれており、日替わりで世界中の様々な料理を作りました。
肉まんを皮から作ったり、「開口笑」なんて聞いたこともないようなお菓子を作ったり。勿論、昨今世間を賑わせてる「ポテサラ問題」じゃありませんが、別にコンビニやスーパーで売ってる惣菜で済ませることは決して悪いことなんかじゃないし、むしろ時間配分が難しい現代人なら積極的に取り入れていくべき。ただ、調理師を目指していた私としては、普段だったら一から作ろうなんて絶対に思わないものを作ってみる経験は非常に役に立ちました。
しかし、卒業までどうしても馴染めない工程がありまして。それは中華だったら、きゅうりの中心部の種の部分、西洋だとトマトのゼリー質の部分を料理によっては使わず処分すること。食感の悪さと水っぽくなるのを防ぐ為に、プロの味を追求するなら使わない、と頭では理解しても、最後まで心は拒否してましたね。
だからトマトを豪快に煮込む料理なんかは安心しますよ。そこまで細かいことを気にせず、丸ごと鍋にブッ込めますからね。
蕎麦がきのトマトソース煮込み(2人前)
(材料)
☆トマト蕎麦がき
蕎麦粉・・・50g
トマトジュース(有塩)・・・100ml
パルメザンチーズ・・・少々
塩、胡椒・・・少々
☆トマトソース
トマトホール缶・・・1個
トマトジュース・・・少々
玉ねぎみじん切り・・・半個
エリンギ・・・1本
ウインナー・・・5本
一口モッツァレラチーズ・・・1袋
バジル・・・少々
ニンニク・・・少々
①トマトソースを先に作る。フライパンにオリーブオイルとニンニクを入れ、ニンニクの香りが出るまで炒める。そこにみじん切りの玉ねぎを入れ、軽く色が付くまで炒める。
②ウィンナーとエリンギを投入。
③トマトホール缶を全て投入。具材と和えたらトマトジュースを少量入れて弱火で少し煮込む。火を止めて一旦置いておく。
④次にトマト蕎麦がきを作る。蕎麦粉に水の代わりにトマトジュースを入れる。ある程度かき混ぜたら塩、胡椒、パルメザンチーズを加えて再びよく混ぜる。
④次にトマト蕎麦がきを作る。蕎麦粉に水の代わりにトマトジュースを入れる。ある程度かき混ぜたら塩、胡椒、パルメザンチーズを加えて再びよく混ぜる。
⑤ニョッキ風蕎麦がきの時のように一口大に丸めて、作っておいたトマトソースに投入。ソースを和えながら少し炒める。
⑥皿に盛り付けてからモッツァレラチーズを入れ、パルメザンとルッコラをまぶして完成!
ゴルゴンゾーラチーズのソースで和えた時にめちゃくちゃ美味かったんで、ニョッキとして使うのは美味しくなると事前位予想できてました。そして、案の定今回のトマトソースもすごく美味しかったです!ただ、重要なのはそこじゃありませんでした。
最近、妻に言われてたんですよ。「“研究”の割に実験が少なくて、置きにいってるんじゃないか?」って。だから今回のメインテーマはトマトソースではなくて、「水以外のもので蕎麦粉を溶いて蕎麦がきを作ったらどうなるか?」ってことでした。本当に今までやったことがない実験だったので。
当初はトマトジュースだけを入れるつもりだったのですが、ソースを煮込んで待ってるうちに何となく思いつきで塩、胡椒、挙げ句の果てにパルメザンチーズまで投入してしまいまして。
そうして出来た「トマト蕎麦がき」。
トマトソースに投入する前に、これだけをちょっと味見してみたんですが…。あのですね、これ、ソースに入れる為の一素材として素通りして良い代物ではありませんでした!これだけでメチャンコ美味かったんです!特にパルメザンを入れたのが効いていて、チーズパンのような濃厚さがありました。なんていうか、それこそ未来のタピオカとかチーズハットクになり得るようなポテンシャルを感じたというか…。なので、次回はちょっとこのトマト蕎麦がきをもう一度、きちんと作ってみたいと思います。
しかし改めて言いますが、今回の「蕎麦がきのトマトソース煮込み」はかなり美味しかったです。自信を持ってお勧めいたします!
それではまた次回。
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