そらんぢ堂

『そらんぢ』の【墓標】

新・言の葉供養0052

2024年09月06日 21時00分00秒 | 言葉遊び、言の葉供養
『果てない夜』

楽しかった夜
悲しかった夜

愛しかった夜
嬉しかった夜

もうよそう

振り返り
数えるのは

果てない夜は
きりのない夜

僕が消えれば
この夜たちも消える

もうよそう

振り返り
数えるのは

果てない夜は
きりのない夜

※書き下ろ詩


新・言の葉供養0049

2024年08月14日 20時45分00秒 | 言葉遊び、言の葉供養
『誰でもいい訳じゃない』

屋根を叩く
土砂降りの雨

暗い部屋を
時々稲妻が照らし出す

体調が
思わしくなくて

ベッドに横たわり
雷鳴だけを聞いている

ふと
声が聞きたくなった

誰のでも
いい訳じゃない

君が僕の名を
優しく呼ぶ

あの声だ

屋根を叩く
土砂降りの雨

暗い部屋を
時々稲妻が照らし出す

僕は変わらず
ひとりだ

自ら選んで

僕は変わらず
ひとりだ

※書き下ろ詩


新・言の葉供養0048

2024年07月10日 10時00分00秒 | 言葉遊び、言の葉供養
『常世のあなたと』

常世のあなた
恋い焦がれるは
現世の誰か

鎮守の森の
注連縄を
越えてはいけませぬ

分かっているなら
お引きなさい

分かっているなら
お引きなさい

鎮守の森の
注連縄を
越えてはいけませぬ

たとえ祭りの
音が誘おうとも

時はもう
かえりはしないのです

決して
決して




※書き下ろし。


新・言の葉供養0047

2024年06月26日 12時00分00秒 | 言葉遊び、言の葉供養
『COLORS〜辿り着いた色〜』

眠れずに迎えた
夜と昼の間の時に見た景色は

山並みや空や風さえも
紫色してた

大切な人を失って
涙枯れるまで泣いた春の日は

遺影も雨も匂いさえも
灰色だった

半世紀を目の前にして
黄泉の国から戻された日から

一筋の光漏れる事さえ拒む
漆黒に心奪われた

あんな穏やかさは
あそこにしかあり得ない

様々な色の中を生きて
やがて辿り着いた色

遥か昔

君の瞳に
僕の眼鏡に
カメラのレンズに

映した空の青さすら
ただの懐かしさに変える

様々な色の中を生きて
やがて辿り着いた色

※書き下ろし。