シリア第三の都市ホムス。首都ダマスカスとアレッポの中間に位置し、内陸部の各都市を結ぶ要所として栄えている――という話は今や昔。2016年現在、ホムスの街は内戦によって完全に“死んだ街”になってしまった。ドローンによる空撮映像が捉えているのは、もはや人が住めるような建物が一軒も残されていない絶望的現状だ。爆撃によって瓦礫の山と化した街は、人口100万人を誇っていた過去がまるで嘘のように閑散としている。まさに「この世の終わり」としか喩えようのない光景だ。
自らの愛する街が完膚なきまでに破壊され尽くした時、人はどのような行動を取るだろう。復興に努めるほどの気力と体力が残されていればよいが、それよりも早くこの地獄から抜け出し、新天地で再び生活を立て直したいと願うことを誰も否定はできないはずだ。この映像は、シリア難民の多くが「生きるため」に、止むに止まれぬ思いで母国を去らざるを得ないという現実を世界に訴えかけている。
シリアの内戦前と内戦後