ダイアトーン DS-66EXのレストア(3) ウーハー編
<ウーハーの布エッジの再生>
1)ラッカーシンナーによるビスコロイドの除去
ネットを調べると、カチカチの原因であるダンプ剤として使われているビスコロイドをシンナーで除去した後、代わりに液体ゴムなどを塗布する事例が沢山でてきます。これを参考にエッジの再生を始めました。
取り外したウーハーエッジ裏側の窪みには、ビスコロイドがタップリ塗布してありました。先例に習って窪みにシンナーをスポイトで流し込み、30分程して柔らかくなったところでビスコロイドをヘラで除去しました。除去直後はエッジはかなり柔らかくなり良い感じですが、翌日になると再び硬くなりました。
図に示すように、シンナーで三回除去した直後の共振周波数fsは41Hzですが、翌日には78Hzに、5回除去した直後の共振周波数fsは34Hzですが、翌日には70Hzと硬化してしまいます。
この時の総合共振先鋭度Qtsは0.39→0.77となり、振動板は制動的な動きから振動的な動きに変化し、また、機械的共振先鋭度 Qmsも8.2→10.5と大きくなりっています。これら共振先鋭度からも、シンナーで処理した翌日には、再びエッジは硬く振動的になっていることが伺えます。
ビスコロイドの除去回数に伴う翌日のエッジの共振周波数変化を下図にまとめました。
シンナーでの除去翌日の共振周波数は回数と共に減少しますが、次第にその減少率は小さくなります。9回目でも共振周波数は60Hzと高止まりです。これは、シンナーが翌日には蒸発して、繊維に染み込んだ残留ビスコロイドが再び硬くなるためです。
共振周波数fsが60Hzでは、DS-66EX本来の音を取り戻すことは困難です。
>>続く