7月24日
5時起床、7時出発の予定だったがテント場の朝は早い。3時頃には出発していく登山者の足音でざわつき始め、目覚めた。
朝食はお茶漬け。アルファ米は好きではないが、夜、水を入れておいて朝お茶漬けにして食べるとまあまあいける。
今日はベース基地にする熊の岩まで移動するだけだ。ゆっくり出発しても昼前には着くだろう。
6時20分、テント場を出発。
申し分ないの快晴になった。
剱沢小屋を過ぎたら剣沢を下って行く。しばらく夏道を歩いてからアイゼンを装着し雪渓歩きに移る。両端を高い山で挟まれた底の見えない谷を下って行くのは、まるで奈落の底へと突き進んで行ってるかのようだ。
7時50分、長次郎谷出合。相当奈落の底まで下ってきた(笑) 帰りにこの雪渓を登り返して帰らないといけないのかと思うとゾッとする。
10分の休憩を終えて、いよいよここから登りだ。
今日は水を2L担いできたからザックの重さは20kg近くになっている。一歩一歩の足取りが重い。下部のルンゼには崩落前の雪のブロックがあるという情報なので、注意しながらできるだけ速く通り過ぎ・・・いや、速く歩くなんて無理。
視界に飛び込んでくる景色は、正に雪と岩の殿堂と言うにふさわしい景色!!
視線の先に熊の岩(らしき所)が見えた! けど、いくら歩いても近づいて来てる気がしない(涙)
熊の岩に近づくにつれ傾斜がだんだんときつくなってきた。振り返って下を見ると尻がムズムズする。
「ここで転んだらただじゃすまないな」そう考えるとなおさらムズムズする。
最後は立って歩くのが怖い斜度。たまらずアイゼンを外して岩稜帯に移り這い上がった。
11時50分、熊の岩に着いた。いやあ、もうヘロヘロ。
標高のせいで大きく深呼吸しても思いっきり吸えてる気がしない。頭もちょっと痛い。自分は高度に弱い。
実は帰ってから分かったことだが、ここは熊の岩ではなく熊の岩の上部だったらしい。しかしロケーション抜群の場所だったのでヨシ。
この日、熊の岩にテントを張ったパーティーはいなかった。
テントを張り終えたら翌日登る雪渓上部の偵察に行く予定だったが、自分にはとてもそんな体力が残っていなかった。もしかしたらほかのメンバー2人は行きたくて迷惑を掛けたかもしれないが、そのときは内心翌日登るのも無理じゃないか思うくらい疲れきっていた。
長次郎谷右股は遠目にも一見して我々の技術と装備で登るのは無理だと分かるくらい大きなクラックがいくつも入っている。
水汲みに行ったり、うだうだした時間を過ごしたところで翌日の作戦会議。
長次郎谷右股が使えないとなれば左俣か熊の岩上部の雪渓を登り、北方稜線をたどって長次郎のコルを目指し、帰りも同様に戻ってくるしかない。これでチンネを登るのは時間的に厳しそう。
今回のチンネはあきらめるしかないか・・・。結論は八ツ峰上半を縦走して長次郎谷左俣を下って戻る計画に変更することになった。
作戦会議が終わって昼食。昼食と言ってももう3時が過ぎていた。食糧を減らしてザックをできるだけ軽くしたいので、作るのがめんどくさいがラーメンを作って食べた。
しばらくすると徐々に怠さが抜けて元気が戻ってきた。どうやらシャリバテだったみたい(^^;
夜、寝ていると寝ぼけザマに人の声がした気がした。今頃になって誰か登って来たのかな? それとも聞いたらいけない声を・・・
風に揺れたテントがカサカサと鳴るたびに何か来たか?と緊張したが、いつの間にか寝落ちしていた。
翌朝、Yさんも人の声を聞いたと言ったのでひと安心。どうやら20時ごろに北方稜線を歩いているパーティーがいたらしい。さすが剱には強者がいる。
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