Seriously?

ひとりごとです

映画 ■■ルーム■■

2016年04月28日 | 映画
それほど期待していなかったのだけど
私の好きな題材だったな!



映画 ■■ルーム■■






もう、この世の終わりのような
酷い犯罪に人生狂わされても

粉々に壊されたところから
また一つづつ組み立てて
再生することはできるよ

壊れても壊れても
また直せるよ…

そういう未来への希望を
示してくれているように見えました



誘拐され
狭い納屋に7年も監禁された女性と
5年前にその「ルーム」で生まれた息子が
犯人の隙をついて脱出を図る物語



アメリカの映画にはよく出てきて
その度に私は不思議に思うのだけど

レイプされて出来た子どもを
「愛しい」と
「何よりも大切
自分の命に替えても守りたい」
と思う心理が
私にはいつもピンと来ません

憎いレイプ犯に陵辱された証
恐ろしい化け物がお腹の中にいるとか
見るのも嫌とか触りたくないとか
子どもを見る度に
悪夢のような時間を思い出して辛くなるとか
ないのかな~

どんな命であれ
自分の中に芽生えた命は
かけがえのない愛しい存在なのかな?
母親として無条件に愛せるのかな?
それが母性本能なのかな?

これは経験してみないと分からない
私ももし同じ経験をしたら
同じように愛しいと感じるのだろうか???

だとしたらそれは
女性が持つ
赤ちゃんが持つ
すごい力だと思いました



いろんな皮肉が出て来るのが面白いのです

母親、ジョイが
「もしも」7年間「1人で」監禁されていたら
自暴自棄になって途中で精神を壊してしまったり
自殺してしまったのではないかと思うのです

ジョイの希望
心の支えとなったのは
他でもない
その忌々しい犯罪の証

どんな形であれ
生まれてきた命はジョイにとっては尊く
生活を明るくし未来への希望をくれました

そういう意味で
息子を授かったことは
ジョイにとっては素晴らしい経験だったのです

ジョイはジャックを授けてくれた運命に
(或いは神様に?)
感謝するのでしょうか?
言葉では表せない皮肉な状況だと思います



母子は脱出に成功し
長い間望んできた
安全で、清潔で、自由な生活を手に入れても
「あれ?一体どっちが幸せだったのかな?」
と、疑問に思うのです

望んでいたはずの生活は
意外と望んでいたほど幸せではない
ふと「ルーム」での生活を
なつかしく思ってしまいます



ジョイが7年間
ずっと戻りたいと切望してきた家族は
壊れていました
両親は離婚していたのです

子どもを失った両親は
お互いになぐさめ励まし合って
新たに絆を強化していく場合もあるけれど

同じ傷を受けたはずなのに
あまりの苦しみに
お互いの心に寄り添いあえずに
すれ違ってしまう場合もあります

だから
映画の中では特に語られていなかったけど
両親の離婚も
ジョイが誘拐されたことが
きっかけになっているのでは?
と思いました



そして、ジョイのお父さんは
孫息子ジャックを受け入れられず去ってしまうのです
(娘がレイプされた事実を
見せつけられているように感じて
いたたまれなかった...と、私は思いました
だからそのお父さんの心理は
痛いほど理解・共感出来ます!

ジャックから目を背け
立ち去るしかなかったお父さんは
それだけ強く強く娘ジョイを愛していて
それだけこの事件に激しい怒りを感じていたのだと思います)

あんなに会いたいと切望していた娘に会えたのに
「何が何でも、彼女が社会復帰出来るように
全力でサポートする!」
とは思えないのです
ただ、逃げ出すだけ



かつては
何もかもスムーズに動いていたのに
7年間の失踪で
全てを変えてしまっていました



嬉しいのに苦しい
「前のようになれない」苛立ち、怒り、失望を
乗り越えていくのが難しい



逆に
「親子三人の以前の生活」を知らないジャックと
お母さんの新しいパートナー、レオの方が
スムーズに打ち解けていきます

血の繋がった父親は
逃げ出していったのに
なんの関わりもないレオの方が
ジャックとの未来に対して前向きです

そして、お利口ではない犬が
何も知らない近所の男の子が
ジャックの心を温めます

家族となる条件に
「血のつながり」なんて重要じゃない
ただ、いたわり合い、愛し合えるかどうかが問題
と、言っているように感じました

(でもそれも
レオが「忌まわしい事件」に対して
本当のお父さんほど強い感情を
持っていないからこそ
打ち解けられるのです)



少しずつ
納屋の外の生活に慣れていくジャック
ジョイの以前の三人の家族は壊れてしまったけど
新しい家族の形が少しずつ出来ていきます



絶望的な経験をしたとしても
それで人生は終わりじゃない

その後の人との出会いで
傷を癒し、まだまだ再生していく可能性はある

現実問題は
そんなに口で言うほど容易いことではないけれど

まだ世界の終わりじゃない
いたわり合う人達がいれば
歩いていける…

これからどんどん変わっていける

という希望を感じました
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