『目立ちたがり屋の風』
今年も海の家の
建設が始まったみたい
画面の中
せわしなく動く雲の影
きらめく波先
目を逸らせば
揺れる
背高ノッポな雑草
足許まで膨らむ
レースのカーテン
なんとしてでも
目立ちたい風が
あちらこちらで
姿を見せている
この風は
今日も嵐を
呼び込むのだろうか
※書き下ろし。
『言葉さえあれば』
たとえ
鳥籠の中に
居たとしても
他の人の
五感を借りて
世界の全てを
追体験出来る
そう
言葉があれば
言葉さえあれば
※某アプリ内に書いた文章に加筆修正して詩にしたもの。
『真夜中を独り占め』
いつもいつも
真夜中を独占している
寝静まる街を
見渡している
でもそれは
眠れない事の裏返し
どちらが良いとか
そういうのは無縁
そこにはただただ
その事実があるだけ
いつもいつも
私は
真夜中を
独占しているのだ
※書き下ろし。
『制限〜罪と罰〜』
私は一度死んで
現し世に戻された身
だからきっと
今許されるのは
日々の痛みと
想い出のみと生きること
きっとリアルな者との
交流には
かなり強い
制限がかけられている
それはそう
まるで呪いのように
最近になって
気付き始めた
そうしてしまったのは
まさしく自分自身
これがいわゆる
罪と罰なのだね
こう言うときっと
南風のあの人は
また嘆くのだろうけど
今はもう
その南風さえ
手放してしまったよ
某アプリ内に書き下ろしたもの。