『果てない夜』
楽しかった夜
悲しかった夜
愛しかった夜
嬉しかった夜
もうよそう
振り返り
数えるのは
果てない夜は
きりのない夜
僕が消えれば
この夜たちも消える
もうよそう
振り返り
数えるのは
果てない夜は
きりのない夜
※書き下ろ詩
『Kの安寧』
特別な
意味のある日
たとえあなたが
どんな『カタチ』で
あろうとも
今いるあなたの
その場所が
穏やかな優しさで
溢れているように
いつか光の
その先で…ね
『誰でもいい訳じゃない』
屋根を叩く
土砂降りの雨
暗い部屋を
時々稲妻が照らし出す
体調が
思わしくなくて
ベッドに横たわり
雷鳴だけを聞いている
ふと
声が聞きたくなった
誰のでも
いい訳じゃない
君が僕の名を
優しく呼ぶ
あの声だ
屋根を叩く
土砂降りの雨
暗い部屋を
時々稲妻が照らし出す
僕は変わらず
ひとりだ
自ら選んで
僕は変わらず
ひとりだ
※書き下ろ詩
『常世のあなたと』
常世のあなた
恋い焦がれるは
現世の誰か
鎮守の森の
注連縄を
越えてはいけませぬ
分かっているなら
お引きなさい
分かっているなら
お引きなさい
鎮守の森の
注連縄を
越えてはいけませぬ
たとえ祭りの
音が誘おうとも
時はもう
かえりはしないのです
決して
決して
『COLORS〜辿り着いた色〜』
眠れずに迎えた
夜と昼の間の時に見た景色は
山並みや空や風さえも
紫色してた
大切な人を失って
涙枯れるまで泣いた春の日は
遺影も雨も匂いさえも
灰色だった
半世紀を目の前にして
黄泉の国から戻された日から
一筋の光漏れる事さえ拒む
漆黒に心奪われた
あんな穏やかさは
あそこにしかあり得ない
様々な色の中を生きて
やがて辿り着いた色
遥か昔
君の瞳に
僕の眼鏡に
カメラのレンズに
映した空の青さすら
ただの懐かしさに変える
様々な色の中を生きて
やがて辿り着いた色
※書き下ろし。