人恋しく切なく
淋しく、
どこまでも美しい秋。
原っぱの雑草まで悲しいほど美しい。
秋ですね。
しゃくしゃくと
乾いた落ち葉を砕いて歩いていた夕方。
堅くて小さなものが
こつん、と頭に当たりました。
なにかと思ったら一粒のドングリ。
秋に
呼び止められた気がして
心に触られた気がして
しばらくその場で佇んでしまいました。
風が吹いて、
落ち葉がかさかさと足元を渡ってゆき、
スカートの裾をかさっとさわるのがわかって
なんだかくすぐったい気分でした。
風にも、揺れる草にも葉っぱにも
やさしく撫でてくれる秋のてのひらを感じます。
かなしみは置きてしばらく火をたけり今年の落葉焚くほどはある
――『風に燃す』 , 斉藤史
――『風に燃す』 , 斉藤史
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