2019年10月20日(日)
ここのところブログを書く気力が失せてサボってたが、今回のイベントは自分の人生史に残る一コマ。記録しとこう!
四万十川ウルトラマラソンに出場することとなったのは、春先の遊び仲間との飲み会の席でのいわゆる「飲んだ勢い」ってやつ。
自分はまったく乗り気でなかったけど、とりあえずエントリーした。
すると、こんなときの抽選に限って当たってしまう訳で、4人中2人が当たって出場することになった次第。
高い参加料を払って出場するからには、完走はしたいから現状でできる精一杯のトレーニングはした。
30キロ走を1回と20キロ走を3回くらい。月間距離は6月81キロ、7月176キロ、8月92キロ、9月210キロ。
正直ぜんぜん足りてない
本番前日、エントリーの抽選に望んで当たったミドリマンさんと自分、それにサポートを買って出てくれたNさんの3人で四万十に向かった。
車で宮崎から大分へ、大分から四国へはカーフェリー
長い移動を経て現地が近づくにつれ、大会ののぼりとか電光表示とか現れ出した。いよいよ本番が来たのかと実感する。
まずは受付会場で受け付け。そう言えば事前に送られてきたゼッケン引換券の封書にも地元の中学生が書いた直筆の応援メッセージが同封されていた。地元の歓迎ムードがすごい
受付が済んだら温泉で汗を流してから車中泊する河川敷に移動。
ルーフに積んでるカヌーはマラソンの翌日に遊ぶ予定。これについてはまた別で
夜は前夜祭に参加。料理は瞬く間になくなったけど、まあそれでも十分食った。
ほかにはマラソンランナー川内優輝さんのそっくり芸人M高史さんや川内優輝さんの本物の弟の川内鮮輝さんのトークとか。(結果的に川内鮮輝さんは今大会100キロの部で優勝を飾った)
いよいよ本番当日の朝がやってきた。
「今日が終われば日々のトレーニングから開放される。総仕上げの100キロだ。」って心境
朝5時前の会場はもうボルテージが高い。最高齢出場者79歳の方の選手宣誓は、発せられる言葉からも若さを感じ取れるほど味があった。
スタート時刻の5時半を前にスタートライン並ぶ。
緊張はまったくない。地獄を見る覚悟はできている。むしろ、その地獄がどんなものなのか楽しみだったりもする。
5時半、スタートの号砲が鳴った。特に走るでもなく人波に合わせてゆっくりと動き始めた。
今回の作戦はとりあえず12時間のペースランナーに付いて行くこと。100キロを完走しようとしたとき、12時間というペースが自分にとって早いのか遅いのか分からない。時間も距離もたっぷりあるので、ペースが合わなければ途中で軌道修正すればいい。
3キロほど走ったところで、後ろから12時間のペースランナーがやって来たので、すかさず後ろに着いた。
キロ6分~6分半くらいのペースで進み、正直、ぜんぜん息も乱れない。周りの人やペースランナーの方と会話しながらジョグする感じで進んで行った。
1人のトレーニングでは限界に近かった30キロを過ぎてもまだまだ余裕。そんな感じが60キロまで続いた。
60キロを過ぎた所で、「もう半分は過ぎたし、そんなに疲れてないし11時間を狙おうか」と欲を出して、ペースランナーの前に出た。
ここから初めての一人旅。
すると、ここまでの疲れが出てきたことも当然だが、人に付いて走るのと自分でペースを刻むのとでは感覚が全く違う。急激に足が重くなりペースが落ち始めた。
60キロ~80キロは、とにかく歩くのだけはやめようと思って必死に足を進めた。時計を見るとうまく計算はできないけど12時間を切るのは難しいような感じがしてきた。
80キロ過ぎた辺りで背後から声を掛けられた。振り向くと12時間のペースランナーの方だ。「うわ~来た~」思わず声を発した。
ここで離されたら、余裕をこいて前に出た手前はずかしいと思い、我慢して後ろに付いた。
すると、決して余裕があるわけではないけど、自分でペースを作って走るより断然楽だ。しかも、ペースランナーの方が「残りはいつもジョグしてる10キロになりましたよ!」とか励ましの声を掛けてくれる。
残り7キロで、12時間までの残り時間1時間。通常なら全く問題なく12時間を切れるタイムだが、今はそれが分からない。自分の走っているペース感覚と実際のペースが乖離してるから。
心の中の甘えたもう一人の自分が、「もうペースランナーから遅れても12時間切れるんじゃない?遅れちゃいなよ!」と語りかけてくるけど、そんな誘惑と必死に戦って我慢する。
98キロの看板を過ぎて街中に戻って来た。いよいよゴール目前だ。
ラスト1キロ、きつい登り坂に差し掛かった。ペースランナーの方はここでコースから退かれた。ゴール後にお礼を言おうと思っていたのに言えなかった。退かれるときに言えばよかったのに、そういう余裕はなかった。
坂を登り終えると下りになり、2、3か所の路地を折れながら進む。ゴールまで遠く感じた。
やったー、ついに終わった。
感動はない。あるのは、もう走らなくていいといううれしさと完走できたという安堵感。
ここまでの数か月、ずっと頭の片隅にあった「100キロ」という数字からこれでようやく開放された。そして、自分の人生に新たなモノサシが加わった。「100キロ走ることに比べれば」的な。
抽選に当たってしまったことを後悔もしたけど、終わってしまえば、自分史の1ページを飾るイベントになった。