『オレたちバブル入行組』池井戸潤07(文藝春秋2004/12/5)
大手銀行にバブル期に入行して、今は大阪西支店融資課長の半沢直樹。
支店長命令で無理に融資の承認を取り付けた会社が倒産した。
すべての責任を押しつけようと暗躍する支店長。四面楚歌の半沢には債権回収しかない。
夢多かりし新人時代は去り、気がつけば辛い中間管理職。銀行を舞台に繰り広げられるお仕事小説。
・仕事なんてそんなもんだろ。
誰か夢を実現させた奴がいるか P66
・真の敵は背中にあり P113
・銀行には様々な人間たちがやってくるが、こと態度が悪いという点では国税はヤクザの比ではない。
ヤクザならせいぜい店頭で怒鳴り散らすぐらいが関の山だが、
こいつらは銀行の中にまで土足で入り込み、国家権力を笠に威張り散らした挙句、
気に入らないことがあると「シャッター閉めるか?」と常套句と化した脅しの言葉を吐く。
間違ったエリート意識、歪んだ選民思想の産物で、つまらぬ奴に権力を持たせるとこうなる、の典型だ P115
・「騙されたほうが悪いんやろか」
「いいえ、騙したほうが悪いんですよ(略)
当たり前じゃないですか」P149
・失われていく希望に代わり(略)
ひたひたと忍び込んでくるのは、底なしの不安である P188
・夢を見続けるってのは難しい(略)
それに比べて夢を諦めることのなんと簡単なことか P311